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Retro-gaming and so on

元祖肉食系女子

前回、講談社のラブコメの「薄い」歴史を書いたが、2015年になる辺りまで、殆ど唯一、と言って良い講談社のラブコメ性交成功作である「The♥かぼちゃワイン」の言及をしてみた。
んで、「ひっさびさに読みたいな」と思ったら、何と、廃刊・絶版書を著者から公開許諾をもらって無料公開するサイト、マンガ図書館Zの方から「The♥かぼちゃワイン」が全巻無料公開されてんだな。知らんかった。
懐かしさもあって、一気に読んじまった(苦笑)。

若い人は聞いたことないかもしれんけど、実はこのマンガ、アニメ化されるくらい人気があったんだ。当時は既にマガジンの人気ってジャンプに追い抜かれてた(下手すればサンデーにさえも)、んだけど、マガジンに載ってたマンガとしては相当健闘してたんだ。


このマンガのヒロイン像ってのはメチャクチャ特徴がある。元祖・肉食系女子って言って良い程だ。主人公男子がヒくくらいガンガン押していく。まるで夜間のサーチライトの如く好き好き光線がものすごい(笑)。
ヒロインLは中学校二年生で既に身長180cmと大柄で巨乳(笑)。そして主人公への好意が最初からハンパない。内に秘めたる愛を育てるなんて余裕はない(笑)。初回から全力投球、と言う至極珍しいキャラだった。
いや、今のハーレム系ラブコメだと出ないわけじゃないキャラタイプなんだけど、このテのキャラってハーレム系ラブコメではメインヒロインにはならないのね。いちご100%で言うと北大路さつきタイプか。
どうしても、ラブコメ系だとメインヒロインは芯は強いけどおとなしめ、っつー、なんつーんだろ、理想像たぁ言わないけど、「万人(男子)が考えるトコの標準的な女の子」、いわばステロタイプを持ってくるんだよ。浅倉南みてぇな?
これはラブコメの作者がワンパターンなヒロイン像しか持ってない、ってわけじゃなくって、作劇上のリスクヘッジなんだよね。だってヒロインが「ウケ」なければマンガがウケないわけじゃない。そうすると「無難な女の子像」を当てはめるのが一番なんだ。
それでもっとリスクヘッジするならポートフォリオな発想で、ハーレム系にして「よりどりみどりで」いろんなタイプの女の子を出す、と(笑)。そうしておけば、読者の誰かの「推し」として引っかかるだろう、と(笑)。
多分勘違いされてんじゃねぇのかな、って思うんだけど、「ハーレム系」って主人公が女の子にモテモテ、と言う「男性願望」を漫画化してるわけじゃねぇのな。そうじゃなくって、「メインヒロイン」は「スタンダード(と思われる)な女性」の代表格として設計はされてんだけど、そうじゃないタイプが好き、って男性もいるわけで(例えばメインヒロインが貧乳だった時に巨乳好きをどうするのか、って問題だ・笑)、そういう人の為に「ハーレムの中に好みのタイプの子を用意してる」ってそういう事なんだよ。
AKBが48人も用意してるのと同じ理由だ(笑)。
でも、今考えると、こういう「肉食系グイグイな」ヒロインを設計してメインに持ってきた、ってのが原作者の三浦みつるの天才性なんじゃ、って思う。後続のラブコメを考えてみても、こういうメインヒロインってのはすごく珍しいんだ。
また、逆に主人公は(男だけど)今で言う「ツンデレ」タイプなのな。
と言うワケで、ツンデレ(男) + 肉食系女子、と類を見ないようなラブコメが出来上がった。まさに今見ても「ユニーク」な作品になってると思う。

ちなみに、今の目で見ると絵柄が鈍臭い、とか思うかもしんないが、当時の「汗臭い」少年マガジンだとわりかし垢抜けてたんだよな。少年ジャンプなんかも絵が汚い作家ばっかだった頃だし、当時「可愛い絵」が誌面に増殖し始めてたのって「少年サンデー」くらいしかなかったんだ。だから当時の三浦みつるの絵って、全誌見てみても相当「可愛い」部類の絵だった、って事は言っておこう。うん、マガジンらしからぬ絵だったんだ。
それもあって、講談社の少年向けマンガとしてはどっちにせよ、長い間「異色作」だった本作。是非ともマンガ図書館Zで楽しんで欲しい。
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