変人マイノリティ

―― ある変人の挑戦、あるいは逃亡 ――

交通事故

2017年02月27日 | 記録
交通事故が起きた。
起こしたのは……僕だ。

あの人の運転が危ない、いつか事故を起こすよ!
そんなふうに偉そうに上からものを言っていた本人が事故を起こしたのだ。
目の前が真っ暗になった。

通勤途中のことだった。
今日は仕事を休むことにした。
もう、なにもする気にならない。

エスヤ氏コース・月曜日

2017年02月20日 | 記録
7:00 出発
今日からエスヤ氏の車に同乗する。

このエスヤ氏はエムセ部長にチェックされている。
会社の管理が及ばないところに怠慢があるのではないかという疑いだ。

最初の印象だが、とにかく速い……車速の話だ。
住宅地も、見通しの悪い曲がり角も、とにかくぶっ飛ばす。
交差点では歩行者を待たせて通過するし、信号が青に変わると対向車より先に右折する。
僕はエスヤ氏の運転にエスイチ氏とは違った恐さを感じていた。
そうして午後には仕事が片付いていた。
この仕事の早さを評価して良いものか‥。

谷瀬氏の月曜日コースは午後に土木事務所の大きな仕事が入ることを想定している。
今日はそれが無く、すなわち、やることが無くなった。
他に仕事があれば対応できると、エスヤ氏は会社に連絡を入れていた。
これが僕に対するパフォーマンスではないと思いたい。


ルールができる

2017年02月18日 | 記録
行くのが面倒だから、今日は荷物が出るかどうか客に電話で聞いてみる。
そして客が「出ない」と答えたので、そこへ行かなくても済んだ、とか。
依頼の電話があってから訪問する場所に、たまたま通りかかったという理由で立ち寄ってみれば、仕事があった、とか。
こういう手法を合理的だと誤信する人がいる。

諾成契約とか表見代理とか、そういう難しい言葉はなしにしても、こういった例が後々契約として確立して、これを破れば債務不履行という事態になることを説いたところで誰が納得してくれるだろう。

個人の軽いノリが、日報に反映されていく。
全てのドライバーが守らなくてはならない義務になっていく。

エスイチ氏・金曜日コース

2017年02月17日 | 記録
エスイチ氏セットの最終日。

段々にエスイチ氏セットの無駄が見えてきた。
それは「どうして?」の連続。
無駄の最たるは、やはり早朝発車が生み出す多大な弊害だ。

早朝でなければ無かったはずの弊害。
その弊害によって強いられる早朝発車。

カレー味のウンコか、ウンコ味のカレーか──
単純に見える問題だが、解決の途は複雑だろう、僕はどうするのか。



エスイチ氏・木曜日コース

2017年02月16日 | 記録
エスイチ氏はガムを噛む、一日中、噛む。
とめどなく襲いかかる睡魔をまぎらすためだと言う。
ちなみにエスイチ氏も僕もコーヒーは好きではない。

これが危険だという自覚は本人にもあって、運転の職を早く引退したいと言っている。
引退して、この会社で現場作業に就きたいそうだ。
その希望は叶うだろうか、叶うと良いが。

しかし眠いとか、そういうことではなく僕が見てエスイチ氏の運転はシンプルに危ない。
一日に数回、いや十数回、いやもっとだ、ウィンカーを出さずに曲がる。
話に夢中になり、どんどん減速して渋滞を作り出す。
また停車時には対向車が来ているのに急にドアを開けて相手を急停止させるばかりか、そのことにも気づかなかったりする。

そして、パニックブレーキが多い。
バックでぶつかりそうになってキー!
後続車が来ているのに発進しようとしてキキー!
自転車を巻き込みそうになってキー!
なんだか分からないけどキキー!

もう、ヒヤリハットの玉手箱やーっ!

集中力が持続しないのだろうか?
大きな事故が起きないことを切に願う。
そして僕は自分を戒めよう。





エスイチ氏・水曜日コース

2017年02月15日 | 記録
今週は毎朝4時起きだ。
そうすると前夜は遅くとも10時に着床したい。
一日の仕事の復習と翌日の予習、僕には時間が足りなかった。

準備不十分のままエスイチ氏セットの三日目をむかえた。
案の定、頭の中で情報が散らかりまくった。

また、この交差点だ……
今どっちを向いているのか、どこを目指しているのか?
疲労と眠気、集中できない。

自分が今、この助手席で何をすべきか解らなかった。
もう全部投げ出して、終わりにしたかった。

エスイチ氏・火曜日コース/面談

2017年02月14日 | 記録
エスイチ氏セットの二日目。
初日とは違うメニューに僕は大いに困惑した。

さておき、気になったのはエスイチ氏のクラクションの多さだ。
危険回避の手段とか、怒りの意思表示ではない、挨拶のそれだ。

道を譲ってもらってプッ!
ターミナルの職員にププッ!
仕事の去り際、客にプッ!
すれ違う同僚の車両にププッププッププッ!

僕は恥ずかしかった。
殊に客に対してのクラクションは失礼ではないのか、そうも感じたが、僕が変人なのかもしれない。

そして今日は帰社してから、ケイヅ専務、エムセ部長との面談があった。
ここで僕は会社からの要望を断った。
理由はあるが、ここでは書かない。
期待を裏切った、失望させた。

エスイチ氏・月曜日コース

2017年02月13日 | 記録
朝5:20 エスイチ氏の車は僕を乗せ、駐車場を発った。

まもなく現場に到着する。
しかし、まだ日の出前、暗い車内では日報も自分のメモも見えない。
車は右往左往して、僕は自分の仕事を完全に見失っていた。

また助手席のシートが傾いているため、右側の尻が痛みに耐えられなくなった。
エスイチ氏にタオルを借りて、それを尻の左側に敷きバランスをとると幾分和らいだが、今度は尻が左右に開いて肛門が痛んだ。
これが一週間も続くのか、嫌だ!

公私ともに無縁の地は、当然これ未知の景色が連続する。
それを克服する環境にあるとは思えない。
僕は、このセットを習得する自信がなかった。

天気の話

2017年02月12日 | 記録
会社の悪口で、上司の悪口で、盛り上がる。
どこにでもある景色だ。

これは天気の話のようなもの。
手っとり早く、共感できる話題。

しかし往々に人は、自分自身の非難されるべき点について目を向けないものだ。
僕も、そうだろう。

覚書

2017年02月11日 | 記録
同乗するにあたって伝えること

このプロジェクトの意図は全ての従業員が全ての有給休暇を消化することができる体制を構築することにある。
延いては、更に幅広く、健全で快適な労働環境の確保を目指すものである。
中塚専務が主導し、補佐役の後藤が業務などと連携して進めていく。

わかりやすくいうと!
有給休暇が取れない状況を何とかするし、それでけではなくて、例えば朝早く出発しなければならない人とか、昼ゴハンを食べる時間がない人を助けてあげようという計画です。
これからは一週間とか、それ以上とか、フツーに休めたりするんだよ! すごくね?

オービ氏・金曜日コース

2017年02月10日 | 記録
オービ氏セットの最終日。

12:30 ターミナルに到着
あとはエム社を残すのみで、ここから長い長い休憩だった。
もう驚きもない。
これはいつものことと捉えられるようになっていた。
今日も尾藤氏は、あくまで自分はカバー役であることを強調して、この状態が当然であることを主張した。

これでオービ氏との仕事は終了した。
オービ氏は「二度と来ないでね」と冗談を言ったが、あるいは本心だったかもしれない。

変人マイノリティ

2017年02月09日 | 記録
今日はオービ氏の公休なので僕も休暇を取った。

朝、布団の中、僕は思い出していた。
オービ氏が商品を引き渡す時、受領書に必要なサインまたは押印を客に求めていないことだ。

これは会社の指示に背いている。
理由を聞いたところで「だって、めんどくせーじゃん」程度の返答しかないことは分かっているので、聞かない。
また是正を勧めても無駄だろう。

ただ残念なのは、僕のグループの中ではオービ氏こそがスタンダードで、僕などは真面目にクソが付く変人マイノリティでしかないことだ。

しかし考えてみれば、会社の指示に背いてまでも労力を省きたいというのが彼の欲なら、彼を非難して自分ばかりは真人間だと思われたいのは僕の欲か。
欲を満たしたいのは人間の性だ。
そうだとすれば僕も彼も同じ、ある意味、自分に真っ直ぐなのだろう。

オービ氏・水曜日コース

2017年02月08日 | 記録
オービ氏セット三日目。

13:30 僕等は本社近くのコンビニにいた。
走行も、ターミナル搬入も、給油も、全てを終えていた。
僕はドーナツを頬張り、オービ氏はコーヒーを手に、くつろいでいた。

昨年、僕のコースに過積載の危機が迫った時、オービ氏に援護を求めたが快諾されず、オービ氏はエム社の仕事を交換条件として提示してきた。
その結果が、この厚遇だ。
苦しんでいる同僚に手を差し伸べないどころか、その足下を見て不都合を押し付け、まんまと手に入れた贅沢な時間。
オービ氏について今さら失望とか、そういうものでもないが、あらためて、こうして当人が楽をしている事実を目の当たりにすれば悲しくなる。

こうしている間にも新人テーナカが休憩もなく駆け回っていることを僕は知っていた。
そして、この不公平は社長の意向によるものだと業務部のエスト氏から聞いている。
僕の認識が誤解であることを信じたい。



オービ氏・火曜日コース

2017年02月07日 | 記録
休憩地獄
こんな言葉は聞いたことがないが、今日の僕の心中には始終この言葉があった。

出発して2時間も経たないうちに最初の休憩。
コンビニで遅い朝食を摂り、そこに40分間とどまった。
しかしこれは客の都合によって強いられる待機であるから、実は正当な時間と言えるのだが、それにしても40分という時間が無駄に感じてならない。

そして午前中にはエム社と他1件以外の仕事が片付いて、やることが無くなった。
農道に駐車して休憩する。
オービ氏との話題も尽きて、また狭い車内から解放されたくて、僕は散歩に出た。

公園の、春には満開になるはずの桜の木を見上げ、ふと立ち止まり、また歩く。
僕は仕事着、風は休日のそれ、不思議な気分だった。
車に戻ると尾藤氏は首を垂れて眠りについていた。

帰宅途中に僕は尾藤氏の言葉を思い出していた。
「名目上、俺は君らの溢れた仕事をカバーするために異動して来たんだから」
これが一日の大半を休んで過ごすことの大義名分ということらしかった。

オービ氏・月曜日コース

2017年02月06日 | 記録
オービ氏セットに初の同乗。

運転は可もなく不可もなく、僕より多少強気なくらい。
作業も、年齢の割にはと言えば失礼だろうか、遅くはない。

走行経路については「僕ならこうする」という部分もあったが、それは彼がこのコースを担当して以来熟成してきたものだから、あるいは何かしらの意図があるのかもしれない。

仕事は早々に片付いてターミナルに搬入したのが13:00頃。
あとは新横浜のエム社を残すのみとなった。

それから駐車場が広く停めやすいとの理由で勝田方面のコンビニに移動。
そこで昼食を摂った後、僕はスマホを、オービ氏は雑誌を、それぞれ手に時間を潰した。
尻が痛くなった頃、オービ氏の「行こうか」の声で出発、エム社の仕事を片付けた。

とても楽な一日だった。
この一日がオービ氏の日常ならば、その日常を奪うのは僕だ。
彼が不快感を表すことは容易に想定できる。

難しい仕事になりそうだ。
その実感が重くのしかかって、僕は確かに憂鬱になった。