『魚と寝る女』や『うつせみ』など、独特のリアルかつ
残酷なスタイルで好き嫌いのはっきり分かれる韓国のキ
ム・キドゥク監督。本作は、死刑囚の男と、その男に盲
目的な恋をする女との悲しくも儚い恋物語です。実をい
うと、キム・キドゥクの映画は苦手です。
本作は、『うつせみ』で出会った思いがけない感動もな
く、ただ強烈な映像だけが全面に出てしまった印象を受
けたのですが…。
「僕は、現実にはありえないような、状況を映画にするの
が好きです。まるで水と油を混ぜるようにね。社会の不協
和音を克明に明かしていきたいのです」と語るキドゥク監
督。「実際、僕にとっては、人間関係をはじめ、社会とう
まくつながっていくのが、すごく難しいんです。映画の世
界に入る前は孤独な生活を送っていました。工場に勤務し
ていた。映画の世界に入ったのは、世間とコミュニケーシ
ョンをとる手段でもあったのです」。
俳優のチャン・チェンとキム・キドゥク監督
また「韓国では、僕の作品を分かってくれる人がほとんど
いません。もし、50人に1人でも『グエムル 漢江の怪
物』(1300万人の観客動員数)のお客さんが、僕の作品を
見てくれたら嬉しいです。僕の映画を好きになってくれと
はいわないけど、ただ僕がやることをそっとしておいて欲
しいんです」。
|