満ちるは桜。

好きなものを書いてる普通の人日記。

結末調整

2017年12月09日 22時35分09秒 | その他
クリスマス時期か…
そう思って帰路を急いだ。
その間、昼の出来事をエフ氏は思い出していた。

「この書類で確認したいことがあるんです」
「そうなの?」
「この書類、扶養されてる方が書かれてないですよね?」
そう言って事務の人が書類を突っ返してきた。
返されたのは年末調整の書類だった。
扶養している者などを書く書類だ。
年末調整はサラリーマンにとって大事なものだ。
月々の給与から差し引かれていた源泉所得税の精算を行うからだ。
月々多めに引かれている事が多いから、年末調整で精算すると大概還付、お金が戻ってくることになる。
「え?」
「だから、あの、奥様を去年扶養に入れられてたので…今年も配偶者控除に入れられるのかと思って一応確認なんです」
「そりゃ、去年と変わらないよ。」
「じゃあ、書いてください」
「えー、テキトーにやっておいてよ」
「ダメです。娘さんがいつもよりバイトで稼いでて扶養入れません、書類作り直し提出し直しってなったの忘れたんですか?」
扶養者が多ければ多いほど、税金は少なくなる。それなのに娘がバイトで稼ぎまくったものだから、扶養に入れないのに扶養にいれてるという連絡が会社に入った上、税金を再計算する羽目になった。
「そんなの、いちいち娘のバイト代なんて聞かないよ」
「…はぁ。じゃあ言いますけど、
プライベートな事は聞き辛いんです。
仮にですよ?年末に離婚とかされていたら扶養に入らないですから。
でも、こちらとしても会計事務所の方に『この方去年と違いますけど…』って聞かれたら、聞かないわけにいかないんです。」
「わかったよ、すいません」
「エフさんだから、一応確認してるんですよ。損しますから。聞かなきゃ扶養無しで年末調整しちゃうんですからね」
「そっか、ありがとう。ごめんなさい!」
「いえ、大丈夫です。あ、それ、明日までに再提出してくださいね」
「わかったよ」

配偶者控除かぁ、俺はずっと配偶者控除できるんだろうか?
去年は娘だって扶養に入っていた。
娘が扶養から外れるくらいバイトしてたのを知ったのは一昨年だろうか?
そんな娘だって独立して家を出た。
今年はもう妻と二人で年末を迎える。
でも、もしかすると来年は妻だって働きに出て、扶養から外れるくらい稼ぐかもしれない。
もしかすると、違う理由で外れるかもしれないし…

そんな事を考えていると目の前に人がいた。
「エフさん、ですね?」
一瞬聞き取れず無視して歩いた。
「エフさん、前のショートメール見ていただけましたか?」
確かにショートメールで最近おかしい迷惑メールは来ていた気がするが、そんなものはいつだったかも覚えていない、よくある事だ。
こういうのは最近の時代柄、無視に限る。
下手に相手して絡まれて殺されたらたまらない。
「エフさん、無視はないんじゃないですか」
「エフさん、僕、死神じゃないんですよ。
あなたの元に来た僕は、天国からの派遣者なんですよ。」
こいつは頭がおかしいんだ。そう思って自然と早歩きになる。
「ちょっと、警戒し過ぎですよ!」
「あの申し訳ないが、君に見覚えが全くないんだ。人違いだと思うんだよ、すまないね」
ずっと隣を歩いてくる男に怖くなり、思わず声が出る。
「まさか!携帯番号080-xxxx-……、家族構成、奥様のエムさん、娘さんが3人、息子さんが1人、犬を以前一頭飼っていて…」
「街中で何言ってるんだ君は!」
思わず声を荒げた。
「信じていただけましたか?」
「いや、たしかにそれは人違いではなさそうだ」
「そうでしょう」
そう言って男は笑顔を見せた。そして、
「でも、こんな事言ったからって『間違いない』とか口走ったら普通に悪人にカモられますから。僕の善人具合に感謝してくださいね」
と、偉そうに注意した。
そして、笑顔で
「いや、まぁ信じてもらえれば良いんです。」
といった。
「で、何の用なんだい」
「あ、これは意思の確認で来ただけなんで、
僕が何かを今するとかではないんですよね」
なんなんだ、と思うと彼は言った。
「申し遅れました、私天国から来ました株式会社ミカエルのエルと申します。
この度はお手間を取らせて申し訳ないのですが、
サービスのご確認で参りました。」
「あ、その顔は全く信用されてませんね(笑)」
「いいんです、いいんです」
「僕としても、あまり事情がわかったままに決められても面白くないんで…」
そう男が矢継ぎ早に言葉を続けるので、
「で、用件はなんなんだい?」
と、エフ氏は男に尋ねた。
「あのですね、エフ様も60に差し掛かって参りましたので、
人生の結末を迎えるにあたり、どういったご選択をされるか決めていただきたいと思いまして。」
「はぁ」
「色々、あるんです。
少なくとも、この決定はいつから開始されるものかは決まりで言えないんですけども、
少なくとも僕がエフ様にご提案させていただいている、という事で、
今後どこに行く予定なのかはご想像していただきたいと思います」
「天国にでも行けるっていうのか?」
「いや、まぁ、ふふふ、こちらからは申し上げられないんですよね」
「まぁいいや、で?」
真面目に聞くだけ馬鹿らしい。
「で、それでですね、今後、頑張りの還付をいつにされるか決めていただきたいんです」
「え、この場で?」
そもそも何のことか全くわからないのに。
「いえ、年末に再度聞きに来ますから」
「また会わなきゃならないのか」
「ええ。で、ですね、今エフ様は奥様がいらっしゃるので、配偶者控除がございます。
この事で悲しみに属される事柄が多少控除されますね」
「なんなんだそれ」
「いえ、なんとなく聞いていただければ、こちらで調整しますから」
「関わる方がいればいるほど、控除が増えます。
つまり、大概の場合は『嬉しい』『幸せだ』と思う割合が増えるんです。
人生においてエフ様がされてきたことで、
エフ様が還元してもらえる幸せというのは決まっておりまして」
「こちら側で還付される幸せは管理しておりますので、
もちろん関わる事で負担が増える方というのもいることにはいますが、大概においてそんな事はないので」
「で?」
「いえ、それで、この度エフ様も人生の結末を調整する時期に入られたのです」
「なんだそれ」
「ですので、わかりやすく単純にシンプルな話に削ぎ落として説明させていただきますと、
苦労せねばならないこと、人生において、エフ様にしていただきたいという事は決まっております。
ただ、人生においてエフ様も多くの事をされてきてますから、
その度に多目に、端的に言えば頑張り過ぎていることもあるわけです。」
「はぁ」
「それで、そういうことが多い方は私共がこうして参りまして、その分をどうやって還付していくか確認させていただいているんです」
「俺の人生は普通だよ」
「多くの方はそうおっしゃいます。だからこその調整なんですよ」
「そうかなぁ」
「幸不幸は人々の考え方ですから、
一概になんとも言えない事柄ではあるんですけどね。
それでも、この度私共も公平なサービスを、ということで点数化を進めて参りまして」
「はぁ」
「元々、人によって受けられる幸せと呼ばれる事柄や点数というのはあるんです。
でも、それを超えて頑張ってきた方…まぁほとんどの方ですよ。
そういう方にこうしてお話を聞いているんです」
「何を?」
「人生の結末を迎えるにあたり、
この還付される幸せをどういう風に還付するかです」
「そうなんだ」
「わかりやすく言うと、日本人の方で特にサラリーマンの方にはこういう説明させていただいているんですけど、年末調整を人生で行うようなものと考えていただければ」
「あぁ」
わかるようでわからないような…
「そこでですね、わからないように人生の流れの中で少しずつ還付されるか、退職金のように一度に還付するかご選択をお願いいたします。」
「一度に還付って、どんなことがあるんだろう」
「お答えしたいのですが、人によって感覚の違いがございますから、具体的には何ともお答えしがたい質問なんです」
「そんなもんなのか」
「ええ。こちらとしては奥様を始めとする他の方の人生の兼ね合いもございますから、結末をすぐにお伝えることはできかねますし」
「とりあえず、話は聞いたから、少し考えさせてくれないか」
「ええ、お気持ちはわかりますので。来週にでもまたお会いしましょう」
そういうと男は消えていた。

エフ氏はなんとも言えない気持ちのまま自宅に着き、
「ただいま」
そう言って玄関に入った。
「あら、珍しいのね」
妻のエムが驚いた顔で玄関に来た。
「何が?」
「ただいまなんて、ここ何年も言ってないわよ。お帰りなさい」
ただいまって素直に言ったんだから、そっちだって素直におかえりだけ言えば良いのに!
そう思いながら手洗いうがい、そして着替えを済ませ居間に行く。
「なぁ、今日変な男に絡まれたんだよ」
「どんな?」
「天国から派遣されたとか言うんだ。
俺、変なヤツだから無視してたんだけど、ずっと話しかけてくるんだよ」
「やだぁ。それでなんかカツアゲでもされたの?大丈夫?」
「いや、幸せを還付するだとか何だとか、
何だか怖くてさ。なんかよくわからないし、
家族にも影響が及ぶとかいうし、わからないから結論は言わないで帰って来たんだよ」
「そうなの。不思議な話もあるのね。
あんまり気にしないで、気分変えて夕飯にしましょ」
「そうするよ」
「今日は出掛けたから、早いけどクリスマスっぽいケーキ買って来ちゃったのよ」
「へぇ」
「だから、夕飯食べたらそれもあるって考えて夕飯食べてね」
「はいはい」

そう言って夕飯を二人で食べ、その日は眠りについた。

「…エルさん?」
夜中、エフ氏の妻が電話をしている。
「はい、何でしょうか?」
「私ね、還付の話だけど…夫と違う還付の仕方にして欲しいの」
「可能ですが、なぜでしょうか?ぜひアンケートとしてこたえていただけないでしょうか」
男は興味津々の様子で尋ねた。
「うーん、なんか、答えが難しいんだけどね。」
「はい」
「なんか、その方が二人の幸せが交互に還付されるような、何がどう作用したかわからなくなると思うの」
「そういう可能性もございますね」
「そうね、あなたは素直に答えられないと思うけど」
「ええ、ご理解ありがとうございます」
「あなたは配偶者控除があるって言ってたけど、これは作為的な人的控除みたいなものよ」
「そうですか」
「今日私に素直に報告してくる姿を見てたら、
何だか家族みんなもそうだけど、私たち二人でどう幸せになれるか考えちゃったのよ」
「そうなんですね」
「だから、そう、二人だから幸せが倍以上になって、悲しみは減って…って、
時期がズレれば色々な作用があって楽しいかなぁって」
「かしこまりました。お答えありがとうございました。で、そういうお答えでしたら、どう選択されたか、ご主人にはお伝えしますか?」
「いや、私は共に歩んできたと思ったからこそエルさんに『それなら絶対エフも還付されるはずよ。』って質問したのよ。
なのに、あの人私のこと聞かなかったみたいなんだもの。
そこはちょっと、なんか腹立つの。
だから、私に話がきた事は言うだろうけど、選択した内容は言わないでおいて欲しいわ」
「かしこまりました、それでは、これで確認は終了とさせていただきます」
「はい、どうぞよろしくお願い致します」
「ええ、お幸せに!」
そう言って電話は終わった。

(終)
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ポケットに入れていいよ

2017年12月09日 21時00分07秒 | A.B.C-Z
少クラ見ましたー。忘年会の方のパフォーマンスでしたね。
少クラ見てたら間奏で「今度は振りちゃんと考えます!」
とか言うから、「どーゆーことよ?」
と思って見てたら「あ、金爆」
ってなりまして、
即座にもう一度録画映像見てたら「あ、逃げ恥(曲名が出てこなかった…)」
ってなりまして、
その後の動き見ながら
「あ、にゃんこスターってこと?」

え、じゃあ間の動きは何なんだよ〜っっっ

って思ってたらパーフェクトヒューマンなんだね。
本当に丸パクリやんけ!
そりゃ謝るわ!って事でしたね。
元々変なおじさんみたいな動きするなーって思ってたら、
忘年会で盛り上がれそうな動きネタ突っ込んだのね(笑)。
でも、それはなぁ…個人的にはつまんないなぁと思う。
塚ちゃんの振付が見たかったのに。
戸塚さんは何言ってるか聞き取れないので、
何言ってるか解説してる人いないかなぁ?
(と、思っていたら字幕で見てた方は字幕で解読されていました!)
(聞き取れないよ!)

ってのが、感想かなあ。
何だかんだ再生してますけども。
どーっしてもクリスマスのが聞いちゃう。
ミュージックフェア見たもん!

ポケットに入れていいよ

に胸キュンしまくっています。
この戸塚さん胸キュンど真ん中なんですけどぉ!
そして気持ちカメラ目線多い(o^^o)
ってなわけで何回も見てます。既に。
何度も何度も見てますよ。

A.B.C-Zの新曲発売が近づいてきて嬉しいなぁ。
ツイッターは見ないor見なかった事にするようにしてます。
本当はね。ツイッターのが情報早いし、
実際そこが一番の問題だと思います。
仕事の情報をツイッターで知ったり、
チケットの情報もツイッターで公式より先に知ったり。
チケット先行発売されてから公式がメール送ってきたり。
チャンス自ら逃すとかしたくないじゃないですか。
大型ビジョン放送の話も、ツイッター見てなきゃ知らなかったし。
だから、やっぱ「戸塚さん」とか検索ワードにして調べてます。
そうすると見るつもりが無くても遭遇したとか出てくる時があるんだけど、
それはルール破りでは?とか、
それはいい思い出として胸に仕舞っておいてくださいね、
…っていう事もクソも何もねーわ!
って位書きたい放題なので(苦笑)。
全部鵜呑みにしたらA.B.C-Z自体にも失望しそうなので。
見なかった事にします。
そういう処理の仕方にします。
なーんて、可愛げないねー(笑)。
ごめんなさい。
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