84年に出版された
仏作家マルグリット・デュラス原作
の「ラマン」、
デュラスが70歳頃に自身の15歳頃の
様子を著した内容ですが
92年に映画化されました。
作家・小川洋子氏が自身の読み解き
方を書いたものがある。
それによると、パートナーであった
富豪華僑の息子は存在せずに書きた
かったことは母親に愛されていない
不安を綴ったものではないのかな?
そのような意味の筆致でした。
実父が亡くなり母が詐欺に遭い、
始めた事業も失敗した貧窮の中で
母は教師として生計を持ちますが、
長男への溺愛の反面、オマケのよう
な二男の兄と長女のデュラス。
愛されたいとの願望が青年との性愛
に走ったのでは無いか?
と、なるのでしょうか。
あくまで読み手の想像世界の広がり
ですが。
中国人青年は存在し彼の死を人伝に
知り、91年に彼との想い出となる
「北の愛人」を書いています。
もっとも、事実関係は作家の内なる
思いから生まれ出るものなので真偽
まで踏み込むのは無用なことだと
思います。
映画「かくも長き不在」
第三の男のアリダ・ヴァリが出ていた
名画ですね、
この映画の脚本もデュラスです。
最晩年の頃に若い愛人を持つような奔放な感性を
持ったデュラスを、ジャンヌ・モローが演じた
「愛人ラマン・最終章」の原作は相手の若い愛人
が書いたものを映画化したものです。
[Cinéma : cet amour là]
13 janvier 2002 Ce reportage évoque la sortie du nouveau film de Josée...
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「十八歳で、わたしは年老いた」
と書いたデュラス
81歳で生涯を閉じるには早い気が
します。
「愛人/ラマン」
映画『愛人/ラマン』予告編 マルグリット・デュラス
15歳のフランス人少女と中国人青年の秘められた愛! マルグリット・デュラスのベストセラーとなった自伝的小説の映画化 【Amazonで『愛人...
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ジャン=ジャック・アノー監督が
マルグリット・デュラスの自伝を
原作に92年に撮った192~30年
初頭頃の
フランス領ベトナムを舞台にした
男女の恋愛ものです。
サイゴンの寄宿舎に戻る途中に
30代の華僑富豪の息子と出会った
15歳の少女。
この原作は84年に出版され、
相手の男が亡くなったと知った
91年に「北の愛人」なる続編を
書いていて、其の後に3冊ほど
遺してデュラスは96年に81歳で
亡くなっています。
裕福な家庭も父の死後は家庭が
荒れている中で少女は離れて
サイゴンで寄宿舎生活、
実家から帰るメコン川の船上で
30代の中国の男と出会います。
設定が面白いです、
名前など無くThe_Girlと
The_Chinese_Boyの二人の出会い
から別れの期間を描き、
やがて男は結婚し少女は家族と
共にフランスに帰国するまでの
顛末です。
アノー監督が少女役に適する方
を探すのが大変だったらしいです。
雰囲気、そして全裸のラブシーン、
10代の女優志望の中からは
ハードルの高い役柄です。
難しい中、モデルで見つけた
ジェーン・マーチ
イメージぴったりな女優さんです。
帽子を小粋に被り、
衣装の着こなしも見事です。
16歳の設定にしては女過ぎます。
少女趣味など皆無ですが、
この映画ではいいです、
残念ながら、ジェーンは其の後に
出演作に恵まれずに終わったように
感じます。
そう思うと如何に良い監督と作品に
出合うかが女優の生命線となること
を再確認します。
逢瀬の度に求め合い、その都度に
金銭を貰い困窮した家族に与え、
やがての帰国資金にもなり彼の結婚
があり、二人の別れに至ります。
タイトルにインパクトがあり誤解
される作品だと思いますが、
汚くはありません。
劇的なこともない平坦な内容ですが
実に良い作品だと感じます。
ずいぶんと昔の映画を観る気が起こらなかったのは
何故なのか自分でも不明ですが、未成年の性愛と
いった宣伝が遠ざけたのかな、観てみて汚くも無く
誤解でした。