雑木帖

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「共謀罪」 「参加罪」…

2006-05-20 23:40:01 | 政治/社会
 次のやりとりは4月25日放送のテレビ朝日『報道ステーション』でのもの。
古館伊知郎 共謀罪というのは、アメリカ、イギリスに当然すでにあります。ま、国連でも、日本に共謀罪がないから、国際的な条約の批准のために、こういうものを作ったらどうだというような促しも、かなりあったと聞いています。テロとのたたかいを重視しているアメリカ、イギリスならでは…象徴的な感じもします。
 もうひとつあるんですね。似てますけれども、似て非なるものですね。ちょっとみていただきます。
 (パネルで「参加罪 =フランス、ドイツ」と表示)
古館 参加罪というのがあります。フランス、ドイツはこれをとっております。参加罪ってなんだ?っていうことなんですけれども…。これは、共謀罪と似てはいますけれども、どこが違うかというと…。まず犯罪集団なら犯罪集団を、具体的にきちんと認定する。で、認定した上で、そこに参加した人だけを罪に問うという、ま、わかりやすいと言えば、わかりやすい罪なんですね。ですから市民活動は、加藤さん、これだとおびやかされる懸念は、絡めとられる懸念はないという見方もあるようですね。

加藤千洋 そうですね。ま、後はあれですよね。警察の取り調べの、なんというんでしょうかね、透明度といいますかね、それがやはり、日本はそれほど高いとは言われてませんよね。国際的に言っても、その辺、改善すべきだという意見があるくらいですからね。そういうこともあわせて考えなきゃいけないと思うし。ま、なによりもですね、一言で言えば、こんなものいりませんよ。(笑)…と言いたくなりますね。
 一旦できたらね、これは一人歩きする危険があると思いますよ。
 このなかで「日本の警察の取り調べの透明度」というのは、他の先進国では取り調べに弁護士が立ち会うことができ、また取り調べ自体をカメラ、ビデオで撮って記録として残す方法がとられているが、日本ではその両方とも認められておらず、警察側の調書だけが証拠として裁判に提出されたりする、という不透明な手続きのことなどを言っている。

 ところで、ドイツやフランスは「参加罪」で国連で2000年に採択された「国際組織犯罪防止条約」を批准しているということだが(条約の加盟条件は「共謀罪」か「組織的な犯罪集団への参加罪」の国内法整備)、それがどういうものか知りたいところだ。ちなみに、アメリカ、イギリスの「共謀罪」は、それぞれの国にもとからあるものであり、「国際組織犯罪防止条約」批准のために新たに創設したものではない。
 次の引用は”正々堂々blog 衆議院議員川内博史の日記”から。
 2006年05月10日
 共謀罪について質疑

 今日、午前中法務委員会で共謀罪について質疑しました。
 特に、条約との関係において、アメリカ・イギリス・カナダにおいては共謀罪がどのような形で導入されているのか、対象犯罪の数について、更には、ドイツ・フランス・イタリア・ロシアは参加罪を採用しているが、団体を特定しているのか、などについて質問しました。

 外務省の答えは、
「わかりません。」
 でした。

 特に、諸外国における共謀罪の対象犯罪(我が国の政府案では600以上)の数については、昨年平岡秀夫議員が質問主意書で聞いていることでもあり、
「誰が、いつ、どのような形で、聞いたのか、また回答はどのような形であったのか?」
 と、重ねて聞かせていただきました。
 外務省は、
「担当者が電話で、相手国の担当者に聞いて取りまとめました。」
 と答えました。

 ぼくはこう言いました。
「共謀罪は、国民的関心事であり、対象犯罪の多さから国民の皆様は不安に思っている。諸外国の中で共謀罪がどのような形で運用されているのかを知ることは、法案審議の基礎データである。政府は、文書をもって相手国政府に問い合わせ、文書で回答をもらうべきではないのか。」
 私の発言に対して、法務委員会の石原伸晃委員長は、
「議員がおっしゃる通り、外務省の対応は不誠実である。院に対してしかるべき対応を求めて参りたい。」
 と、応じていただきました。

 条約と、国内法との関係はしっかりと精査をしなければなりません。
 このことは前に東京新聞の記事の紹介でも少し触れたが、これまでの刑法の根本を覆すという法律の創設にあたって、これが何に対しても責任をとらない役人の現実の姿である。

 今日、読んでちょっと腹が立ったのは次のニュース。こんな国を真似てはならない。

 「国益は個人利益に優先」 米地裁、誤認拘束訴え却下 [共同通信社] 2006/05/19

 【ワシントン18日共同】テロ容疑者に間違われ、米中央情報局(CIA)の秘密収容施設に5カ月間拘束されたとして、レバノン系ドイツ人の男性が米政府に慰謝料の支払いなどを求めた訴訟で、米バージニア州の連邦地裁は18日「国家機密保持という国益は個人の利益より優先される」として、訴えを却下する判決を下した。

 同地裁は、審理に入ればCIAの秘密活動が明らかになって国家の安全が脅かされるとの政府側の主張を全面的に認め、一度も審理を開かずに訴えを門前払いした。

 訴えによると、原告のハリド・マスリさんは2003年12月末、旅行先のマケドニアで拘束され、アフガニスタンの秘密収容所に移送された。04年5月に釈放されるまで、CIAの尋問官らから暴行を受けた。


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