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かりんとう日記

禁煙支援専門医の私的生活

妊娠と喫煙

2012年12月06日 | 今日のワタシ
医療業界と美容業界っていうのは、重なるところは大いにあって、お客様相手ってところがそもそも同じだから、現場で働く人たちの悩みも似ていたりする。

たまにいくお肌のお手入れサロン。
平日の夜だったので、お客さんはワタシだけ。
いつになく話に花が咲いた。

「お客様も色々な方がいらっしゃるので、見極めが大変です」


『そうよね。禁煙外来の患者さんたちも、怒られると喜んで奮起する人もいるし、誉められないとダメな人もいるし、相手をよくみないとね』


「禁煙外来に行く人って、多いんですか?」


『多いわよ。貴女は吸ってないでしょうね?』


ひょっとしたら彼女、喫煙者かも・・・と思っていたので、訊いてみた。


「吸ってないですよー。アタシ、やめたんです」


『あら、そう!それはよかった』


「どうしてやめたんだと思います?」


不意をつかれた感じで、一瞬、言葉に詰まってしまった。


『えっと・・・どうして?』


「子供ができたんです!」


なるほど。
今日も、育児休暇とかの労働環境の話になって、やたらと詳しいなと思っていたら、そういうことだったのね。


「子供欲しかったんで、しばらく前にやめたんです。そうしたらできちゃいました!このこと話すの、○○さんが初めてです。まだ誰にも言ってないんです。そのうち名前が変わりますから(笑)」


偶然にもちょうど、妊婦の禁煙治療についての英国の論文(N Engl J Med 366; 9 March 1, 2012)を読んだところだった。

それによると、喫煙を継続している妊婦に、ニコチンパッチを使用しても安全だったけれど、プラセボとの比較では有意差がでなかった。

論文を読んで驚いたのは、先進国においても、妊婦の喫煙率は13~25%で、その英国の研究調査に参加した喫煙妊婦たちのパートナーも、7割以上がタバコを吸っていた。


“子供ができたからタバコをやめた”のではなくて、“子供が欲しいからタバコをやめた”彼女は正しい。


『彼は吸うの?』

「吸うんです」

『じゃあ、やめさせなきゃ!』

「やっぱりダメですか?」

『ダメよ。子供の将来にかかわるわ!』

「じゃあ、がんばってやめさせます!」


少子化が深刻な今の時代、大切な子供たちはぜひ、健全な家庭で育ててもらいたい。






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