8/19。
初秋のヒンヤリした風が気持ちいい。 またボクに火をつけるアップカマーが現れた。
日常的にランニングをしているフミヤはスタートからぐんぐん飛ばして、トップでボクを引っ張っていく。 いつものボクのペースをだいぶオーバーしているそのスピードに、ボクは圧倒された。
彼は2歳ボクより若いけれど、隣の家に住んでいてボクが思い出せる幼少の思い出よりずっと昔から一緒に野山を駆けめぐっていた仲だ。 おまけに遠い親戚の彼とは様々な思い出を共にしてきている。
そんな彼が、登山をしたいと言い出したとき、ボクはホントに嬉しかった。
自慢じゃないがボクは自然を愛していると自分で思っているけれど、彼も自然の中で育ち自然をこよなく愛する野生児そのものだ。 そんな彼が登山の魅力にとりつかれるのはそう時間はかからないだろう。
お盆明けの不忘山はピーカンの天気だったけれど、すさまじい強風が終始吹いていた。 今回はいつもの硯石からではなく白石スキー場から登ったが、よく整備されていてとても気持ちのいいトレイルだった。
あっという間に不忘山をピークハント。 勢いで南屏風まで脚を伸ばしたが、疲れ知らずの彼はどこまでも元気いっぱいだった。 往復3:30。 180cmを越えるその長身はたくさんの荷物を背負ってくれるに違いない。 将来が楽しみで仕方がない。
身近な友と大好きな不忘トレイルで記念すべき登山デビューを果たせたことに、ボクは胸一杯、夢いっぱいだった。
8/16。 お盆休みの最終日。
珍しく、長い休み中一度も山へ出かけなかった姉の希望で月山へ。 夏山を味わいたいという二人の希望。
正直、実際登ってみてリフト降り場からであれば1:30もあれば往復してこれるような『チョットした登山』というカンジ。 それはハイキング。
そして、姉がまた登りたいと思う気持ちもわかる気がした月山トレイル。
絶え間なく登ってくる登山者の多さがその人気を表現するなによりの証拠だった。 山ガールもたくさんいたし、小さな子供達も列をなしてトレイルを歩いていた。 ただ、大好きな飯豊連峰が見えないのはチョット残念。
『チョットした登山』の月山は、夏の思い出を締めくくるイイ登山だった。
去年から抱いていた大きな目標。
朝日連峰縦走・飯豊連峰縦走。
いつしか朝日連峰縦走は『目標』ではなくなって『大きな目標』への通過点となってしまったけれど、今回の飯豊連峰縦走でようやく目標を達成することができた。
反省。
あるのみの、大変な山行になってしまったけれどもその達成感は準備にかけたコストや時間に比例してとても大きなものだ。 今回特にこだわったのは2点。
2泊3日の予定は、ほぼ南端の三国岳から北端、朳差岳までを踏破すること。 弥平四郎から足の松尾根までのロングトレイルでなければダメだった。
そして2泊はもちろんテント泊。 そのために65Lのザックを新調し、2人用の高価なテントも新調した。 パッキングして初めて背負った2泊3日分のザックはハンパじゃなく重かったが、その分の夢と期待が詰まっているのだから納得。
飯豊連峰には2000m峰が7座。 飯豊山、駒形山、御西岳、大日岳、西大日岳、烏帽子岳、北俣岳。
もちろんすべてを踏みたかったのだが、なぜか西大日岳には大日岳からトレイルが伸びておらず。 行かれる方もいらっしゃるようなのだが今回は残念。
本山より駒形山方面。
御西岳はトレイルに立つ標柱に表示があるので一応登頂になるのだろうが、実際は三角点は登山道から外れたところにあるらしくその場所は一般的には踏まれない。
二日目。
主峰の大日岳も雲の中。
大日岳。
御西小屋から大日岳へのトレイルはコバイケイソウが美しい。
時期も時期だが雪渓を踏む必要はほとんどなく、アイゼンは無用の産物。
もちろんはじめて石転び沢を見下ろしたが、かなり雪渓は小さくなっているようだった。
朝日もそうであったが、同じく山形県内の蔵王や、月山とは異なり、山肌に深く長く切れ込むルンゼやスラブ状に露出している岩肌が荒々しくてボクは好きだ。
そこから派生していく沢筋に雪渓があったりすればベリーグッド。 斜面が比較的急峻なのも高度感があってたまらない。
烏帽子岳。
梅花皮岳。
北股岳は連峰の中でも突き出るような形でそびえ立ち、その迫力には圧倒された。 とてもイケメンな山だ。
イイデリンドウがたくさん咲いていた。
門内岳。 今回のトラブルはこの直後。
頼母木小屋のテントで迎えた3日目の朝。
三日間で唯一納得のいく天気だった。 その朝焼けは今年一番のファインビューだ。 隣のテントの方と絶句しながら眺めていた。
美しい朝焼けと同じようなボクのテントの色も、その風景にベストマッチ。
大変お世話になった頼母木小屋。 朝日、飯豊、どこの小屋よりも豊かな水が水場へと絶えず流れていてその利便性はピカイチ。
とうとうここまでやってきた、何度も訪れたことのある朳差岳。 いよいよ今山行のクライマックスと思うと、さらに引き立って見えた。
本来であれば、飯豊山荘で待っているであろうアダチ君をいち早く迎えに行かなければいけないのだろうが、ここまできて朳差を踏まないわけにはいかず、申し訳ないがボクの脚は当然ながら朳差岳へと向かっていた。
雲一つかかっていないその山容は、もはやスタート地点も見えないくらい遠くに来ていることを改めて気づかせてくれる。
朳差岳。
足の松尾根取り付きから、奥胎内ヒュッテまでももちろん徒歩。 歩き始めてから56時間30分。 ぼくの1st飯豊連峰縦走は終わった。
小屋泊まりにして装備をもう少し軽量化すれば一泊二日でも今の体力なら十分、縦走可能ではないかとちょっと思ったりもした。
稜線に出るまではどこも確かにチョットきつい道が続く飯豊トレイルだが、その主稜線のトレイルを歩けばまさに別天地。 決して下界では味わうことのない興奮度、日本全国からそのリピーターがやってくる魅力が『飯豊』という『ブランド』なのだろうと確信した。
飯豊ブランドはすっかりボクを虜にし、近いうちにまたやってくることを初秋のトレイルに誓わせた。
day 1
山形市発21:00 - 奥胎内ヒュッテ0:00 - 弥平四郎登山口3:15 - 疣岩山6:40 - 三国岳7:30 - 切合小屋9:20 - 本山小屋11:55 -
飯豊山12:45 - 御西岳14:10 - 御西小屋14:20
day 2
御西小屋5:50 - 大日岳7:00 - 御西小屋8:25 - 烏帽子岳10:50 - 梅花皮小屋11:50 - 北股岳13:30 - 門内岳14:30 - 地神山15:40 - 頼母木小屋16:45
day 3
頼母木小屋6:40 - 大石山7:00 - 朳差岳7:55 - 大石山9:00 - 足の松尾根口11:00 - 奥胎内ヒュッテ11:45
ヒロトと別れて数日と経たないうちに、またボクは北へ向かった。
期待のアップカマーと一日オカッパリをしてみて、結果こそ40upは獲れたけれども満たされない欲求にムラムラしているボクがいた。
北の湖に行く理由は、もはやボクにとって『オカッパリをするため』ではなかった。
贅沢になってしまったと言えばそーかもしれないが、決して動力付きのボートを使うわけではないし、今後もお金を払ってまでボートをレンタルしたりすることもないと思う。 よくジェイクさんに誘われるが、ボクは自分の操舵するカヤックで釣りがしたいのだ。
剛竿+ジグテキ=鬼フッキングというスタイルも変わったわけではない。 むしろ、最近はことさらこのスタイルにしか興味がない。 ハチローで数本のロッドを握って粘るバサーをよく見かけるが、ボクにはとてもできるスタイルではないとつくづく思う。
ハチローへはFD168H一本。
『広大さ』は贅沢だと思う。
その贅沢を、オカッパリというスタイルで心底味わえないことはホントに残念だと思う。
一歩水面に出てみれば、決して陸からは撃てない延々と続くアシの壁やオーバーハングは北の湖ならではの贅沢だ。
たくさんのシチュエーションがあるが、アシの壁があればボクは至福の時を迎えることができる。
もちろんカヤックには様々な制約はあるが、移動距離だって1kmくらいの移動であればそれほど苦にならないしなによりその機動性はピカイチなものだ。
ボートは持てないけれどカヤックは、ボクのできる範囲の良きパートナーだと思っている。
最近ではサカナの着くアシ壁とつかないアシ壁もなんとなく判別できるようになってきた。 ついているのかもしれないけど、へたくそだからサカナを獲れないというところももちろんあると思うけど。
アシ壁の前にガマやショウブが飛び出ているようなところは、ボク的にはナンセンス。 東から昇る太陽と西へ沈む太陽を考えればおのずと撃つ壁が決まってくる。
今回も数匹のナイスなバスと2匹のスネークヘッドが4inのホッグっを引っ張っていった。 『爆釣』ではないけれど、ボクにとっては十分過ぎるほどの釣果もカヤックは約束してくれる。 昼前には満足して帰宅できるのも、カヤックスタイルがもたらす贅沢。
すさまじい燃費を誇るブナムシ号に、余裕で収まるボクのカヤック。 カヤックが約束してくれる贅沢を謳歌するために、ボクは北へ向かう。