あつき血汐にふれも見で…
「先日、愛知県津島市で未発表の短歌が見つかり、歌人の与謝野晶子が再び脚光を浴びている。晶子は実は、100編近い童話も残した。・・・・」
このコラムについて、前回は「お札の顔」ということを書いた。今回は、続きとして、「やは肌の・・・・・」の部分について。
コラムの最後は、
私のような女に、惚れられてみなさい・・・・
と結んであるのだが、まぁ、男のほうにも選ぶ権利というものがありまして・・・・
「やは肌のあつき血汐にふれも見で…」だが、YouTubeの「2013 TOYOTA SAI(AZK10)トヨタ サイ」。30秒のCMで使われている。
助手席の女がつぶやく。
「柔肌の熱き血潮に触れもみで寂しからずや道を説く君。
わかるでしょ?」
心の中で、「口説きなさい、ってこと・・・」
運転する男は、さらりとパワーウィンドを下げる。そこには満月が・・・すると、女 「いじわる・・・」
(口説きなサイと言って、トヨタの「サイ」をアピールしている・・・)
解説が長くなるかもしれないので、キーワードをメモっておくと、
・柔肌の・・・
・月・・・・
まず「月」から。
夏目漱石が英語教師をしていたとき、生徒が " I love you " を「我君を愛す」と訳したのを聞いて漱石先生は、「日本人はそんなことを言わない。月が綺麗ですね、とでもしておきなさい」と言った。その逸話から、遠回しな「告白の言葉」として使われる。
月が見えるように窓を開けたのは、口には出さなかったが、「I love you」をコクったわけである。
男が自分の気持ちを、言葉にしなかったことに対して女が「いじわる・・・」とつぶやいた、という次第。
「産経抄」で少し出ていた「やは肌のあつき血汐にふれも見で…」の全文は、
「やは肌の あつき血汐に ふれも見で さびしからずや 道を説く君」
1901(明治34)年に発表された与謝野晶子の処女歌集
「みだれ髪」の中にある。
「ふれも見で」の部分がわかりづらいが、ここは、
「ふれ」=「触る」の連用形。
「も」=係助詞、意味を強調
「み」=「みる」未然形。
「で」=打消し接続の接続助詞(~ないで、の意)。
ということで、「触れてもみないで」、「触れようともしないで」、という意味。これで、かなり意味がわかってきた。
・・・熱く昂ぶったこの肌に触れようともしないで、あなたはわかったような顔をして人の生きる道を話し続けるの?
まぁ、 ここ などには、もっと過激な解釈も載っているがKYかよ、という主旨は、だいたい似通ったものだ。
もっとも、「さびしからずや」の部分は
「さびしくないのですか?」とか
「さびしくないのですか? (私はさびしいのよ!)」
という解説が多いが・・・・
早く言えば、
「つまらないこと言ってないで、早く私を抱いて !!」
ってことで・・・、アクティブ~。。。
トヨタ「サイ」のCMは、イヌとかキノコとかの低俗な昨今のキャリア各社のCMに辟易していたところだったので、久しぶりの清涼剤のような爽やかさだった。
そう言えば、いいCMといえば、いつの時代もウイスキーのCMだ。
リー・ヴァン・クリーフ/サントリーオールド
http://www.youtube.com/watch?v=z6A7Rj0gqsQ
『家族の絆』シリーズ
http://www.youtube.com/watch?v=ejU2a91y3YU
恋は、遠い日の花火ではない
https://www.youtube.com/watch?v=XmfLDpIZTY0
バックに流れている曲は、「人間みな兄弟~夜がくる」
http://www.youtube.com/watch?v=zf0B9pavB6o
JR東海の「クリスマスエクスプレス」や、「そうだ 京都、行こう。」なども、いつも心を打つ。
はてさて、金沢新幹線は、琴線に触れるようなCMを
届けてくれるのだろうか?
<感動する話>・・・参考まで
すべての費用は30年前に支払い済み
https://www.youtube.com/watch?v=A30doCeaG4o&feature=youtu.be
先生と少年
https://www.youtube.com/watch?v=Wo1mMML1MOE