変人マイノリティ

―― ある変人の挑戦、あるいは逃亡 ――

釈明

2021年04月21日 | 記録
今週の金曜日は有給休暇だ。
そのはずだった。
しかし昨日、僕は自分の申請した有給休暇を取り下げて出勤することにした。

誰かが休む場合、今まではワイオが補欠要因としてそのコースに入った。
四月にコースが一新された後もそのルールは継続するものと僕らは思っていた。
しかし違ったのだ。
今週の月曜日の夕方、ワイオが金曜日の僕のコースを出勤者で割り振って対応するようにと言いだしたのだ。

僕らは戸惑った。
何故ならそれが激務であることを知っているからだ。
そしてその激務に向けての準備の時間がない。
エスヤの公休は水、木曜日なのだから、打ち合わせの機会は火曜日の夕方しかなかったのだ。

火曜日の17時30分、頭を抱えるエスヤとテイナカ、絶望している。
それは当然だ、金曜日は一日の仕事を終えた後に更に僕のコースを5時間走らなければならないのだから。
しかも初めて走るコース初めて行く現場、探すだろう迷うだろう、その重圧は生半なものではないはずだ。

僕は苛立っていた。
なぜワイオは会議でそれを皆に伝えなかったのか。
僕の有給申請の後、一週間も沈黙しておいて、直前になっての告知とは酷い。

持ちわびた有給休暇だった。
疲れ果てた体を休めるために力を振り絞って目指したオアシスだった。
しかしこの状況では僕が休めないことを十分に解っていたから、苦渋の決断「出勤」を宣言したのだ。

>休むと言ったり出勤すると言ったり、違和感や不快感を覚える方もいらっしゃると思いますが
その宣言に添えた言葉は、エムセの反応をある程度予測していたからだ。

案の定である。
翌朝に確認したエムセがコメントは快感丸出しであった。
>その釈明を是非聞きたいものです
とのことだ。
エムセは従業員に有給休暇を消化させる立場だから不愉快なのだ。
有給休暇を一番楽しみにしていたのは他ならぬ僕であって、その僕が自ら休暇を放棄した苦しい心情など微塵も汲むことなく、ただ自分の思い通りに事が運ばなかったという一点に腹を立てたのだ。

この釈明について僕は面倒な作業であることも予想していたから「折を見て釈明」としたのだが、これは正解だった。
今は目の前の仕事に集中したいことが理由の一つ、もう一つはエムセの怒りの熱が冷める猶予を設けたのだ。
エムセごときは正論をぶつけるほどに怒りが増して議論にならない。
もう議論などというものではなくなって、言われて悔しいから言い返す、どんな言葉を並べれば相手に不愉快な思いをさせられるだろう、本人も気付かないうちにそれが動機にすり替わってしまうのだ。
その釈明の時まで、僕はその内容をゆっくり考えよう。