黄泉の国へ

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詐欺に出会って、お父さんは天国へ行きました

2024-08-05 15:54:00 | 日記
父の話では

車1台を共有することになって
少しして

女性は父に
年だし
何かあったら心配だから
船で海に出ないでくれと
言い出したそうだ


それで
父が港へ行かれないように


共有する車でパチンコへ行けば
出たきり雀


父は船の様子を
自由に見に行けず


段々と
諦めつつある頃には
女性から
船を手放すようにと
詰められた




船の買い手は
そう簡単に現れるものではないから


売れないだろうと思っていたら




おかしなことに
直ぐに引き取り手が決まったのだけど


また
ここで
女性がらみだ



手入れをして
燃料満タンにした
あさひ丸は


漁港で待ち合わせた
30代くらいの男性が
船に乗り込み


そのまま海へでて行ってしまった



名前も知らない
赤の他人に
連れていってしまわれたのだ




しばらく見ていたら
船が止まって動かなくなり
父が心配して見ていると
少し進めば戻り
しばらく止まり
また進んでは戻りと


様子がおかしいものの
どうすることもできず


ただ見ているしかなかった


船は当分同じ動きを繰り返したのち



奇妙な音を鳴らして
動きだした


そして

遠く小さくなる船を
見送ったんだ



という



この話に間髪入れず
父に
「船がねー、お父さん、行きたくないー行きたくないーゆうたんぢゃないん?それでしまいにゃ、さようならーゆうて、今までありがとうゆうて、行ってしもうたんよー」


涙をこぼしながら
ワタシが言うと


父は
はっとしたようで


「ほうぢゃ、ほうよのう.....」


そう言って
悲しげだったから


船を連れて行った人に電話して
船が無事かどうか
聞いてみるようにいうと


番号も住所も知らないし



買い手ではなく
ただで
貰われて行ったという



女性が
そう言うのだ
らしい



嘘だとしても



船はもうないのだから






ワタシを説得するかのように
言う言葉は


父が自分に言い聞かせているように
聞こえた






つづく