雑木帖

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ラムズフェルドの更迭

2006-11-09 22:38:14 | 国際
 アメリカの中間選挙で民主党が上院下院とも過半数を制す結果となり、やっとブッシュ劇場に陰りが見え始めた。
 ブッシュは選挙の結果を受けて、ラムズフェルド国防長官を更迭した。

 けれど、僕にはいまいちラムズフェルドの更迭が何を意味しているのかがよくわからない。

 ラムズフェルドがイラク侵攻で採用した戦略は、ジョン A. ウォーデン元米空軍大佐の空軍力理論で、従来は地上戦の補完にすぎなかった空軍を作戦の主要要素としたものだった。[参考:テクノロジーの進歩が戦争を変える Steve Kettmann ()() ─Hotwired Japan]
 ウォーデンは五輪モデルというのを提唱した。

「ウォーデンの五輪モデル」 海洋戦略研究 より

 五輪モデル(5 Rings Model)
 中心から外に、
1 第1リング 指導部(Leadership)例:政府、指揮通信
2 第2リング 構成主要素(Organic Essential)例:エネルギー、資金
3 第3リング インフラ(Infrastructure)例:道路、飛行場、港湾、工場
4 第4リング 住民(Population)例:国民
5 第5リング 戦闘組織(Fighting Mechanism)例:軍隊、警察、消防
 そして、ウォーデンはその第一のリングを壊滅させれば敵は神経麻痺状態になって崩壊するとした。
 このウォーデンの空軍力理論攻撃はイラクではまったくの失敗に終わった。ラムズフェルドへの非難は、この戦略を軍中枢の度重なる助言、また現場の地上兵力増員などの要請に耳を貸さず、強引に推し進めたことに対してのものが多いようだ。

 では今回もその単に戦略の選択ミスにおける非難の世論封じにすぎないのだろうか。
 もし、イラク開戦そのものが誤りだったというフレームなのであれば、ラムズフェルド一人が更迭されてそれで終わりというのは非論理的だ。


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