日中は暑い日が続いてはいるが、朝と夜は涼やかな空気になってきた。もうじき良い季節を迎える。
9月初め、いい報せが入った。
息子が名門のバイオリン教室をやめて、一般向けのバイオリン教室に通うことになった。
ピアノもそうだと思うが、バイオリンは特に、上達するためには生活の最優先事項に「練習」を組み入れなくてはいけない。
一般庶民の、両親共働きの家庭では無理がある。生活に軋みが生じてしまう。8歳の息子をバイオリンに縛り付けるのも決して良くないことだ、と思っていた。
この2年くらい、バイオリンをやめさせるように妻に進言していたが、ようやく「折衷案」として名門教室からの離脱を決断してくれた。
バイオリンを演奏できるということは人生の中で非常にメリットではあるが、上達するには苦痛が伴う。好きじゃなければ、しなくてもいいものだ。
◇
息子がバイオリンを始めたのは3歳11か月目。私が勧めた。
レイト・スターターの親父と違って、音を響かせる人になってほしかった。4歳前、ぎりぎりのアーリー・スターターとして、8分の1バイオリンを手にした。
はじめのうちは、弓に松脂を塗るのが楽しかった。音符を追うだけの曲なら楽しんで弾けるようになった。
◇
が、アーリースターターしかいない教室では「楽しさ」よりも「上達」が求められた。
教室だって高い授業料をもらっているんだから、まず上達させなくてはいけない。で、家庭での練習量が求められる。よその生徒についていけなくなった。
教室でのレッスンなどはあくまでも「ヒント」であって、自宅に帰ってからの自主練習こそが不可欠、それがバイオリンだ。
母親が専業主婦であることが絶対条件。
約5年、職業を持っている妻はよく頑張ってきたとは思う。息子もよく我慢したものだ。
◇
9月から息子が通うバイオリン教室は、まず「楽しく弾く」ことが最優先。「上達
」はその延長にあるもので、決して必須事項ではない。
◇
で、今年6月からレッスンを休んでいたオレ。
何だか、やりたくなってきた。ずっとバイオリンに触っていなかった。
休会前と同じ福島の教室に通うことは勤務状況に照らして無理なので、かつてお世話になっていた郡山の教室に、休日限定で9月から再び通うことにした。
◇
音楽をする生活に戻る。よい秋になりそうな気がする。
妻が苦心して調整したのだろう。息子が習う先生は、私がずっと習っている先生。
実力はもちろん一級品、なにより人柄がやわらかい。この先生、心の根っこの部分に「人の立場に立って考える姿勢」がどしんと据えられているのだ。
◇
息子がバイオリンを続けるかどうかは分からない。
最初のレッスン日となった5日の夜、電話をくれた。
「お父さん、きょうのバイオリンは○○先生だったんだ」
「うまくいったか?」
「んー、でも楽しかったよ。今度一緒にやろうよ」
何年か後、「カノン」か「シシリアーナ」を親子でやれたらいいな。
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