人生狂騒曲

格言:平坦な道じゃ きっとつまらない

the reaper and the boar

2005年02月21日 16時31分01秒 | 日記

電車での出来事。
最近私は体力がないので、電車の中でも空席を見つければ飛びつくタイプの人間です。
ですが不幸なことに電車は通学ラッシュで非常に混んでいて、座ることはできずバイト先に着くころには、介護される必要が見て取れるくらい弱りきってます。

ですが、体力はなくとも智謀には長けている私はある制服の学生は特定の駅で降りることを最近、学習。翌日からはその学校の生徒が座っている席の前に立ち、その人が降りるのを待つことにしました。

その計画は完璧だった。

ところがだ

その駅に近づいたころ、私が目をつけていた将来空席になるであろう席に注がれる視線に気づいた。

「…こいつ……できる…!」
心の中でそう思いつつ、私と同じ作戦を立てたその賢者がどんな人間なのかと思い目をやった。その瞬間、私に戦慄が走った。

その男のいでたちは、黒のブーツ、黒の皮パンツ、黒いTシャツ、黒い帽子。片手に黒のコートをかかえ、極め付けに、逆の手には『無糖珈琲』

「死神…!間違いねぇ。こいつは俺のわずかな希望を刈り取るために黄泉の国から送り込まれた刺客。俺の席を狙ってやがる。だがこちらとて命がけ…そう易々と譲るわけにはいかん。」

とか考えているうちに、座っている学生が降りる駅に到着。学生がどいた瞬間、私とその死神は同時に座るそぶりを見せるが、次の瞬間二人ともためらった。

『Priority Seat(優先座席)』 の文字が目に入ったからだ。おそらく死神も同じだったはず。その一瞬の隙をついて、おばちゃんが横からその席に滑り込んできた。

その巨体からは想像もできない素早さに、私と死神は軽く弾かれた。物理を専攻した人なら分かると思うが、運動エネルギーは質量と速度が上がるにつれて、上昇する。
そのおばちゃんの突撃は我々を弾くには十分な力を秘めていた。座るどころか、突撃を受け致命傷を負った私はその日も介護が必要なくらい弱りきってしまいました。

人間とその人間の精神活動によって生み出された死神。ともに大自然の無慈悲な力の前には、あまりにも脆弱な存在だと思い知らされた一日だった。 おしまい。


最新の画像もっと見る