
もう一つ




ここで記事にしたい
不思議な話
父はワタシが高校くらいまでは
しょっちゅう海外へ行き
家を留守がちにしていたのだが
母がいよいよ大病をし
入退院を繰り返すようになれば
父は母になるべく寄り添うことを決めたようで、家に居てくれることが増えた
その頃はもう
2番目の兄も家を出たので
父と母と3人の暮らしになり
その頃の話だ
母と3人で食事をしながら
父はまあまあお酒が入っていたとき
テレビの画面にLike a Virginを歌っている
マドンナが映った
すると
父がおかしなことを言い出したのだ
「ワシこの女の子とおうたで(会ったで)」
なんてことを言いだした
父の渡航歴は
それは凄いもので
父の昔のパスポートを見ると
数えるのが面倒になるほど
いろんな国に行っている
ニューヨークやフランス
オーストラリア、カナダ
ハワイなどは
道や風景、建物まで
まるでそこにいるかのように話すくらい
何度も訪問していて
母とワタシに
たくさんお土産をくれた
父は音楽が好きだったので
無名のミュージシャンが
自作のデモテープを販売していると
それらも買って帰り
お土産にしてくれるのだが
カントリーミュージックや
ウェスタンミュージックで
ジャズなどで
少女時代のワタシにとっては
馴染みのない音楽で
興味を持てず
あまり聞かなかった
テレビ画面に映る
大スターの
マドンナと会ったって
到底信じるわけもない母とワタシは
酔っ払って作り話をしているのかと
あまり真剣に聞かなかった
父はマドンナがまだデビュー前で
カセットテープにサインをしてもらった筈だから
母にそれを探すように言うと
母は「探しておきましょうね」
と
父に気の良い返事をしときながら
ワタシ見て
目の下「あっかんべー」をした
母がたまにワタシに見せる
こうした
父への感情表現は
とても可愛らしく
その後も
お酒を呑んで
同じ話をすることがあったが
そのうちに話が出なくなった
マリリン・モンローの広島来日での
警備についたときのエピソードは
亡くなる直前まで
ずっと延々語られたので
マドンナの話は
作り話だったんだろうと
ワタシもすっかり忘れていた
ただ最近のこと
ワタシが預かっていた
父の古銭ボックスを
自宅で開けたら
記念硬貨や海外のお金が
ザクザク出てきた
兄にも話し
買取屋さんへ持っていくことにしたので
袋や箱にまとめて入っていたお金を
国別にわけ
日本の記念硬貨等は金額別に分け
整理した
すると中には

あれ?
これは金貨では?
数枚ほど見つけたものは



本物の金貨だったのだ
父が他界した時
金庫ごとなくなっていたから
価値のあるものは全て消えてしまったと思っていたし
この古銭ボックスも
集めたというより
溜まってしまったような
しまい方だったので
驚いた
なんと
買取価格が
大きいメキシコの
50ペソ金貨は
50万円にもなった
帰省してくる兄に渡すつもりだが
まだ金額を伝えていないので
兄もきっと驚くだろう
もともと几帳面で
整理整頓も苦にしない父が
一緒くたにしてコインを入れているなんて
不思議に思えたが
海外にから帰って
使わなかったお金を袋にざっと入れて
そのまま箱にしまっていたような様子も伺がえた
お金を丁寧に分けているとき
これは香港
これはオーストラリア
これはアメリカと
元気で活躍した時代の
逞しい父を思い出して
幸せな時間だった
それに
粗雑に入れられた
これらのコインの中に隠れていた金貨より
父の寝室で見つけたメダルの方が
ワタシには何にも変えられないほど
価値が高く
父がそのメダル2つを
小さな黄色の小袋に入れて
大事にとっていてくれたことが
何よりワタシを幸せにする
それで話を戻すと
外国のお金を見ていて
マドンナの話を
ふと思い出したのだ
こんなに海外に行ったのだから
もしやあの話が本当だったら....
探して出てきたら
なんでも鑑定団へ......
ちらっと思ったけど
やっぱり出てこなくていい
それこそあの女性の
格好の餌食になってしまう
それに
兄にこの話をしても
ワタシや母が信じなかったように
信じないと思う
それにしても
古銭ボックス
調べないままで買取してもらわなくて良かった
金貨かなと思うものを
別にしておいて良かった
金貨以外は
ほぼ買取価格がつかなかったので
もし纏めて処分でもしてしまったら
ちょっと
ぞっとする
つづく
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