18日(土)は我が家の田植え日だった。この日はカラカラのピーカンで、日差しがジリジリと降り注いでいた。昼になったので家に帰り車から降りたときのこと。上空から異様な音がする。見上げるとそれはミツバチの大群で、まっ黒な固まりになって狂ったように飛び回り唸りをあげている。見ているとやがてミツバチはヒバの木に出来た洞の周辺に集まりはじめた。
実は我が家にはミツバチが巣をかける木の洞が二つある。一つは朝鮮五葉松でもう一つがこのヒバの木だ。五葉松には春先から越年のニホンミツバチが住んでいて、穏やかに行ったり来たりしていたが、こちらの方は動きがなかったので、今年はお休みかいなと思っていたのだが、いきなり状況は一変した。
やがてそれはヒバの木の洞の入り口辺りに集まり、穴の中にどんどん入り込みはじめた。着陸できないもの達は急かすように落ち着き無く周りを飛び回る。それは渋谷のハチ公口に人々が飲み込まれて行く様とよく似ている。
いったいこれだけのミツハチがこの洞に入り込めるのだろうか心配になる程の数なのだ。分蜂というらしいが6月になるとここからさらに巣別れが起こる。新たに産まれた女王蜂が分家をするのだ。それは今まで何度も目にしてきた。しかし、外部から飛来してきたのを見るのは初めてだ。出て行くときよりも蜂は興奮しているように見える。この中には女王蜂がいて、それが入った洞に働き蜂たちが入っていくのだ。
もう少し季節が進むと今度は分蜂が起こる。秋口になるとオオスズメバチとの攻防も見物だ。西洋ミツバチはスズメバチとの戦いの歴史がないから、スズメバチがやってくるとやられるままらしいのだが、ニホンミツバチは入り口付近にべったり張り付いた上で、野球場の観客がやるようなウェーブを起こし、敵を威嚇し巣を守る。そのフォーメーションは実に見事だ。
分蜂の時にいつも巣箱を持ってやってくるおじさんがいるので電話をするとニコニコうれしそうにやって来た。近くに箱を置いて我が箱に蜂が入ってくれるのを待っているのだが、3日たった今日現在巣箱に入る気配はない。よそから来た蜂は多分偵察隊がいて目星をつけた上で女王蜂を案内して来るので違う洞には入らないのかも知れない。
残念ながら我が家のニホンミツバチは木の洞に巣をかけるので蜂蜜は一切採れない。きっとこの洞の中には蜂蜜がたっぷりと貯まっているのであろう。もう少ししたら養蜂もやってみようかと思う。