緻密な作劇で有名なマイケル・フレインの喜劇だが、只のドタバタで終わるはずがない。
その上、今回演出を担当をし、自ら演出家役を演じるのが白井晃と来れば、観劇前から何かやってくれそうな期待が増してくる。
舞台は3幕構成である。客席の椅子の上には劇中劇『Nothing On(何事も無し)』のプログラムが置かれていて、キャスト紹介がされている。それによると、今回のプロダクションの配役は実名で出ていることが判明する。
例えば、「演出家」はShirai Akira、「ミセス・クラケット」はSawada Ayakoというふうにである。
しかし、中身は虚実ない交ぜの紹介文であることが直ぐに解る。
また、客席中段の演出家席には白井晃が座っており1幕目の『Nothing On』のゲネプロが始まる。
ここまでに、既にいくつかの仕掛けがなされていて、芝居という虚構の中の更なる劇中劇という虚構、演じる役者に実名を持たせながら、実はそれも虚構と云うややこしさである。
二階建てのセットには例によってドアが8つくらいあって、遭遇してはならない人の出し入れの複雑さが伺える。
明日が初日にもかかわらず、舞台稽古は『何事も無し』とはいかず、波乱含みの様相でドタバタ気配が見え始める。その原因は、役者と演出家がお互いに対して抱く不満と、演出家、役者、舞台監督が入り乱れての男女関係のもつれである。これだけなら単なるドタバタでどういうこともないが、マイケル・フレインの凄いのは、このドタバタの兆しを第2幕目では舞台の裏側からも見せた点である。
セットは盆を回した1幕目の真裏側。既に本公演がスタートした劇場の舞台裏での大騒動、まさに『うら騒ぎ』を見せられ、客席には聴かせてはならない騒音『ノイゼズ・オフ』を聴かされる。
たくさんのドア。しかも2階建て。複雑な小道具の動かせ方。中でも重要なのはイワシの小皿。その他、花束にウイスキーのボトル等。恐らく膨大なキッカケと機敏な動きが要求される、舞台監督泣かせの芝居で、実際にブタカンとブタカン助手は、代役にまで借り出され、泣きが入ってくるのが可笑しい。
更に3幕目では、セットを元の表に戻し、もつれた人間関係が表舞台にまで現われ、「ノイズはオン」になり、「表騒ぎ」に発展し大混乱に陥ってゆくのである。
9名の出演者は概ね好演。実際に演出家でもある白井晃は才気溢れるスピーディな演出と主演で合格点。
ベテラン・森塚敏は演技か地か判らないほど(恐らく両方)の飄々とした味を出し、ある意味ハラハラさせられる(笑)。羽場裕一と山崎美貴のコンビにホッとさせる魅力があるのをか発見。今井朋彦は喜劇でも達者なところを見せたが、嫉妬心ばかりが目立って、この芝居での男優の芯となる色気に乏しかったのが残念なところ。
こんなに大笑いした翻訳喜劇はしばらくぶりであった。そういえば、翻訳物って感じが全くしなかった。
翻訳=小田島恒志、演出=白井晃の思うツボにはめられてしまったってことなのかもしれない。
(2005-7-2 新国立劇場小劇場にて butler)
その上、今回演出を担当をし、自ら演出家役を演じるのが白井晃と来れば、観劇前から何かやってくれそうな期待が増してくる。
舞台は3幕構成である。客席の椅子の上には劇中劇『Nothing On(何事も無し)』のプログラムが置かれていて、キャスト紹介がされている。それによると、今回のプロダクションの配役は実名で出ていることが判明する。
例えば、「演出家」はShirai Akira、「ミセス・クラケット」はSawada Ayakoというふうにである。
しかし、中身は虚実ない交ぜの紹介文であることが直ぐに解る。
また、客席中段の演出家席には白井晃が座っており1幕目の『Nothing On』のゲネプロが始まる。
ここまでに、既にいくつかの仕掛けがなされていて、芝居という虚構の中の更なる劇中劇という虚構、演じる役者に実名を持たせながら、実はそれも虚構と云うややこしさである。
二階建てのセットには例によってドアが8つくらいあって、遭遇してはならない人の出し入れの複雑さが伺える。
明日が初日にもかかわらず、舞台稽古は『何事も無し』とはいかず、波乱含みの様相でドタバタ気配が見え始める。その原因は、役者と演出家がお互いに対して抱く不満と、演出家、役者、舞台監督が入り乱れての男女関係のもつれである。これだけなら単なるドタバタでどういうこともないが、マイケル・フレインの凄いのは、このドタバタの兆しを第2幕目では舞台の裏側からも見せた点である。
セットは盆を回した1幕目の真裏側。既に本公演がスタートした劇場の舞台裏での大騒動、まさに『うら騒ぎ』を見せられ、客席には聴かせてはならない騒音『ノイゼズ・オフ』を聴かされる。
たくさんのドア。しかも2階建て。複雑な小道具の動かせ方。中でも重要なのはイワシの小皿。その他、花束にウイスキーのボトル等。恐らく膨大なキッカケと機敏な動きが要求される、舞台監督泣かせの芝居で、実際にブタカンとブタカン助手は、代役にまで借り出され、泣きが入ってくるのが可笑しい。
更に3幕目では、セットを元の表に戻し、もつれた人間関係が表舞台にまで現われ、「ノイズはオン」になり、「表騒ぎ」に発展し大混乱に陥ってゆくのである。
9名の出演者は概ね好演。実際に演出家でもある白井晃は才気溢れるスピーディな演出と主演で合格点。
ベテラン・森塚敏は演技か地か判らないほど(恐らく両方)の飄々とした味を出し、ある意味ハラハラさせられる(笑)。羽場裕一と山崎美貴のコンビにホッとさせる魅力があるのをか発見。今井朋彦は喜劇でも達者なところを見せたが、嫉妬心ばかりが目立って、この芝居での男優の芯となる色気に乏しかったのが残念なところ。
こんなに大笑いした翻訳喜劇はしばらくぶりであった。そういえば、翻訳物って感じが全くしなかった。
翻訳=小田島恒志、演出=白井晃の思うツボにはめられてしまったってことなのかもしれない。
(2005-7-2 新国立劇場小劇場にて butler)
こちらからもTBさせていただきたいと思います。よろしくお願いします。
白井さんの演出家席からの第一声を聴いて、面白くなるぞという予想が的中しました。
役名を実名にしたのも正解でしたね。こちらはマンマと策に引っ掛かって、勝手にいろいろ想像してしまいました。
これからもどうぞ宜しくお願いいたします。
これからも、よろしくお願いします。
こちらこそどうもありがとうございます。
これからもどうぞ宜しくお願いいたします。