川の中では、藻類→川虫→渓魚という食物連鎖が展開されているわけですが、なんと言っても糸状ラン藻→エルモンヒラタカゲロウという流れが、一番食味抜群な渓魚を育む!これはもう間違いないでしょう
エルモンヒラタカゲロウはラン藻の増殖が活発となる時期に優占種といいますか、一番目立ってきますね。アユもそうです。水温の上昇に伴って石が黒くなるに従って上へ上へと遡上していきます。
ラン藻というと藻類のように見えますけど、実は微生物なんだそうです。シアノバクテリア、光合成バクテリアとも呼ばれます。
上質なアユ、ヤマメを育むのが高等な植物じゃなくて、最も下等な、シアノバクテリアだというのは、ちょっと予想外な感じがします。
その秘密はラン藻の栄養にあるそうです。ラン藻と一般の植物を比べると、ラン藻の方が圧倒的に蛋白質量が多い。実際、スピルリナなんかは60%とも言われていますから、肉じゃないのって感じですね。
ラン藻はチラコイド膜と呼ばれる脂質膜がギッシリ層状に詰まっていて、その膜にタンパク質が埋め込まれています。
「ラン藻という生きもの」(※1)より
そしてそのタンパク質は、なんと空気中の窒素から作られているといいます。
レンゲやカラスノエンドウの根に共生している根粒菌が、空気中の窒素を吸収していることは、だいたいの人が知っていると思います。ところが驚いたことに、ラン藻の多くが、窒素を吸収できる(「窒素固定」)ということがだんだんとわかってきているんです。
ラン藻は単細胞生物ですから、当たり前に考えれば、「空気中の窒素を効率的に固定するなんて、そんな高度なことは到底できるわけがない。せいぜい申しわけ程度にちょこっとできるぐらいが関の山だろう」と思ってしまいます…。
ですが、ラン藻の一部のグループは、糸状体といって細胞が一直線に並んで生活していて、その糸状体を構成している細胞には、ところどころにヘテロシストという細胞が現れていることがあるんだそうです。そしてこのヘテロシストは、窒素固定に特化した細胞で、光合成で得た電位エネルギーを隣の細胞からもらって、根粒菌よりもさらに効率的に、窒素固定をしていると考えられています。
「ラン藻という生きもの」(※1)より
窒素固定の性能・効率性もそうですが、ラン藻は海や湖、氷の下や雪の上、湿った土の上にも生息していますから、地球全体で見ると寄与率は莫大なものになると思われます。
干潟のある内湾は昔から質の良いアジやアサリなどの獲れる良い漁場として知られてきましたし、マングローブなども小魚が豊富です。
北極海の氷の下は、あんなに水が冷たいにも関わらず、春になると膨大な動物プランクトンが増殖すると言われています。そして、それを狙ってサケなどの回遊魚が遠くから集まってきます。
日本では昔、水田にホウネンエビが見られるとお米が豊作になると言われてきた地域があるそうです。これだって、田んぼに窒素固定をするラン藻がいたと考えれば、すごくつじつまが合うような気がするんです。
鮎が主食としているビロウドラン藻については、本当に窒素固定をしているかどうかを調べている所はないようですけど、アユやヒラタカゲロウの成長ぶりからして、まず間違いないような気がするんですけどね~。
今までの説明では、微生物が固定する窒素の量よりも、人工的に(ハーバー-ボッシュ法)アンモニアに合成される窒素の量が上回っているとされてきました。
昔は窒素固定を行う生きものというと、先ほどの根粒菌ぐらいしか知られていなかったわけですから、当然といえば当然ですね。
ところでこの化学肥料などに使われるアンモニアですけど、世界中で人間が消費する全エネルギーの数十パーセントが、この化学的アンモニア合成に使われていると言われています。
これをうまく解決すれば、マイナス6%なんて屁の河童、かもしれません…。
あ、それじゃ自動的に他の国も達成できちゃうからダメか
昔から「鮎は苔を食む」と言われてきたわけですが、必要なタンパク質をラン藻から得ているとすれば、「微生物を食べている」とも言えるわけで、大きな鮎が育つのにラン藻が大きく貢献していると言えそうですね。
そういえば、ワカサギ。ワカサギってミジンコとかカイアシとか、動物性のものしか食べないって言われてるけど、あのアオミドロみたいな奴、なんだかすごくあやしいんだよなあ…。
もしかして、氷の下のワカサギもラン藻を食べている
注1)藤田善彦・大城香「ラン藻という生きもの」東京大学出版会(1989年)
エルモンヒラタカゲロウはラン藻の増殖が活発となる時期に優占種といいますか、一番目立ってきますね。アユもそうです。水温の上昇に伴って石が黒くなるに従って上へ上へと遡上していきます。
ラン藻というと藻類のように見えますけど、実は微生物なんだそうです。シアノバクテリア、光合成バクテリアとも呼ばれます。
上質なアユ、ヤマメを育むのが高等な植物じゃなくて、最も下等な、シアノバクテリアだというのは、ちょっと予想外な感じがします。
その秘密はラン藻の栄養にあるそうです。ラン藻と一般の植物を比べると、ラン藻の方が圧倒的に蛋白質量が多い。実際、スピルリナなんかは60%とも言われていますから、肉じゃないのって感じですね。
ラン藻はチラコイド膜と呼ばれる脂質膜がギッシリ層状に詰まっていて、その膜にタンパク質が埋め込まれています。
「ラン藻という生きもの」(※1)より
そしてそのタンパク質は、なんと空気中の窒素から作られているといいます。
レンゲやカラスノエンドウの根に共生している根粒菌が、空気中の窒素を吸収していることは、だいたいの人が知っていると思います。ところが驚いたことに、ラン藻の多くが、窒素を吸収できる(「窒素固定」)ということがだんだんとわかってきているんです。
ラン藻は単細胞生物ですから、当たり前に考えれば、「空気中の窒素を効率的に固定するなんて、そんな高度なことは到底できるわけがない。せいぜい申しわけ程度にちょこっとできるぐらいが関の山だろう」と思ってしまいます…。
ですが、ラン藻の一部のグループは、糸状体といって細胞が一直線に並んで生活していて、その糸状体を構成している細胞には、ところどころにヘテロシストという細胞が現れていることがあるんだそうです。そしてこのヘテロシストは、窒素固定に特化した細胞で、光合成で得た電位エネルギーを隣の細胞からもらって、根粒菌よりもさらに効率的に、窒素固定をしていると考えられています。
「ラン藻という生きもの」(※1)より
窒素固定の性能・効率性もそうですが、ラン藻は海や湖、氷の下や雪の上、湿った土の上にも生息していますから、地球全体で見ると寄与率は莫大なものになると思われます。
干潟のある内湾は昔から質の良いアジやアサリなどの獲れる良い漁場として知られてきましたし、マングローブなども小魚が豊富です。
北極海の氷の下は、あんなに水が冷たいにも関わらず、春になると膨大な動物プランクトンが増殖すると言われています。そして、それを狙ってサケなどの回遊魚が遠くから集まってきます。
日本では昔、水田にホウネンエビが見られるとお米が豊作になると言われてきた地域があるそうです。これだって、田んぼに窒素固定をするラン藻がいたと考えれば、すごくつじつまが合うような気がするんです。
鮎が主食としているビロウドラン藻については、本当に窒素固定をしているかどうかを調べている所はないようですけど、アユやヒラタカゲロウの成長ぶりからして、まず間違いないような気がするんですけどね~。
今までの説明では、微生物が固定する窒素の量よりも、人工的に(ハーバー-ボッシュ法)アンモニアに合成される窒素の量が上回っているとされてきました。
昔は窒素固定を行う生きものというと、先ほどの根粒菌ぐらいしか知られていなかったわけですから、当然といえば当然ですね。
ところでこの化学肥料などに使われるアンモニアですけど、世界中で人間が消費する全エネルギーの数十パーセントが、この化学的アンモニア合成に使われていると言われています。
これをうまく解決すれば、マイナス6%なんて屁の河童、かもしれません…。
あ、それじゃ自動的に他の国も達成できちゃうからダメか
昔から「鮎は苔を食む」と言われてきたわけですが、必要なタンパク質をラン藻から得ているとすれば、「微生物を食べている」とも言えるわけで、大きな鮎が育つのにラン藻が大きく貢献していると言えそうですね。
そういえば、ワカサギ。ワカサギってミジンコとかカイアシとか、動物性のものしか食べないって言われてるけど、あのアオミドロみたいな奴、なんだかすごくあやしいんだよなあ…。
もしかして、氷の下のワカサギもラン藻を食べている
注1)藤田善彦・大城香「ラン藻という生きもの」東京大学出版会(1989年)