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逃亡

<5月7日の日記>
帚木蓬生の作品を初めて読みました。
「逃亡」。
主人公守田征二は中国で憲兵隊に所属していた。
終戦により武装解除され、「戦犯」として死刑になることを恐れた主人公は離隊する。
偽名を使って収容所に潜り込み、命からがら日本へ逃げ帰るが・・・と言うのが、上巻でのお話。
下巻では、妻子と共に生活を始めた矢先に、警察から出頭を求められ、逃走。
先に復員していたかつての上官や同僚などに助けられながら逃亡生活を始めるが、ついに捕まり、巣鴨プリズンへ送られ、香港へ送致され形だけの裁判を受けて処刑される日を苦悩しながら待つ・・・。

主人公守田は憲兵としては命じられた仕事を立派にこなしただけ。
しかし、戦争責任を追及された多数の戦犯は理不尽なまでの容疑をかけられ、次々と処刑されていく。
国のために戦ったのに、その国に見離され、任務は犯罪行為とみなされ、天皇も戦争に対し責任を取ることもない。

主人公自身も自身の行いに自責の念がないわけではないが、個人の力ではどうすることもできないとこもあり、やはり戦争による犠牲者でしかないのである。
主人公は善人である。人格者である。優しい思いやりのある人物として描かれている。
だからこそ、中国で離隊した時も、かつての部下である中国人が危険を顧みずかくまってくれたり、日本へ戻ってからも上官や同僚が必死に危険を冒してまで助けてくれたのだ。

でも、最後まで諦めずに逃亡に逃亡を重ね、時間を稼いだお陰か、香港へ送られて絞首刑にされると思っていたのに、ついには釈放。
香港の法廷が閉廷になったのが理由であるらしい。
ってことは逃げ回ったことが功を奏したのか?
なんか釈然としないが、まぁ良かった、良かった(^o^)




佐々木譲の「ベルリン飛行指令」に続き、「戦争」をテーマにした重い作品が続いたので、今度はもっと軽い読み物を。また宮部みゆきでも読んでみようかな?(^o^)
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