1時間半、一人で舞台に立ち、ずっとしゃべり続ける役者のパワーに驚かされた。すごい!
話に引き込まれ、何人もの人が涙していた。
私もジンと来た。
公演が始まる前の舞台。お地蔵さんとお琴とキーボードだけのシンプルな舞台。
戦前の国策で満州開拓移民団として中国に渡った女性が終戦直前、着の身着のまま命からがら開拓団の女性と子どもで日本を目指して逃げ帰ってきた。
時は流れて1980年ごろ彼女はお遍路姿で四国路を歩くところから物語は始まる。
あれから50年も経とうとしているのに、何かがいつも陰のように彼女を追いかけてくる。
花いちもんめの歌と共に。
彼女には日本に引き上げる途中、仕方なく中国人に預けてきた娘がいる。
1980年代、娘は残留孤児として母親や家族を探しに日本にやってきた。
娘のことを書いた新聞記事を彼女は大切に肌身離さず持っているけど、彼女は娘に会いに行くことはどうしてもできなかった。
娘を捨てた母親だから。引き取ってくれた中国人と娘に会わないことを約束したから。
そういう母親はたくさんいた。母親と名乗ることのできない母親がたくさんいた。どんなに自分の子どもに会いたかったことだろう…
残留孤児に会いに行くおじさんやおばさんや兄弟は大勢いるが、名乗り出る母親は一人もいなかった。
彼女は戦争という歴史に翻弄された。深い悲しみの中で、強く、切なく、もろく、そして明るく…生きる。
戦争は人の一生から幸せを剥ぎ取ってしまう。彼女は幸せを戦争で奪われた…これは反戦劇。そう感じた。
実はこの一人芝居をしている役者は俳優座所属の田野聖子ちゃん。
彼女は友人の娘さんで、小学生から中学生の頃まで私の英語塾に通ってきていたお嬢さん。
栴檀は双葉より芳しいというけど、聖子ちゃんは中学生の時から英語のスピーチでいい成績をとったり、子ども劇団で活躍していた。がんばれ!聖子ちゃん!
舞台は16日が楽。このあと7月には10日間に渡りニューヨーク公演。
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うでぃ
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