CALL ME

ライブレポートとCD評

fuse

2011-05-28 17:58:50 | ライブレポート
5月21日(土)
井上淑彦(Ts,Ss)
田中信正(P)
坂井紅介(B)
つのだ健(Ds)
於:Dolphy

夕方からダウンビートに行き、私が持ち込んだ「ペイサージュ」(渡辺貞夫)と1978年ライブ・アンダー・ザ・スカイのライブ盤「1+3」(ロン・カーター)をかけてもらった。
やはり、大きなスピーカーで聴くと迫力がある。それから時間つぶしにJUNK近くの立ち飲みやに行ったら、以前「KENZO」でよく会ったドノバンさんに会った。
ドノバンさんは昨年のKENZO追悼ライブ以来だ。
Dolphyには6時45分頃着いたが、お客が階段で並んで待っている。リハ中なので、外で並んでいたようだが、珍しい。いつもはリハ中でも店に入れるのに。

fuseは年明け以来だ。
前回のDolphyライブは、プーさんのベネフィット・ライブと重なったので行けなかった。
井上さんとしては4月30日ピットインのclepsydra以来だ。
あの時買ったclepsydraのCDを毎日聴いている。
今日はあのCDに入っている曲も演奏するかと思ったが、アンコールの「ずっと...」を含めて2曲だけだった。
ただ、正月明けに新曲として紹介された曲で、clepsydraのCDに入っていない曲も演奏した。
fuseはNHK-FM「セッション2011」に出演し、5/8に放送された。
私は現在FMを聴ける環境にないので、聴いていない。
つのだ健のブログによると、新曲ばかり演奏したようだ。
以前(7~8年前)出演した時は、日曜日だったのでスタジオまで聴きに行ったのだが、最近は木曜日に収録するので行かれない。
井上さんからFMの放送を聴いたか尋ねられたが、聴いていないと答えた。
ただ、放送以来、fuseの過去のアルバムがまた少し売上げを伸ばしたそうだ。
アンコールはいつものように「ずっと...」だった。
そして、いつものように帰りは頭の中で「ずっと...」のメロディが鳴り続けていた。

fuseの次回Dolphyライブは8/26(金)8/27(土)の2daysだ。

峰厚介(Ts)カルテット

2011-05-28 17:51:48 | ライブレポート
5月7日(土)
清水絵理子(P)杉本智和(B)村上寛(ds)
於:Dolphy

峰さんのグループを聴くのは久しぶりだ。
店に入ってびっくり。客席がガラガラだった。やっと2桁の人数だった。
7時40分頃から演奏が始まった。
峰さんのオリジナルばかりだったが、峰さんのグループを聴くのは久しぶりだったので、知らない曲ばかりだ。
2部で演奏した「モーニング・アフター」だけ知っていた。
ジャズの王道を行くような演奏だ。
寛さんのドラムは気持ちの良いビートを刻む。
この人をバックに吹くフロントは気持ちいいだろうな。
杉本君のベースは5弦ベースだ。以前からそうだったかな?
美人ピアニスト清水さんは20代の時から知っているが、スイングするとてもいいピアニストになった。
峰さんのSAXはこの日も素晴らしかった。バラードはよく歌うし、早い曲も音程がいいし。
やはり、この人は日本で最高のテナー奏者だ。
こんな素晴らしいメンバーで、やっている事も非常にレベルの高い事をやっているのだが、お客が少ない。2部は1桁しかいなかった。
GWのせいだけでもないようだ。
アンコールは「ラウンド・ミッドナイト」だった。
峰さんのバンドは2000年前後はいつも満席だったのだが、最近は入りがあまりよくないのかな?
何でだろう。
峰さんはお客に媚を売るような人ではないし、ヒット曲があるわけでもないからかな?
ピットインではどの位お客が入るのか知らないが。
演奏内容が素晴らしかっただけに、淋しい夜だった。


un jour/clepsydra(古代の水時計)

2011-05-04 17:00:15 | CDレポート
1.息吹き
2.丘
3.Little Tree
4.冒険
5.un jour
6.Barrel Organ
7.航跡
8.Spirit of the Forest
9.celestine
10.un chien
11.ずっと...

井上淑彦(Ts,Ss)
佐藤芳明(アコーディオン,ピアニカ,コーラス)
林正樹(P,コーラス)
仙道さおり(Perc,コーラス)

元気でかわいくて
ユーモラスで悲しくて
愛おしい
人の涙で動く時計

CDの帯に書いてあった言葉です。このアルバムのジャケットの絵を描かれた岩田さんが書かれたそうです。
この言葉がこのアルバムの音楽を端的に現しています。

clepsydra待望のアルバムです。本当は3~4年前に録音も済んでおり、発売されるはずだったのが、井上さんが長期療養に入ったため、結局発売中止になりました。今年2月に再録音し、今月に発売されました。
私は先週土曜日ピットインでのライブで買いました。
実はclepsydraは井上さんが病気になる前は1度しか生で聴いた事がなく、2006年横濱ジャズプロムナードをTVから録画したDVDで楽しんでいただけです。
だから、レパートリーはあまり知らないのですが、2006年のプロムナードで演奏していたのは1と8と11です。以前、録音した時より曲も変えたと思われます。とすると、廃盤にした幻のCDも聴きたくなってきます。
fuseのLittle Treeがすっかり形を変えているのには驚かされました。
6はパリを思い浮かべます。
佐藤芳明作曲の7はジプシーみたいなメロディで愛聴曲になりそうです。
8は林正樹の名曲です。
最後はここ5年間くらい、井上さんのライブでは必ずといっていいほど演奏される「ずっと...」です。この曲は一度聴いたら忘れられないメロディです。どこか日本的な哀愁のこもったメロディの名曲です。ピアノからだんだんフォルテになっていき、私はライブが終わった後は必ずこの曲を口ずさんでいます。fuseの演奏もいいですが、私は佐藤芳明のアコーディオンの入ったclepsydraの方が好きです。
井上さんの作曲能力は高く、以前からいいメロディを書きます。
以前は格好いい曲を書いていましたが、最近はシンプルできれいなメロディの曲が増えてきたような印象があります。
このアルバムでは林正樹の影響だと思われるのですが、コーラスを使ったり、ポップな面もあります。


clepsydra(古代の水時計)CD発売記念ライブ

2011-05-01 21:21:11 | ライブレポート
4月30日(土)
井上淑彦(Ts,Ss)
佐藤芳明(アコーディオン、ピアニカ)
林正樹(P、コーラス)
仙道さおり(Perc、コーラス)
於:新宿ピットイン

水曜日に続き、今日も新宿ピットインだ。ピットインに週2回行ったのは初めてではないかな?
井上さんはFuseとclepsydraの2つの対照的なグループを持っている。
各自のアドリブ中心で、始まってみないと本人達もどういう展開になるのかわからない、フリーが少し入ったストレート・ジャズのFuse。
一方、clepsydraは編成からみてもわかるようにワールド・ミュージックの要素を持つグループ。clepsydraはアドリブもあるが、曲の構成がかっちりしており、コーラスを入れたり、ポップな一面も持つ。
また、Fuseは井上さんのオリジナル中心だが、clepsydraはメンバーの曲も演奏する。
頭の固いジャズ・ファンはジャズではないと言って、敬遠するだろうが、私は大好きだ。

今日はCD発売記念ライブだった。
3年前に録音しており、発売するはずだったのだが、井上さんが長期休養生活に入ったせいもあり、CD発売がされなかった。
今年2月に再録音して、CDが出来上がり、今日は発売記念ライブの初日だった。
1部の後の休憩はCD発売とサイン会場と化した。
演奏した曲はだいたい知っている曲がほとんどだった。
林さんの名曲「Spirit of the Forest」も聴けた。
Fuseの「Grasshopper」の1曲目「Little Tree」の形がすっかり変わって、アメリカのインディアンがいる砂漠を思い浮かべる演奏だった。何でもこの曲はインディアンの血が混じっている作家が書いた小説に誘発されて作曲したとのこと。
パリを思い浮かべる演奏の曲もあった。
林さんと仙道さんのコーラスの入る曲はとってもポップだった。あれは林さんのアイディアかな?
アンコールはいつものように「ずっと...」だった。
ピアノの前奏に続く、ピアニカのメロディ。何度もテーマが出てくるが、
p(ピアノ)からだんだんf(フォルテ)になっていき、ずっと前を向いて元気に生きていくんだという気になる、とてもドラマティックな演奏だ。
CDにやっと「ずっと...」が入った。

こういう素晴らしいグループなのだが、お客の入りは悪く、随分空席が目立った。もっと認知されてもいいと思うのだが。


渡辺貞夫「東北地方太平洋沖地震」義援ライブ

2011-05-01 20:36:09 | ライブレポート
4月27日(水)
小野塚晃(P)納浩一(B)
石川雅春(Ds)ンジャセ・ニャン(perc)
於:新宿ピットイン

今年は水、木と2夜連続ライブだった。
今年のライブはチャリティになり、売上げは東北のジャズ・クラブの組合に渡すという事だ。どこに寄付するか店側と相談して、わかりやすい形という事で決めたようだ。
今回の震災で無くなってしまったジャズ・クラブもあるそうだ。

貞夫さんを聴くのは3月のプーさんのベネフィット・ライブ以来だ。
実はあの時、貞夫さんの演奏を聴いて、とても悲しい気持ちになった。
今年に入って、70年代、80年代の演奏を毎日聴いている。あの頃と比較する気はないが、10年前と比較しても、音量、音質共にかなり落ちたなと思った。
以前は三越劇場でやった時はPAなしだったし、ピットインでもほとんどPAを使っていなかった。それが、日野さんはマイクなしだったが、貞夫さんはマイクをたよっていた。
また、数年前にシルバーの楽器に変えて、音が出易くなったのは聞いていてよくわかる。 ただ、ゴールドと比較すると、硬質な艶が無くなったなと思った。
バラードは相変わらず素晴らしいのだが、音質も落ちたなと感じた。

今日は震災の影響で仕事の進捗がよくなく、危ないなと思っていたのだが、何とか来られた。
ピットインの地下入口で待っていたら、貞夫さんが目の前を通った。
握手をしてもらおうかとも思ったが、体が硬直してしまった。
私にとってはやはり神様みたいな人だ。気軽に声をかけるなんてとてもできない。

今日はここ20年位ずっとやっているメンバー。(メンバーは多少変動するが、ン・ジャセ以外は90年代からツアーを共にしているメンバー)
始まる前から想像できる演奏内容。
こちらの期待を裏切らない演奏内容。ただ、驚きはないが。
貞夫さんを今年も聴けた。それだけで、満足である。時々、メンバーの演奏に満足して送る笑顔。
最初に書いたように、今日も衰えはかなり感じたが、でもこれが現実であり、受け入れる事にした。もちろん、まだまだ総合的に見れば他のアルトSAX奏者とはレベルが全然違う。

納さんは久しぶりに見たが、顔が随分変わっていた。
メンバー紹介されなかったら、気付かなかっただろう。
若手と思っていた納さんもおそらく50歳くらいになったのでは。
この人のベースは素晴らしいのだが、ピットインのPAのせいなのかどうか、金属音みたいなウッドベースなのが嫌だったのだが、今年は木の音がした。
小野塚さんの髪も白くなってきた。
石川さんは相変わらずタイトなリズムだ。

今日は新曲が多かった。半分くらい占めていたような気がする。
今年もピットイン全体がパーカッションの音に包まれた。
これを聞くと貞夫さんのライブに来た気がする。
ン・ジャセのタイコの音は狭いピットインで聞くと耳が痛くなりそうになるが、パーカッション大好きな私には幸せな瞬間である。
貞夫さんが長らく求めていたアフリカの音だ。
沈みがちな今日、この頃だが、元気を一杯もらった。
今年も来て良かった。

今度、アルバムを作るそうだが、今日みたいなサウンドに仕上げてもらいたい。