竹心の魚族に乾杯

Have you ever seen mythos?
登場する団体名、河川名は実在のものとは一切関係ございません。

フッキングについて

2007年03月29日 12時04分01秒 | やまめ研究所
10年ほど前の話。少し前に銀毛して大型化したイワナを釣っていたのでその日も仕事を終えてすぐにポイントへ急行した。その日も雨の後で増水しており、ダムサクラの期待大だ。ロッドはGルーミスの6フィート6インチ、リールはペンの714Z、ラインはトラウトザウルス4lb、リーダーなしのスナップスイベル直結、ルアーはブラウニーの9cm。

ピンスポットの一発勝負なので、一点に集中して投げては巻く。30分ほどキャストを続けると早くも日が落ち、水面もほとんど見えなくなる。それでも食ってくる場所はピンポイントなので何とか暗くなるギリギリまで続行することができる。
そして、遂に真っ暗になった。ルアーもどこを引いているのか分からない。オシュレーションなどないシンプルなリーリングの感触だけを頼りに、当時花形のU字リトリーブ。
相変わらず反応はないがバイトがあるとすればこの辺りだというのは感触から分かる。当時、今日のように放流が盛んではなく、貴重な渓流魚を釣るのにトゥィッチングというのはあまりにも勿体なかったが、あまりの無反応さにしびれを切らし、ひとりでに手が動いた。食ってくるであろうピンスポットで、小さく1回だけトゥィッチした直後、いきなりドスンと重くなり、ハンドルをグイッと巻くとフッキングした。ブラウニーはほとんど潜らないので根掛かりではない。魚はほとんど暴れず、そのままグーンと下流のガンガン瀬に引っ張られた。相当デカかった。リールのドラグが効き始める間もなく、フッと手応えが軽くなった。当然ラインが切れたかと思ったが、なぜかブラウニーは残っていた。あれほどの大物がかかってラインが切れないのはどうしてなのか、と思いルアーをよく見ると、後方のフックが見事に伸びていた。
「流木だったのでは」と何度も思ったが、それにしても4lbのラインよりはるかに強度のあるはずのフックが伸びてしまったのは何としても不思議で、「ブラウニーのフックは弱いのだ」と勝手に決めつけていた。

この出来事はいつの間にか忘れてしまっていたが、2005年の遠山川釣行の折、大型のアマゴにヘラバリを伸ばされるという経験をしてあの日の記憶が蘇ってきた。伸ばされた時の状況はあの時とよく似ていた。
この時のハリスは0.2号だったが2号のヘラバリの針先はあっけなく開いてしまっていた。そこでハリスを0.25号に替えて針もワンランク大きくし、あえてテンションを強めにやり取りしてみることにした。遠山川は水勢の強いポイントが多い川だが、魚が掛かった時、竿を立ててタメると首を振りながら下流にどんどん下っていくのでそのまま着いて行くとキャッチできるが、普通やるように竿を上流に倒してタメているとグーンと重くなってほとんどが外れてしまう。竿をほとんど水面すれすれにしてもダメで、また45度ぐらいの角度にしても歯が立たなかった。なお流れの比較的緩いポイントでは普通にキャッチできる。

このグーンと重くなるのが長いこと謎だったが、最近どうやら急流のアマゴ・ヤマメは上流から引くと口を開けて抵抗するのではないかと思えてきた。だとすると針が簡単に伸びてしまう理由も説明がつくのだ。

トラウトの口は他の魚とはだいぶ違っている。それは唇がほとんどなく、鼻先が非常に堅くなっていることだ。だからここに針が掛かった場合、口を開けてしまうと同時に針も起きてしまう。この時、竿を寝かせていればハリスと針軸の向きが一直線ではなくなる。荷重もフトコロよりもむしろ針先に掛かる。そうするとテコの原理で簡単にフトコロが開いてしまうと考えられる。
細山さんの「扇返し」も、このように考えるてみると魚を寄せるだけでなく、バラさないためにも有効じゃないかという気がしてくる。

郡上の職漁師たちは針軸も針先も短いワイドゲイプな針を好んだそうだが、こんなところにその理由があったのではないか。今でこそアマゴは深い淵の底に固まっているが、昔は急流で針を伸ばしていくタイプが多かったのではないかとも思うのだ。

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