山岳ガイド赤沼千史のブログ

山岳ガイドのかたわら、自家栽培の完全手打ち蕎麦の通販もやっています。
薫り高い「安曇野かね春の蕎麦」を是非ご賞味下さい

鰊蕎麦

2017年02月25日 | 安曇野の暮らし

僕が小さい頃僕が住む長野県の内陸部では新鮮な魚など滅多に手に入らなかった。

魚を食べるとなったら干物や塩漬けが一般的で、そんなものを水で戻したり塩抜きをしたりして母が食卓に出してくれていた。

干鱈、塩サンマ、塩漬けマス、めざしに鯖の文化干し。

特に極めつけは塩丸イカというものがあって、これはイカのワタを取り除いたところにゲソを突っ込んで丸ごと煮てから死ぬほどしょっぱい塩漬けにしたもので、これは未だにそこら辺のスーパーに売っている。

いくら流通がよくなって新鮮なモノが手に入る世の中になっても、人はずっと食べてきたものを食べたくなるものだ。

殆ど塩の塊としか言いようのない塩丸イカを時間をかけて塩抜きしてキュウリと和えて食べたりする。

そして身欠きニシン。

昔は北海道で沢山獲れたらしいニシン。

なかにし礼作詞浜圭介作曲、北原ミレイが歌う「石狩挽歌」は、ニシンが来なくなり始めた頃のニシン漁師達を歌った歌だ。

なかにし礼さんのお兄さんが博打的なニシン漁に手を出し、家族が一家離散に追い込まれたという実話に基づく歌だと聞いたことがある。

僕が生まれる少し前はこんな世界があったのだと思うと不思議な気持ちになる。

その頃って今となっては殆どファンタジーみたいだなあって。

ちなみに「石狩挽歌」は僕のカラオケレパートリーだ、笑

 

小さい頃、我が家の食卓にはこの身欠きニシンがよく登場した。

調理法はバカのひとつ覚えのようにニシンと昆布を煮付けにしたものだったので

「また、ニシンかよ!」

と僕は母によく文句を言った。

身欠きニシン独特のクセのある香りがどうしても好きじゃなかったのだ。

はっきり言って子供向けの食い物じゃないよな。

 そんな僕も今となっては何となく懐かしくて、スーパーで見かけると時々買ってきては自分で煮付けるようになった。

昔は安かったのだろうけど今は結構高い。

 

昨日煮付けた身欠きニシンがあったので蕎麦を打ってニシン蕎麦を作ってみた。

安曇野には蕎麦屋は多いけど、鰊蕎麦は見たことがないし食べたこともない。

江戸時代から北前船が運んだニシン、京都辺りではよく食べられているのかな?

甘露煮に近い強めの味で煮付けたニシンに、白髪ネギと京都原了郭の黒七味をぱらっと振りかけて。

独特のニシンのクセも何故か蕎麦にはよくあって、僕も少し大人になったのかなあと思う昼飯だった。

おまけのニシン丼(甘辛いタレが御飯にからんでたまらんす)

 


中華ソバをつくる

2017年02月21日 | 安曇野の暮らし

ラーメンを作った。

先ずはチャーシューを作る。豚肩ロースに強火で焼き色をつける。

この行程を屋内でやると、熱せられて溶け出す脂が油煙となってとんでもない事になってしまうので、僕はいつも卓上コンロを外に持ち出してこの作業をしている。

これを台所でやったのなら、終わる頃には僕のメガネは脂でギトギト、前が見えぬ程になってしまう。外なら強火で思いっきり出来るのだ。

その溶け出す脂がバチバチジュージューとフライパンの中ではじける音を立てて、自らこんがりと色づいていく肩ロースのなんと美味そうなこと。

隣ではこのいい匂いに犬のハナちゃんがたまらんとばかりに少し辛そうだが。

焼き色がついたらショウガとネギの青いとこをいれて、沸騰したら保温鍋で2時間ほど保温加熱すれば良い感じに中まで火が通る。

そして最後に茹で上がった肉塊を醤油に6時間ほど漬け込めば適度に味が染みこんだチャーシューの出来上がり。

僕はシンプルに醤油につけ込むだけにしている。

強めの醤油と甘い豚の脂が口の中で広がるから。

サイコロに切ってチャーハン作っても殆ど調味料いらずで美味いのが出来る。

さてラーメンだけれど、スープベースはチャーシューを煮込んだ煮汁。

これに煮干しをいれて一晩寝かす。

豚のスープだけだとどうしても脂っぽいと言うか、スープにギュッとした芯が感じられないので、煮干しをいれてパンチを出す。

味付けはチャーシューをつけ込んだ醤油ダレだ。

煮卵もこのタレに放り込んで一晩。

 麺は流石に手作りってわけにも行かないので、スーパーで買ってきた4玉87円の激安生麺をつかった。

やすいよね。

いったいどうなってるんだろうこの値段。

こんな安くそこそこの生麺が手に入るのだから、日本ってやっぱ金持ちの国なんだな。

 

麺を茹でる。

僕は堅めが好きだから、ほんの1分半ほど。

予め暖めておいたラーメンどんぶりにタレを入れてスープを張る。

茹で上がったら麺の湯切りをしてスープに放ち軽くさばいたら、チャーシュー、煮卵、小松菜、長ネギ、海苔をトッピングして完成だ。

慌てて食卓につき先ずは愛でる。

おー!

いただきまーす!

先ずはスープから。

ああ、なんて美味いんだろう。

化学調味料なんて何も入っていないのにこの充分なウマミ。

シャキッとした細ちぢれれ麺の良い香り。

スープに浮かぶチャーシューから脂が溶け出してくると、その味は更に濃厚になる。

濃厚かつ切れがあるというかなんというか。

あたたまったチャーシューを頬張ればジュワッと口の中にほとばしる肉汁。

おお!トロけるようだあ。

最後に煮卵を二つに割ってスープを半熟の黄身のなかに流し込んで口に放り込む。

うんまーい!

スープはどんぶりをもちあげて最後の一滴まで飲み干し、完食。

あっという間の出来事だった。

ほんと美味かったです。

さてこのラーメン少し原価を考えてみた。

麺22円+チャーシュー4枚60円+卵18円+諸々で130円程じゃなかろうか?

だれが考えたのか、中華ソバって微塵の無駄もないソウルフード中のソウルフードだ。

King of soul food!

ハンパないす。

白菜をスープでさっと湯がいた別バージョン

白髪ネギと自家製チャーシューを豆板醤とコチュジャンで和えてのネギソバ