風のたより #82 千葉甫 2019-09-10 14:43:22 | 短歌 半年の間にすらりと背の伸びてすっかり少女となって登場 噛み合わぬままの話題と気づかずに話し続けていてずれてくる ざっくりと切られて花を失った向日葵の立つ西陽の中に
風のたより #81 千葉甫 2019-09-08 14:00:47 | 短歌 いたずらにぬるい空気を混ぜている また消し忘れていた扇風機 轟きの近づて来てヘリコプター窓の空には入らずに去る 閉じている瞼透した稲妻のあとの間を聞く雷鳴までの
風のたより #80 千葉甫 2019-09-06 13:46:48 | 短歌 丈高く草の茂った廃庭を夕陽に光って飛ぶ赤とんぼ 眼の隅に認めて見直す白い影 夜更けのドアの外に佇む 瞬間の虹の光った打ち水の路上に落ちて青空映す
風のたより #79 千葉甫 2019-09-04 13:58:06 | 短歌 体温に近い空気を吸って吐くただそれだけで来る疲労感 灼けている地球回ってじりじりと夜へ入るのをひたすらに待つ 不意に来た熊蝉の声忙しげに短くあって炎天の刻(とき)
風のたより #78 千葉甫 2019-09-02 13:48:16 | 短歌 てっぺんをタッチで点って揺らめいた炎匂わぬ電気蝋燭 更けてゆく夜の遠くで高い窓一つ灯ってほどなく消える 長いこと空家の窓のカーテンが半ば開いている午後からは