CULTURE CRITIC CLIP

舞台評
OMSの遺志を引継ぐ批評者たちによる、関西圏のアートシーンを対象とした舞台批評

神様とその他の変種 NYLON100℃

2009-06-08 13:39:00 | 西尾雅
2009.5.23.18:00 シアターBRAVA! 幕前にいきなり登場する自称神様(廣川三憲)が本作を象徴する。うす汚れたどう見てもホームレスの立ち小便男が「自分は神様」だと名乗り、物語の開始を告げて狂言回しを務める。そのうさんくささに自ら言及してシュール感はさらに増す。ひと筋縄ではいかぬ印象をのっけから抱かされ、観客は驚くしかない。つまり、演劇が そもそも虚構であること、現実もまたさまざまな二重性に満ちていること、その事実を冒頭であっけらかんと開示されたことにだ。あっけに取られた観客は、否応もなく屈折した笑いとシリアスなテーマが入れ乱れる物語に引きずり込まれる。 . . . 本文を読む

街街(マチガイ) 乾杯

2009-06-07 17:43:43 | 松岡永子
2009.5.24(日)18:00 FLOTE  たとえば。芝居途中携帯電話でタクシーを呼び、それに乗って役者たちが去って、休憩になる。たとえば。劇中「(本を)読むのをやめろ」と叫ぶと、照明が落ちて芝居が中断する(この劇中の「読書」とこの現実中の「観劇」は等価だと示す演出)。  場所は安治川トンネルすぐの元倉庫。シャッターを上げたまま芝居を始め、前の道路を舞台に取り込む。倉庫の一隅にある荷物用エ . . . 本文を読む

ヨル♪宮澤賢治'09 お茶祭り企画

2009-06-07 17:41:26 | 松岡永子
2009.5.17(日)15:00 スペースYMO   十三にある元ジュース工場だったというスペースでの公演。  川島むーは、これまでにも『セロ弾きのゴーシュ』などの朗読をしているが、今回のテーマは「恋愛」だという。賢治の作品に恋愛ものってあったっけ、と思う(不明でした)。  前半では、詩、短詩を解説ふうの語りをまじえて読む。  入院中世話をしてくれた看護婦さんとの結婚を(彼女の承諾なく)宣言 . . . 本文を読む

THEホテル ~もう一度、ここから~ あみゅーず・とらいあんぐる 

2009-06-07 17:38:39 | 松岡永子
2009.5.16(土)19:30 ウイングフィールド  あみゅーずは変わらない。  毎年同じように優しく幸せな気分になる芝居を同じ時期に公演する。流れ、移り変わっていく時間の中で、変わらないでいることは簡単なようでたいへんなことだ。  オープニング、恒例の曲にあわせて出演者たちがポーズをとる。小粋、という最近めっきり聞かなくなった言葉が思い浮かぶ。  今回はホテルを舞台にした三つの話をコミ . . . 本文を読む