CALL ME

ライブレポートとCD評

un jour/clepsydra(古代の水時計)

2011-05-04 17:00:15 | CDレポート
1.息吹き
2.丘
3.Little Tree
4.冒険
5.un jour
6.Barrel Organ
7.航跡
8.Spirit of the Forest
9.celestine
10.un chien
11.ずっと...

井上淑彦(Ts,Ss)
佐藤芳明(アコーディオン,ピアニカ,コーラス)
林正樹(P,コーラス)
仙道さおり(Perc,コーラス)

元気でかわいくて
ユーモラスで悲しくて
愛おしい
人の涙で動く時計

CDの帯に書いてあった言葉です。このアルバムのジャケットの絵を描かれた岩田さんが書かれたそうです。
この言葉がこのアルバムの音楽を端的に現しています。

clepsydra待望のアルバムです。本当は3~4年前に録音も済んでおり、発売されるはずだったのが、井上さんが長期療養に入ったため、結局発売中止になりました。今年2月に再録音し、今月に発売されました。
私は先週土曜日ピットインでのライブで買いました。
実はclepsydraは井上さんが病気になる前は1度しか生で聴いた事がなく、2006年横濱ジャズプロムナードをTVから録画したDVDで楽しんでいただけです。
だから、レパートリーはあまり知らないのですが、2006年のプロムナードで演奏していたのは1と8と11です。以前、録音した時より曲も変えたと思われます。とすると、廃盤にした幻のCDも聴きたくなってきます。
fuseのLittle Treeがすっかり形を変えているのには驚かされました。
6はパリを思い浮かべます。
佐藤芳明作曲の7はジプシーみたいなメロディで愛聴曲になりそうです。
8は林正樹の名曲です。
最後はここ5年間くらい、井上さんのライブでは必ずといっていいほど演奏される「ずっと...」です。この曲は一度聴いたら忘れられないメロディです。どこか日本的な哀愁のこもったメロディの名曲です。ピアノからだんだんフォルテになっていき、私はライブが終わった後は必ずこの曲を口ずさんでいます。fuseの演奏もいいですが、私は佐藤芳明のアコーディオンの入ったclepsydraの方が好きです。
井上さんの作曲能力は高く、以前からいいメロディを書きます。
以前は格好いい曲を書いていましたが、最近はシンプルできれいなメロディの曲が増えてきたような印象があります。
このアルバムでは林正樹の影響だと思われるのですが、コーラスを使ったり、ポップな面もあります。


around the time

2011-04-10 17:26:43 | CDレポート
A-1.ROUND TRIP:GOING
A-2.ROUND TRIP:COMING
B-1.PASTORAL
B-2.CALIFORNIA HERE I COME
B-3.TOKYO組曲 SUNSET

渡辺貞夫(Sn,Fl)増尾好秋(G)
鈴木良雄(B)角田ヒロ(Ds)
録音:1970年6月26日 ハンブルグ

このアルバムは輸入盤で20年~30年位前に関内のディスク・ユニオンで中古のLPを購入した。
日本盤は発売されていない。
渡辺貞夫4が日本人として初めてモントルー・ジャズ・フェティバルに出場した時に、
フランス、ドイツ、ユーゴスラビア、ポーランドでも演奏した。
このアルバムはドイツのハンブルグでのライブ盤である。

演奏曲はモントルー・ジャズフェティバルのライブ盤とほとんど同じで、
「LAMENT」と「CALIFORNIA HERE I COME」が替っただけである。

A-1はロックのリズムでドラムを角田ヒロ(つのだ☆ひろ)にした意味がよくわかる。
とてもパワフルな演奏だ。
A-2はA-1に引続いて演奏されるが、1とはうって変わって静かな演奏からスタートするが、
途中、貞夫さんのソロで熱くなる。
貞夫さんは2曲共にソプラニーノである。
後半の増尾さんのギター・ソロがいい。角田ヒロのドラムは少し単調だ。
B面に入り、1曲目は貞夫さんの代表曲だ。
この曲はモントルーのライブ盤ではテーマだけだったが、ここではフルバージョンの演奏になっている。
その分、モントルー盤よりこちらのライブ盤の方が好きだ。
増尾さんが熱いソロを弾いている。それに続く貞夫さんのソプラニーノも熱い。
B-2はフルートのボサノバ風の軽快な曲だ。この曲はオリジナルではない。
B-3は日本的な美しいメロディで、大好きな曲だ。
この曲もフルートだ。この頃はフルートがよく鳴っている。


song book

2009-07-19 14:07:20 | CDレポート
演奏:
渡辺貞夫(As,Sn,fl)
増尾好秋(G)
鈴木良雄(B)
渡辺文雄(Ds)
八城一夫(P,ハプシコード 2,3,4,5,17,18)
菊池雅章(P,ハプシコード 上記以外)

曲目:
1.DUET FOR LOVERS
2.STREET SAMBA
3.DORIA'S STEP
4.LOVE THEME(1)
5.LOVE THEME(2)
6.RODA VIVA(Hollanda)
7.GABOR
8.TUXAUA(Duprpat)
9.CURLED HAIR BOY & LONG HAIR GIRL
10.I KNOW THE PLACE FOR US
11.NIHONBASHI
12.IF I SAID THE SKY WAS FALLING
13.TRAIN SAMBA(McFarland)
14.FANDANGO
15.TROIS GYMNOPEDIES(Satie)
16.ONE FOR T
17.MATSURI NO ASA NI(1)
18.MATSURI NO ASA NI(2)
19.HOPEFUL ENCOUNTER(McFarland)
20.I FEEL ROMANTIC
21.YOU AND I
22.PROMISE ME
23.LADY MAKO
24.DEAR OLD DAYS
25.PASTORAL
26.CLOSING THEME FROM "MATTE-MAS-WA"
作曲:渡辺貞夫(except6,8,13,15,19)

録音:1969年7月11日~10月3日東京スタジオ・センター

このアルバムはTVドラマ「待ってますワ」で使った音楽を集めている。
TVドラマの挿入音楽なので演奏が短いが、色んなエッセンスが一杯つまっている。
ボサノバが多いが、ボサノバ以外にスペインの香りがする曲もある。
きれいなメロディの曲が多く、貞夫さんの作曲家としての才能の高さを感じる。菊池雅章の弾くボサノバのピアノも非常に珍しい。
今からではとても考えられない。
どれもアドリブなしでほとんどテーマだけで終わっているが、完全な演奏で聴きたいと思う。
ほとんどが貞夫さんの作曲だが、サティ作曲の「ジムノベティ」が入っているのには驚いた。
パストラルだけ10分を越える演奏になっている。パストラルは色々なテイクがあるが、このアルバムのパストラルもいい。
アルバム「パストラル」ではホルンが入っているが、このアルバムではハプシコードがいい味付けになっている。
やはり、この曲はいい曲だ。貞夫さんの代表曲だと思う。
でも、このパストラルも劇中に流したのだろうか?
このアルバムは1972年の発売だが、同じようにTBSドラマの劇中演奏を集めた「BROADCAST TRACKS」が2006年に発売された。
ただ、1972年に藤岡弘と岩下志麻が主演したドラマの主題曲が入っていないのは残念だ。
ピアノのテーマが非常に好きだったのを憶えている。
このアルバムはアドリブがなく、テーマばかり集めた演奏になっているので、かなりな貞夫マニアにしか薦められないがいいメロディが一杯詰まったアルバムだ。


SWISS AIR

2009-07-04 14:15:51 | CDレポート
演奏:
渡辺貞夫(As,Sn,fl)
本田竹広(P)
河上修(B)
守新治(Ds)

曲目:
1.MASAI STEPPE(Watanabe)
2.TANZANIA E(Trad. Arr.Watanabe)
3.SWAY(Watanabe)
4.WAY(Watanaba)
5.PAGAMOYO(Trad. Arr.Watanabe)

録音:1975年7月18日 モントルー・ジャズ・フェスティバル

この年、FM東京では青木誠さんの進行で約1週間、モントル・ジャズ・フェティバルを放送した。
その中で、この渡辺貞夫のコンサートも放送した。
実は貞夫さんの演奏をまともに聴いたのはこの時が初めてだ。
カセットテープに録音して、何度も聞いた。
まだ、ジャズを聴き始めてばかりだったので、よくわからなかったが、
パガモヨ(実際は3曲目に演奏された)とスウェイ(当時は単にバラードと呼んでいた)はメロディが綺麗だったので、すぐ好きになった。
1と2は「ムバリ・アフリカ」でも演奏していた。
「ムバリ・アフリカ」では管楽器が3人を含む総勢9人で演奏していたが、ここでは1ホーン・カルテット。その分、貞夫さんのソロが目一杯聴かれる。
今ではちょっと聴く事ができない、とてもパワフルでハードなソロだ。
ソプラニーノをこんなに吹きまくっている演奏は珍しい。
本田さんのピアノもガーンという感じでパワフルだ。
ただ、「ムバリ・アフリカ」ほどアフリカン・テイストは強くない。
3はうって変わって、とても綺麗なバラードだ。貞夫さんのソロはもちろん素晴らしいが、本田さんのピアノがとてもリリカルだ。
3から4に移るところが、背中がゾクゾクっとする。
4は8ビートのリズミックなナンバーで、貞夫さん、本田さんのソロが続き、エンディングがとてもかっこいいい。
5はとても好きなナンバーだったのだが、レコード(CD)では残念ながらテーマの後にフェードアウトされる。
今だったらCDの全部入る長さだと思うので、今度再発する時はフル・バージョンに
してもらいたい。
ところで、パガモヨ(PAGAMOYO)は「オレンジ・エキスプレス」で再演され、とても幻想的なナンバーになっているが、なぜかバガモヨ(BAGAMOYO)と表記が変わる。
私はこちらのパガモヨの方が土臭い感じで好きだ。テーマの後のソロも良かったのだが・・・。
この時の演奏は本田さんがとにかく素晴らしいと思う。

MBALI AFRICA

2009-06-21 15:49:31 | CDレポート
演奏:
渡辺貞夫(As,Sn,Fl)
本田竹廣(P)
鈴木勲(B)
日野元彦(Ds)
富樫雅彦(Per)
岡沢章(el-b)
日野皓正(Tp)
宮田英夫(Ts,Per)
渡辺香津美(G)

曲目:
Disc1:
1.ITA(CALLING)
2.BAHARI PWARI(BAHARI BEACH)
3.JAMBO BHANA
4.AFRO TALK
5.HIP WALK
6.TANZANIA YAKO
DISC2:
1.TANU SONG
2.MASAI/MASAISTEPPE
3.TANZANIA E/FUNKY TANZANIAN
4.SABA SABA
5.HABARI YAKO
6.MBARI AFRICA
7.TANZANIA E
作曲:渡辺貞夫

録音:1974年9月20日 東京 郵便貯金ホール

このアルバムは渡辺貞夫がアフリカにどっぷり浸っている時代のライブ盤だ。
渡辺貞夫という音楽家はもちろん素晴らしいジャズ・プレイヤーだが、渡辺貞夫の特徴はブラジル音楽とアフリカ音楽だ。
このアルバムはそのアフリカをテーマにしたコンサートで、とにかくアフリカ一色だ。メンバーは当時の若手の一流どころだ。貞夫さん言うところの「馬鹿ばかり」集めたそうだ。もちろん、「馬鹿」とは「音楽馬鹿」の事だ。

渡辺貞夫が弾くエレピから始まり、ピアノが呼応する。鈴木勲の低くうなるベースが後ろに流れる。まるで、海岸あるいは湖岸を思わせる音が続く。
3曲目は鈴木勲のアコースティックベースと岡沢彰のエレベの2人のファンキーな
ベースが絡み合って始まり、それからピアノ、ドラムが入ってくるが踊りだしたく
なるような、ファンキーなリズムだ。
岡沢さんは貞夫さんが好んだファンキーベースだが、鈴木さんのようにアコースティックでこんなファンキーなベースを弾く人はそういないのではないか?
ヒップウオークでの短いベースソロも実にかっこいい。この曲は貞夫さんは好きみたいで、他のアルバムで吹き込んだりしているけど、この演奏が一番好きだ。

Disc2からは、日野皓正、宮田英夫、渡辺香津美が加わり、いよいよお祭りが盛り上がり、演奏も熱く燃え上がってくる。
マサイ・ステップでの日野さんのソロ部分等はアフリカというより、コルトレーンのジャズみたいに熱くなる。本田さんのピアノもどこかマッコイっぽくなる。
TANZANIA Eは今でもライブでメロディが出てくる。
4以降は明るく楽しい音楽になる。私は昔からこの2枚目B面が一番好きで、この面をよく聴いていた。
渡辺香津美は当時20歳位だが、当時からギター・テクニックが抜群だったのがよくわかる。とても20歳とは思えない素晴らしいソロだ。
また、富樫さんのパーカッションが実にいいタイミングで入ってくる。
まるで、アフリカのタイコのように聞こえてくる。富樫さんは自身のグループではフリーをやっていたが、昔からラテン好きだったようで、貞夫さんの音楽にとてもよく合っている。

20年位前にアフリカ(主に西海岸)のミュージシャンの音楽が流行ったことがあったが、貞夫さんのこの演奏の方がはるかにアフリカっぽく聞こえる。