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SMAPが出演した番組レポメインなブログです。たまに、ドラマや映画の感想などもあり。

『そこのみにて光輝く』※ネタバレ注意

2016-11-23 22:59:59 | 映画
<あらすじ>
ある出来事をきっかけに仕事を辞め、あてもなくただふらふらとしていた達夫(綾野剛)は、
パチンコ屋で拓児という青年(菅田将暉)に使い捨てライターをあげたことをきっかけに知り合う。
荒っぽいところがあるが人懐っこい拓児は、達夫を家に呼ぶ。
拓児の家は、サムライの中でも取り残されたようなかろうじて建っているバラックだった。
そこには寝たきりの父親と、父親の世話をする母親、そして姉の千夏(池脇千鶴)がいた。
達夫と千夏はそれぞれの身の上を話すうちに、惹かれあっていく。
一家を支えるために辛い仕事もする千夏に、不器用ながら一途に愛を注ぐ達夫。
そんな中、ある事件が起こる……。



賞をとりまくった作品ですね。
めちゃくちゃ評価も高いですが…近年稀にみるしんどさを感じました。
『怒り』もしんどかったんですけど…画面から伝わってくる閉塞感や貧しさが生々しくて…ズシーンときました。

採石場で働いていた時に仲間を死なせてしまったことから自暴自棄に陥り無為に日々を過ごしている達夫。
パチンコ屋で知り合った拓児の家に招かれて、
拓児の姉の千夏と恋に落ちる…まさに落ちるって感じでした。
どん底でも恋に落ちてしまう…。
しかし千夏は家計を支えるために身体を売る仕事をしていて、それをやめさせようとする達夫。
普通に考えたら達夫の主張のほうが正しく思えますが、
どん底にいる同士のように見えた達夫と千夏の間の深い断絶というか、
採石場の仕事に戻ってこいと気にかけてくれる人がいて必要とされる達夫は、
人生の一時を立ち止まっているだけなのに対し、
行き止まりで這いずりまわっている千夏や拓児の差が見えて苦しくなりました。
普通に働いていたこともあったけど長く続けることができなかったという千夏の告白も、
倒れて寝たきりになった父親の性欲処理を母親と交代でやっている現実の一方で、
普通の職場で普通を装って生きていくのなんて気が狂いそうになるに違いないなと…う~ん。
その事実を知った達夫が自分が働いてなんとか救いたいと立ち直るのが、なんか救いだったかも。
この決意の後の濡れ場、いや、ウェットシーンwは本当にやっているのではレベルの生々しいものなんですけど、
エロさより儀式めいた神々しさを感じた感が強かったです。
ラブシーン慣れなのか…(遠い目)
しかし翌朝の千夏を送り出す時が本当に幸せそうだっただけに、
その後の展開のダメージが半端ないというね。

愛人に別れを切り出してボコられた姉の姿を見たそのうえに、
暴言を吐かれた拓児が愛人を刺してしまうことで、
なんとかギリギリで保たれていた千夏たち一家の精神バランス?が崩壊する様がもう…。

逃げた拓児を見つけた達夫が、
家族の役に立ちたかったと泣く拓児を抱きしめるシーンにグッと込み上げるものがありました。
出頭する拓児を交番まで送り届けた次に待ち受けていたのは、
寝たきりの父親を殺そうと首を締める千夏の姿。
弟が地元の有力者を刺してしまったことでもう生きていけない、
達夫も離れていくだろうと絶望した結果だと思うと…。

間一髪のところで達夫が千夏の凶行を止めてからの海辺でのラストシーン。
全編通してほぼ薄暗い&暗闇だったので、
美しい朝焼けの中の千夏の泣き笑いがまさに「そこのみにて光輝く」なんだなと。
あのラストシーンにすべてが凝縮されている感がありました。

恐ろしいほどのドンヨリ気分に陥りながらも良い映画を観たと思えるってすごいことですよね。
しんどい日常にしんどい色々の中、しんどい作品を見続けるのはドMなのか!?
これが「空飛ぶ広報室」の空井くんの直後と知ってまたなんか尊敬の念が深まりました。


ではでは

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