【今週末はどこに行こう?】今週末行きたい 展覧会・イベント

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かってに選ぶ BEST作品 -2015。

2015年12月31日 | アート・今年のBEST展覧会・作品

(写真は「日産アートアワード」が行われたBankART Studio NYKから見える風景。
共通のテーマがあったわけではないので”Best展覧会”としては挙げませんでしたが、各アーティスト独自のテーマの作品が観られ、今年強く印象に残る作品が多い展覧会でした。)

 

昨日、「かってに選ぶ BEST展覧会 -2015。」という記事をupしましたが、先日「ぶらぶら美術・博物館」の年納めのBest5を観ていて、こちらは”展覧会”ではなく”作品”のBest5を選んでいることに気づきました。
構成やテーマも気になる”展覧会”に対して、純粋に”作品”だけで観るとどの作品が好きだったかな?と思い出してみました。

「BEST展覧会」とかぶるものもありますが、選んでみるとこんな感じになりました。(作品1つに絞れず、アーティスト5名、という感じになってしまいましたが…)

 

1位: 「モレモレ:与えられた落水 #1-3」「アーバン・マイニング:多島海」/ 毛利悠子

「モレモレ:与えられた落水 #1-3」/ 毛利悠子 / 日産アートアワード2015 ファイナリスト7名による新作展 @BankART Studio NYK にて)

今年最も印象に残ったのは毛利悠子さんの作品です。
昨年の横浜トリエンナーレや、札幌国際芸術祭の作品もとても面白かったのですが、今年拝見したこの2作品は今までの作品からの一貫した世界観を持ちつつ、テーマや表現方法は全く異なってることが驚きでした。「モレモレ:与えられた落水 #1-3」「アーバン・マイニング:多島海」、ともに複数回見に行きましたが、どちらも観れば観るほどに新しい表情が見え、観る人によっても様々な捉え方ができるところも面白く感じました。

(「アーバン・マイニング:多島海」/ 毛利悠子 / スペクトラム ―いまを見つめ未来を探す@スパイラル にて)

「モレモレ:与えられた落水 #1-3」で日産アートアワードのグランプリを受賞され、これからロンドンでの滞在制作もなされるそうですが、今度は新しい土地でどのようなテーマの作品をつくられるのか、とても楽しみです。

 

2位: 「以心分身」「LOST#13」「LOST#14」/ クワクボリョウタ

(「以心分身」/ クワクボリョウタ / 「日常事変」@川口市立アートギャラリー・アトリアにて)

クワクボリョウタさんの影を使った作品のシリーズ、特に 川口の展覧会で拝見した「以心分身」は、考えてみればとても単純な原理なのに、誰も考えつかないような世界を見せてくれるところが素晴らしかったです。「インタラクティブな作品」というと、デジタルの世界のように考えてしまいますが、アナログでも(大変精密な調整で出来上がっている世界ではありますが)工夫次第でそのような世界がつくり出せることに感動します。

「LOST#13」 / クワクボリョウタ / 動きのカガク展 @21_21 DESIGN SIGHTにて)

LOSTのシリーズもまた同じように、ただ灯りをつけた電車が走るだけで映画のような世界が繰り広げられる様子に感動します。特に”別府・混浴温泉世界”で拝見した「LOST#14」は、今はがら空きとなったかつての地下繁華街の空間にそこにあったものを用いて作りだされた世界の作品であり、さらにツアーで1回しか観ることができなかったこともありとても印象的でした。

 

3位: 「Sound Sphare」、「Video Sphare」、「VINYL」、「Echo of Wind」/ 八木良太

(「Sound Sphare」/ 八木良太 / 八木良太展 サイエンス/フィクション @ 神奈川県民ホールギャラリー にて)

(「Vinyl」/ 八木良太 / 八木良太展 サイエンス/フィクション @ 神奈川県民ホールギャラリー にて)

横浜での個展で拝見した「Sound Sphare」、「Video Sphare」は、形状の美しさに加え、なぜ音や映像にはじまりと終わりがあって、順番に再生しないといけないと思っていたんだろう?なぜ観たままの映像が再生されないといけないと思っていたんだろう?と、これまでの常識を疑うきっかけをくれる作品でした。加えて、氷でできた「VINYL」も含め、人が手を加えなくても、その時にしか聴くことのできない”ライヴ”のような音楽が再現されることに面白さも感じました。

(「Echo of Wind」/ 八木良太 / 六甲ミーツアートにて)

「六甲ミーツアート」で安藤忠雄さんの「風の教会」中につくられた「Echo of Wind」は、美しい空間の効果もあり、神聖な雰囲気も感じる作品で非常に印象に残っています。

 

4位: 「アウト・オブ・ディスオーダー(生命の風景)」「アウト・オブ・ディスオーダー(薮々)」「アウト・オブ・ディスオーダー(70年草木は生えなかったか?) 」/ 岩崎貴宏

(「アウト・オブ・ディスオーダー(生命の風景)」/ 岩崎貴宏 / 「岩崎貴宏展―山も積もればチリとなる」@黒部市美術館 にて)

岩崎貴宏さんの他のシリーズの作品も好きなのですが、印象に残ったものは「アウト・オブ・ディスオーダー」シリーズばかりになってしまいました。

(「アウト・オブ・ディスオーダー(70年草木は生えなかったか?) 」 / 岩崎貴宏 / 日産アートアワード2015 ファイナリスト7名による新作展 @BankART Studio NYK にて)

とりわけ印象的だったのは黒部での個展の塩や乾麺を使った「アウト・オブ・ディスオーダー(生命の風景)」と日産アートアワードでの髪の毛を使った「アウト・オブ・ディスオーダー(70年草木は生えなかったか?) 」。”ミニチュアの風景作品”というわけではなく、ひとつの風景の作品の中に、異なる土地や異なる時代の風景が重ねて描き出されていることに驚き、様々な角度からぐるぐると何度も観て考える作品でした。

また、「アウト・オブ・ディスオーダー(薮々)」などの日用品を用いたシリーズでは、作品の面白さとともに、何気なく使っている日用品の個性や美しさにも気づかされました。

(「アウト・オブ・ディスオーダー(薮々)」/ 岩崎貴宏 / 「岩崎貴宏展―山も積もればチリとなる」@黒部市美術館 にて)

 

5位:「Lifelog_turquoise parrot」/ 小松宏誠

(「Lifelog_turquoise parrot」/ 小松宏誠 / 「the art fair +plus-ultra 2015」にて)

「the art fair +plus-ultra 2015」で拝見した作品です。小松さんの鳥の羽根を使った作品は「Lifelog_glider」、「Lifelog_シャンデリア」など、羽根の特性を生かした軽く美しく動きのある「生」のイメージが強く、そういった作品がとても好きでした。ところが、今回のこちらの作品は一見残酷なイメージだったので観た瞬間はショックでした。でも ”死んだ動物から美しい植物が育つ” という様子を想像すると、「死」のイメージも暗く悲しいものだけではないようにも見え、徐々に「死」=”負”のイメージの作品ではないように見えてきました。

「Lifelog_glider」/ 小松宏誠 / 「大気(air):旋律(air)」@gallery COEXIST-TOKYOにて)

一方、こうした鳥の羽根や剥製を美しいと感じてしまうことがなんだかいけないこと(毛皮などを好むようなイメージ)であるようにも感じられ、美しく感じる気持ちと嫌悪感が同居するような感覚にもなり。とても美しいながらも複雑な感覚で印象に残る作品でした。

 

他には、
凹面鏡と光を使い、本当に単純な原理で幻想的な世界をつくり出していた
「TodaysArt.JP」での「LIGHT BARRIER 2nd EDITION」/ Kimchi&Chips ,

 

観たこともないほどの漆黒を描き込むことで、美しい光の世界を描き出していた
「田中千智展  I am a Painter」での「きょう、世界のどこか」 / 田中千智



”「発砲」より「発泡」がいい。””「AKにうたれるよりは、sAKeにうたれたい。」”と、パリのテロ事件を間近で体験した後に、人を殺すナンセンスマシーンである”銃”を、人を笑わせるナンセンスマシーンに変えてしまった
「ULTRA x ANTEROOM exhibition 2015」での「ナポレオン銃」/明和電機



日用品の”置き方”を変えるだけで、観たこともないような彫刻作品に仕上げてしまった、
「アーティスト・ファイル 2015 隣の部屋 ―日本と韓国の作家たち」での「4 jeans (on wall and floor)」/ 冨井大裕

(「4 jeans (on wall and floor)」/ 冨井大裕  (写真は「小さなアーティスト・ファイル」より))

日常の風景や音を抽出することで、美しい音と光の空間をつくりだしていた
「日産アートアワード2015」での「Quantize #5」/ 久門剛史

 

なども印象的でした。

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こうして挙げてみると、自分の印象に残った作品は「原理が単純だけれども発想と美しさが飛び抜けているもの」、「政治的なテーマよりも、身近なことがらをテーマにした作品」、「日常に違った視点を与えてくれる作品」が多いなぁと感じました。

 

今年も素晴らしい作品、新しく知るアーティストさんの作品にも多く出会うことができ、新しい視点・考え方を見せてもらうことができました。来年も素敵な作品に出会えますように。

 

それでは、皆さま、よいお年を!

2015.12.31 PLAstica.


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