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Retro-gaming and so on

RE: 昔のソフトハウスの話とか

星田さんみたいに(サイバー上で)近場にX68000ユーザーがいる、と言うのはありがたい。
と言うのも、ぶっちゃけるとX68000のソフトで何が面白いのかサッパリ知らんから、だ。
これは皮肉で言ってるわけじゃなくって、僕も似たようなPCを持ってたから、だ。
うん、Commodore Amigaだ。

SHARP X68000もCommodore Amigaも、同時代のPCに比べると破格の動画性能を持っていた。
ところが、性能は高いんだけど、両者とも「性能を活かしまくったソフトウェア」とか「性能を活かしまくったゲーム」とか、知ってる範囲で言うとほぼ出なかったんだよなぁ(笑)。
理由はハッキリしてる。やっぱりソフトハウスから言わせると、自社ソフトを市場に流通させるとしたら、ターゲットは「一番普及してるPCにしたい」ってのは当然の事、となる。売れる数が違うからな。

仮にここで、プログラムを作るプログラミング言語として、「ポータビリティが高い」、つまり移植が比較的ラクな言語を選ぶとしよう。
偶然ながら、SHARP X68000もCommodore Amigaも、プログラミング言語としては当時は珍しく、C言語を推していた。そもそも両者共OSの大部分はC言語で書かれていて、C言語系ツールとの相性は抜群だったんだ。これは当時では結構珍しかった。
仮に他のPCでゲームをC言語で開発してたとしたら(それ自体が当時は珍しかったんだけど)、X68000やCommodore Amigaにそのゲームを移植するのは比較的簡単になるだろう。
ただし、だ。問題はグラフィック部分だ。
この当時のソフトハウスの手法としては、グラフィックは一番売れている低機能のマシンに合わせる、と言うのが主流だった。
結果どうなるだろう。
80年代当時だと、日本で一番売れたPCはNECのPC-8801と言う8bitマシンだ。これに合わせてグラフィックを作る。
そうするとPC-9801で同じソフトをリリースする際にはその8801用画像を流用する。X68000でも8801用画像を流用する。
結果どうなるか、っつーと、32,768色も表示出来るX68000の「画像出力の能力」は殆ど宝の持ち腐れ、になるんだ。
これはCommodore Amigaでも事情は全く変わらなかった。初期のAmigaは通常、最大で32色〜64色同時出力が可能だったが(X68000よりスペックは低いが、これは開発時期がX68000より遥か以前だから、だ)、その殆どのゲームはスペックがより低いApple II、Commodore 64、Apple MacintoshやIBM-PCのゲーム画像の流用だったんだ(だからそれらスペック上限の8色しか使わない事となる)。
これはソフトハウス的な選択としては当然の選択なんだけど、「マシンスペックに惚れ込んで」そのホビーパソコンを買った層に対しては甚だ「残念な」結果となる。
星田さんが書いてる、

X68000のエロゲのグラフィックは色数の多さに任せて適当な塗りだったり吐き気するようなグロ実写だったり・・何よりゲームで手間かけるのは駄目でしたw。
 ちなみにCGも当時はX68000よりもPC88とか98の16色でなんとか表現する!という執念の込められたドットの方が好きでした。

と言うのは当然の気がする。
多分「適当な塗り」なんじゃなくって、低スペックPCの画像の「コンバート結果」がそうだったんだろう。




エルフの大ヒットエロRPG「ドラゴンナイト」。一番上からX68000版、PC-9801版、PC-8801版、となってて、悲しくもX68000版はPC-8801版の低クオリティ画像を完璧に再現している(笑)。結果、PC-9801版が「一番マシ」だったりする。
このように、X68000「ならではの」移植作など殆ど存在しない。

もちろん、アクションゲーム等では良いゲームがあるんだろう。でもアクション苦手な僕みたいなタイプのヘタレには、なかなか「これがX68000の魅力」と言うゲームは伝わらない。
繰り返すけど、それは「X68000だから」じゃなくって、かつてのCommodore Amigaでも同じ現象が起きてるんだ。
ソフトハウスは「一番売れてる低スペックPC」に合わせてゲームをリリースする、と言う事を(※1)。

アルシスソフトウェアがその後「グランツーリスモ」の制作に関わっていたということを知って驚いた。

多分、アルシスソフトだけじゃなくってX68000でゲーム作ってた連中は、任天堂には行かなかったけど、セガやSONYのプラットフォームへ行った、ってのはそこそこあるんじゃないですかね?
セガはメガドライブがX68000と同じCPUを使ってたから、メガドラ部隊になって、それからズルズルとサターンやドリキャスに参加、とか(笑)。
PlayStationでも立ち上げから暫く経って、打倒マリオ/ソニックを目指して開発された、と言われたゲーム「ジャンピングフラッシュ!」の制作を担当したのが、X68000サードパーティとして「ジオグラフシール」を作ったエグザクトだったんです。
まぁ、「マリオ/ソニックを倒せ!」とか言いつつ自社開発せずに下請けに丸投げ、ってのが如何にもSONYなんだけど(笑)、いずれにせよ、X68000での「ジオグラフシール」を見て、エグザクトを口説いて企画を成立させたらしい。




「ジオグラフシール」と「ジャンピングフラッシュ!」。今見てみると、ゲーム性等も「ジオグラフシール」は殆ど「ジャンピングフラッシュ!」のプロトタイプである。
と言うか、「ジオグラフシール」を発展させた続編が事実上「ジャンピングフラッシュ!」だろう。

メガドライブ買ってたら(ゲームするだけなら)十分でしたからねぇ。

うん。
でもスーファミの方が(ry

日本のGNUのツールの日本での発展に大きく関係してたとか・・まさしく宝の持ち腐れだった・・(^_^;)

GNUのはじめの製品がGNU EmacsとGCC(GNU Compiler Collection)だったんだけど、有志によりX68000に真っ先にGCCが移植されたんじゃなかったかしらん。
だからPC-9801なんかより先にフリーソフトウェアが広く浸透したのがX68000だったと思います。
開発用ツールとしてもPC用Emacsとして当時有名だったMicroEmacsなんかがX68000にはアッサリと入ってきてた筈です。
(なお、MicroEmacsはCommodore Amigaでも添付ソフトだった)


X68000のOS、Human 68Kには往年のPCらしく、XBASICと呼ばれるBASIC言語処理系も入ってて、すぐBASICによる楽しいプログラミング(笑)が行えた。

あ、まだ実機持ってます。

あら、羨ましい。

モニターは多系統の入力が出来て便利でPC88とファミコン、ビデオデッキにつないで使ってた

この辺もCommodore Amigaに似てるんですよね。
CommodoreのAmiga用純正モニタも色々と入力可能になっていて、割に便利だったもんです。
当時はマルチシンクモニタとか言ってたなぁ・・・・・・。
余談だけど、X68000ってよくMacと比較されてたけど、実際はターゲットはどっちかっつーと日本じゃマイナーだったCommodore Amigaだったと思う。
X68000ってツタンカーメンのイメージなんだけど、Commodore Amigaもそれで、結局一番意識してたのは「カラーが無かった」MacじゃなくってCommodore Amigaだったんじゃないかしらん。






上がX68000のツタンカーメン、下がCommodore Amigaのツタンカーメン。
正確に言うと、Amigaの場合、Amigaそのもののイメージと言うより、Amigaの発表前から協力していた、エレクトロニックアーツの「デラックスペイント」と言うペイントソフトの最初のイメージがツタンカーメンで、それが転じてAmigaの代名詞のような画像となった。

アクションはやっぱりコンシューマが強くてPCはシミュレーションとかRPGでも高解像度(笑)と大容量を活かした緻密なものに活路を見出すしかなかったですかねぇ。

どうなんだろ。PC-9801なんか見てると明らかに「エロゲ」に活路を見出してたし(笑)。
実の事言うと、「高解像度」ってのもあんま無いんですよ。これはX68000に限らない、当時のPC全般的な傾向で、1つ1つピクセルを塗りつぶすより、4つで1つ、として扱ったような「低解像度」にしてるケースが意外と多かったんじゃないか・・・・・・。その方が画像の負担が減るし、割にそうやってスペック誤魔化してたケースが多かったんじゃないかな。
RPGもドラクエ出てから以降、むしろそっちの路線に影響を受けた「PCならではのRPG」を捨てた路線の方が80年代後半からは増えてた気がします。
いや、だから逆に質は上がってるんでしょうが。

シミュレーションはずっと「大戦略」がやりたくて「スーパー大戦略68」が出たときには飛びついて、本当に命を削ってやってましたね・・COMのターン待ちでビデオ入力に切り替えてディスクのゼルダをやったりホラー映画を見たり。ただ、スーパー大戦略は快適さを重視して間接攻撃ユニットが無かったのが悲しかったMLRS!

ぶっちゃけ、大戦略はかったるそうなんでやった事がない(笑)。
時間もすげぇかかる、って聞いてて、メガドラの大戦略とかコッチが一手進めると1時間も待たしてくれる、とかある種伝説のソフトになってますね(笑)。



ちなみに、大戦略って初代はBASICで書かれてたそうで・・・・・・いい時代だったんだなぁ(謎

一方のシステムソフトは・・毎年KOTYに選ばれてて寂しいっすね、まあ会社が残ってるだけマシか・・

なんか、社内でゴタゴタがあってからおかしくなった、って話じゃなかったかしらん。
システムソフトも関西のソフトウェアメーカー?
一回グループSNEが例によって関西のソフトウェアメーカーってぇんでシステムソフトと組んでTRPGをCRPG化して出したんだけど、その時(1995年)システムソフトの社内がゴタゴタ起きて、開発力が落ちてて、結果、バグだらけのクソゲーとしてリリースされ、ロードス島戦記 -> ソード・ワールドPC -> 神王伝説クリスタニアにて、フォーセリア世界は終焉を迎えます(爆)。
この辺からシステムソフトってダメになったんでしょうねぇ。


あと、意外と思われるかも知れませんが僕はエロゲは全然買わなかったですねぇ・・

いや全然。
僕もApple MacintoshとCommodore Amigaだったからエロゲとは縁がなかったです。
だって無かったんだもの(笑)!
X68000でも、上で書いた通り、原則X68000オリジナルのエロゲー、とかじゃなくってNECのマシンからの移植ばっか、なんで、イマイチ食指が動かん、ってのは当然かも。

敢えてRPGを一本挙げるとすればブランマーカー?



これも98のソフトだったんだけど、X68000にも移植。まぁまぁ遊べる。
まぁ、エロゲつってもヌードが出てくる、ってくらいかな。
あとは、エロゲのRPGって多くてもパーティメンバーがたった2人まで、って程度なのね。フツーのRPGに比べるとゲーム性は著しく下がるかも。

ADVなら史上最強の鬱ゲーと呼ばれる「狂った果実」なんかもX68000には移植されてるけど。ホラーゲーム好きにはいいが、そうじゃなきゃどうだろう。



あと、ゲーム性が無くどーしよーもねぇ移植モノ、っつったらLibido 7とか?
さすがにこれ移植されたらX68000ユーザーも満足だっただろう(なのか?・苦笑)。


基本的にここを見れば、いくつかX68000には移植されてるソフトがあるみたい。往年のエロRPGってばこんなモンかな(※2)。

最後にやはりクソゲーメーカー「日本テレネット」についてなんですが、驚くべきことにX68版(だけじゃないと思うけど)の「デスブリンガー」が面白かったので

なんか、デスブリンガーだけはそんなに評判は悪くなかった気が・・・テレネット創立5周年記念、とかで出たのかしら。
一回やってみようと思って、ぶん投げたままなんでやってみようかな。

PCでエンジンとかでも出てたんですね・・まあテレネットあるあるか

あるあるかなぁ(笑)。
確か、セガのメガCDなんかでも出てたよなぁ。

セガ メガCD版。キャラのグラフィックは一番マトモ?

ちなみに、僕がX68000でいいゲームだな、って思ったのは、これも何度か言ってるけどまずはエメラルドドラゴンかしら。


まず、エメラルドドラゴンってPC-88版も98版もバグがあるのね。
X68000版はそのバグが修正されている。
そしてこれが出る前にオリジナル版のグラフィックをやってた人(木村明広)が制作会社のグローディアを退社した為、新たにグラフィックを描き直さなきゃいけなかった(※3)。
そのお陰でPC-88版のグラフィックを流用せずに済んだ、と(笑)。そしてX68000の美麗なグラフィックを楽しめるようになっております。

あと、やっぱラプラスの魔でしょう。これも原作の88版のグラフィックはヒデェもんなんだけど、X68000版は物凄くよくなってます。
また、スーファミ版はヌルゲーなんだけど、こっちはマジで死ぬか、って言う程ハードなゲームになってる。何周もするような気力は全然湧いてこないんだけど、面白い。
これがグループSNEのデビュー作で、この処女作はまだ「マトモな」コンピュータゲームになってたんだよな(笑)。
この後からユーザー無視のキャラゲーばっか作るようになってくんだ(笑)。小説とブロックバスターとか、バカな事やりだしてからおかしくなっていく(笑)。
そういう意味だと、このX68000版「ラプラスの魔」は、グループSNEの処女作にして異端の作品かもしんない。
(続編の「パラケルススの魔剣」は、悪くねぇけど、やっぱユーザー無視のキャラゲーになってて、そっちはどっちかっつーとSFC版の続編のノリになってる・・・発表年は逆順だが)
星田さんには是非ともこれ、やって欲しいかな。

ちなみに、X68000ではここで紹介した医療(手術?)ゲーム「Life & Death」なんかがMacintoshから移植されている(※4)。


※1: ところで、黎明期のパソコンメーカーがほぼ全滅、あるいは撤退したのにAppleがどうして残ったのか、と言うのは、Appleが初のオールインワンパソコンを作った、って事もあるんだけど、よりソフトメーカー寄りだった、と言う事が挙げられる。
つまり、Macintosh立ち上げ時に「ソフトが揃わない事」を畏れたAppleには、実は自社でソフトウェアを作れるポテンシャルがあった、と言う事が他のメーカーにないAppleの優れたトコロであり、結果それがAppleを救っている。
と言うより、Appleの本質はハードウェアメーカーではなく、ソフトウェアメーカーである、と言う部分で、これがCommodoreやSHARPに足りなかった部分だ、と言えるだろう。伝統的にハードウェアメーカーはソフトウェアメーカーを下に見ており、「ハードさえ出してしまえばソフトウェアメーカーが勝手にソフトを出してくれる」と言う横着した態度が自社のマシンに不利に働いてる、と言う事を最期まで理解していなかった。
加えると任天堂が成功した部分もここで、サードパーティに頼らなくても自社だけでソフトが作れる、と言うのがSEGAにない部分だった(SEGAは社内リソースを殆どアーケードに全フリしてたので、家庭用コンソールを結果「本気」ではやってなかった)。

※2: 個人的には、往年のアーケードの脱衣麻雀のオリジン、「スーパーリアル麻雀」のシリーズが好きで、このゲームの移植度合いのクオリティはX68000版がPC-9801版を凌駕している。
ただし、X68000はフロッピーディスクベースのマシンなので、ディスク枚数がやたら多い。

※3: こんな事はフツーないんだけど、グローディアって言うメーカーはエメラルドドラゴンが出るまでは殆ど同人サークルのような状態だったらしく、法人として「権利関係をキチンと押さえる」習慣が無かったモノと思われる。
結果、この辺の事が災いとなって、エメラルドドラゴンの権利関係は現在も分散されまくってる状態になってる。

※4: 他にもX68000生まれにこだわらなければ、ドラゴンウォーズドラッケンダンジョンマスターラストハルマゲドンレミングスファンタジーIV、ポピュラスパワーモンガープリンス・オブ・ペルシャクオータースタッフシムシティシムアース、シムアント、ウルティマV、ウルティマVI等、名作ゲーム(一部は知名度だけ、だが・笑)も移植されている。
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