変人マイノリティ

―― ある変人の挑戦、あるいは逃亡 ――

串刺し

2021年04月18日 | 記録
怪我をした。
ゴミ袋を結ばない知能が低くてらっしゃるお客様が未だにいらっしゃるから作業中に中身を地面にぶちまけた。
もう縛っていないのはこれきりと決めつけて、それが外れて二つ目、三つ目とぶちまけた。
僕に学習能力がなかったのが悪かった、が、こんなにも結んでもらえないものか。

バーベキュー場のゴミである。
掃除道具はあるのだが時間がない、手でかき集めることにした。
激痛が走った。
紙皿や割箸の中に竹串が混ざっていたようだ。
ゴム手袋を貫通して左の手のひらに刺さった、なかなか深く刺さった。

とりあえず作業を終わらせる。
そして手袋から手を抜くとやはり血まみれだ。
水道水で流し、アルコールで殺菌、そして絆創膏。
この雑菌だらけのゴミが皮膚の中に侵入したのだから、これは毒針と同じだ。
化膿しなければ良いが……

例えば、最悪の事態になってしばらく左手が使えなくなったとする。
それでも僕は誰にも言わずに片手で作業するだろう。
会社に報告したらなんて言われるか、やれ安全管理、やれ欠員が、労災が──
「大丈夫? 休んだら?」
そんな言葉は微塵も期待できない。
僕に過失はあるだろうが、会社のために動いているのだ、その結果なのだ、それなのに罪人のように扱われる。
こんな素敵な会社に来てしまった自分の運のなさを嘆いても、それもまた意味のないこと、今は傷が治ることをただ祈る。