毎年、新人ナースに講義をすることになっている。
先週は桜騒ぎで病院内を走りまわっていたから、準備をする余裕がなく、今朝は1時間早く出勤して、九時からの講義資料を準備した。
ところが早朝に緊急入院した担当患者さんを当直医から引き継がねばならず、患者さん本人とご家族への病状説明と指示出し、検査オーダーを行い、講義もこなして、朝から飲み食いしないまま喋り、働き続けて、気づいたら昼休みもすぎていた。
午後の禁煙外来もハイテンションで喋りまくり。
夜の会食でも、喋りまくり。
変なクスリやっちまったのか?と自分でも疑いたくなるようなハイテンションが一日中続いた。
この時間になってもブログ書いてるから、まだテンションさがりきっていないのだ。
なんだかおかしい。
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入院した患者さんは88歳。
在宅酸素療法をしているが、心肺機能はかなりおちてきており、12月にも気管支炎で入院したばかりだった。
今回はしっかりとした肺炎。
心臓にも負担がかかってしまっている。
3月にお祖母さんの50回忌を取り仕切ったり、自分の米寿のお祝いに孫たちと会食をしたりといったことが続いて、疲れが出たのかもしれない。
このくらいの状況では、回復できないこともありえる。
前回の入院のときも、延命治療はしてもらいたくないとの御本人のしっかりとした意思表示があったが、抗生剤内服で回復し、退院した。
でも今回はしっかりとした肺炎だし、心不全も合併しているから覚悟しておいてもらわないといけない。
幸い御本人の意識はしっかりしており、認知症もないので、改めて治療介入をどこまで行うかというご相談ができた。
もちろん、人工呼吸器を装着しないと酸素化が十分確保できないくらいの事態になったら、救命は困難で、かつ本人の苦痛を増すだけなので、そのような過剰で無効な治療は行わない、と主治医としてはっきり意見を申し上げた。
「もちろんですわ。そんなことはせんでもよろし。延命治療は本人のためになりません!」
「以前からそのようなお考えであることは伺っていましたが、考えも時間がたつとかわることがあるので、改めて確認させていただきました。了解いたしました。院内周知しておきます。」
そんな話を朝から患者さんやご家族として、検査結果が出揃ったら再び詳しくご説明しますよって、1時間講義してきます、とことわって、ピヨピヨ1年生の教室へ。
朝だというのに、どんより、受け身聴講の空気が漂っていたので、まず一喝した。
「この講義のために仕事を中断してわざわざ来ているんです。積極的に学ぼうという姿勢をみせなさい。そうでなかったら、患者さんに対して失礼だし、申し訳ないです。私も後悔したくないので、あなた達からなにか一つもらって帰るつもりでいます!」
イッパツかましておいて、本題に入る前の枕は桜の話。
そうしたら、最期の花見を一緒にした患者さんたちのことがおもいだされて、また泣けてきて、ピヨピヨたちの前で声を詰まらせた。
完全に感情失禁だ。
いや、こういうのは、きっと近くにその人たちがきているのかもしれない。
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