エンジョイクラス

サッカーのことを中心に、基本的になんでもあり。

レンタル移籍

2006-01-20 21:27:44 | Weblog
 日本のプロ野球がレンタル移籍を導入しようとしているみたいだけど、サッカー界におけるレンタル移籍ってどうなってるの?

 Jリーグの場合、正確には「期限付き移籍」と言う。移籍元・移籍先・および選手の3者合意によって期限付き移籍契約を結ぶ。この際“移籍金”は、「移籍元と移籍先の合意による」という規定はあるが、慣例としては発生していない。
 レンタル移籍の先には、「完全移籍」「期限延長」「再移籍」という選択肢がある。再移籍については、クラブに戻ってくることになる。完全移籍と、期限延長には通常より少ない移籍金が生ずる。

 移籍元から考えると、実戦で選手を味見できるとも考えられる。結果によっては、完全移籍を目指すことも可能。一方、「出場機会を与えられない選手を、レンタルに出して、移籍先クラブで出場経験を積ませる」という方法を取るクラブも多い。
 
“移籍させて経験を積ませる”ということに疑問を感じる。

 実戦経験を他クラブで積ませることは、自分のチームの選手の育成を一時的に他クラブに任せてしまうということになる。選手の育成という観点で考えると、非常に中途半端な育成になる。クラブによって育成方法・コーチ・設備はことなる。選手にとって、指導者・環境の変化は大きいこと。“移籍させて経験をつませる”レンタル移籍は、選手の育成に失敗してしまうのではないか?という不安がある。

あっ・・・、思い出した。サテライトがあった。

 Jリーグには「サテライトリーグ」というものがある。サテライトリーグは、J登録選手で出場機会の少ない23歳以下の選手に、実戦の経験を積ませることを目的としている。2005年に参加しているチームはJ1の18チーム+J2の7チーム。A~Dグループに別れ(1グループ7チーム)、H&Aで総当りをする。年間12試合あることになる。
 GK以外は、原則23歳以下の選手で構成しなくてはならないが、数人の24歳以上の選手(オーバーエイジ)を出場させても良いことになっている。実戦経験はここで十分に積ませることができる。
 
 そうかサテライトリーグがあれば、23歳以下の選手は自分のクラブで育成させることができる訳だ。高卒だったら5年間は育成させることができる。5年も育成して、芽が出なかったときはクラブとして契約を考えるのは当然のことだ。プロ契約なのだから。23歳以上の選手に関しても、育成を度外視してレンタルに出しても、「もう大人なんだから」みたいな感じで、許される気がする。もし、24歳で契約更改できなかったとしても、Jリーグには選手用のハローワークがある。インターンも行っているし、寿命の短いプロ選手という職業人に対する、セカンドキャリアのことも考えられている。

 う~ん、よくできてる。Jリーグ。ここまでしっかりしてれば、子供達はJリーガーという夢を安心して抱ける。

でも、サテライトリーグの試合数少くないか?個人的には今の倍くらいはあってもいい気がする。ただ、サテライトリーグの試合がオーバーワークの対象となり、若手にケガ人が続出したらマズイ。それを考えると、メディカル的に今の試合数が妥当だと考えられているのだろう。
 
 セリエAなんかでは、将来有望な注目の若手を獲得して即座にレンタルに出すというのをよく見る。荒業だ。他のチームで熟成させるのだろう。油が乗ってきたら、チームに戻す。正直、選手育成を重んじた場合、この方法はあまり良いとは思えない。日本のプロ野球界にレンタル移籍を導入したら、こんな使い方をするチームが出てくるような気がする。
 メジャー移籍をする際に、FA権を持たない選手はポスティング制度による移籍しか選択肢がない。その場合、ポスティングによる移籍を球団が認めなくてはならない。これを認めるか認めないかで選手と球団は揉める。「だったらFA権取得するまで待てばいいじゃないか」とも思うが、FA権取得まで9年かかるというは長すぎる。
 メジャー移籍問題が発端となっているのだから、レンタル移籍の導入よりも先に、FA権取得までの期間短縮の方が先にやるべきことのような気がする。付け焼刃的なレンタル移籍制度導入は、良い結果を生まない気がする。

 もし、一般人にも日本プロ野球のFA制があったら、雇い主から評価されていれば、9年間は仕事を変えられないってことか・・・。なげぇな・・・。想像するだけで、色んな問題が見えてくる。プロ野球選手も仕事という意味では同じだからなぁ。