エンジョイクラス

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2005/06 0222 UEFA CL 【Chelsea × Barcelona】

2006-02-23 09:16:21 | Weblog
 チェルシーホーム

 10年以上のジュベンティーノである僕は、ユーべの試合をなくなくあきらめ世界が注目するこの試合を見ることにした。ユーべは見なくても勝つと信じている。

 スタジアムの熱気、世界中の熱気が見える。そのピッチでアップするテリー。「どんな気分なんだろう?」と思わず考えてしまう。

 メッシがアップしている。ピッチがぬかるんでいる。濡れた雑巾のよう。ピッチ状態は最悪。

 試合開始

 スローペースで始まる。チェルシーはクレスポの1トップ。ロベン、コール、グジョンセンでサポートする。バルセロナはポゼッションサッカー。

 バルサのキーマンはメッシ。ロナウジーニョはおとなしいが、時おりお洒落プレーを見せる。エトーもおとなしい。1人気を吐くのはメッシ。異次元のスピードと、独特のボールタッチで相手を翻弄。チェルシーDF陣ついていけないが、フィニッシュは許さない屈強なテリーとカルバーニョ。メッシの動きにバルサの可能性を感じる。

 チェルシーのキーマンはマケレレ。センターサークル付近で縦横無尽に走り回る。縦パスを受けたバルサの選手の横には必ずマケレレがいる。ポジショニングにも相当気を使っている。その様子は“門番”といった感じ。

 試合を動かしたのはやはりメッシ。ロベンが体を入れてボールをゴールラインの外に出そうとするが、メッシが後ろから突っかかる。ボールがラインを割る寸前でメッシがロベンからボールを奪い取り、ロベンのスライディングをかわす。そこにオルノが突っ込んでくる。メッシの対応にいらついていたオルノは、ボールを蹴るふりをしてわざと空振り、勢いあまったように見せてメッシに体当たり。共にもんどりうつ。そこに群がる両チームの選手達。騒動がおさまりかけたところでオルノにレッド。

 レッドはない。イエローまでだと思う。そもそも、メッシがロベンに後ろから突っかかっていた時点でメッシのファウルだ。背が小さいからそうは見えなかったのか、ロベンはファウルだと油断したところでボールを奪われた。オルノに体当たりされて倒れたメッシは、審判が近づいてくるのを確認してから痛がる。策士メッシ!してやったりだ。

 僕は前半や後半早々に退場者が出た場合、数的不利なチームをよ~く観察する。数的不利をどう対応するのかを。
 ラインを引いて、ゴール前を固める。中央への縦パスは絶対通させず、サイドからクロスを上げさせ、徹底的に跳ね返す。マークはマンマークでもゾーンでもない。とにかくカバーリングを強く意識する。あとはシンプルにカウンター。失敗しても何度もカウンターから得点を狙う。敵陣に入ったら、無理に抜かずにわざと相手を背負いファウルを誘う。
 この対応ができている時は、数的不利なチームが先制したり、勝ったりすることが多い。DFの集中力が上がり、攻撃はシンプルになる。なによりラインを引くことで相手の裏のスペースが広がる。
 
 チェルシーは数的不利な状況に慌てず対応ができていた。この時、チェルシーが先制すると予想した。ロングボールからクレスポが点を取るか、セットプレーで点が入るだろうと。
 同時に、バルサの総攻撃に耐え切れるか疑問もあった。特にメッシが手の付けようも無い。眠っているエトーとロナウジーニョが目を覚ましたら、耐え切れるのか?

 前半は0-0で終了。

 モウリーニョは、ハーフタイムでライカールトをストーキングでもするのだろうか?と思いながら小休止。

 後半開始

 前半と同じペースで始まる。

 チェルシーはカウンターを繰り返す。ロベンが左サイドに流れボールを受ける。抜く気はなく、明らかにファウルを狙っている。わざとスピードダウンし、足を絡めてくるのを待つ。狙い通りファウルをもらう。
 ランパードがキッカー。低くて早い弾道、ゴールへ向かうボール。ゴール前でテリーとモッタが競り合う。モッタのひざにボールが当たり、ゴールに転がって行く。
 チェルシー先制!バルサのオウンゴールだが、チェルシーの狙い通りだった。

 チェルシーはこの後が重要。守りの集中を切らさないこと。ゴール前のファウルを避けるため、中央への縦パスを入れさせず、サイドからクロスを上げさせて跳ね返せばいい。しつこくカウンターを続けて、セーフティに試合を運ぶ。どこまで徹底できるか?
 とにかくマケレレ。どこであろうとボールを持つ選手の目の前に現れ、絶対に縦パスを通させない。マケレレ1人に阻まれ、バルサは全てサイドに展開する。クロスを上げても全て跳ね返す。
 チェルシーは何度か決定機を外す。こういうのは響く。確実にものにしたい。

 チェルシー、PA付近左45°でファウルをおかす。やってはいけないことだが、ファウルを0にするのは難しいので、フリーキックに耐えなくては。
 キッカーはロナウジーニョ、低い弾道でファーを狙う。若干ひっかけ気味。しかし、恐らく競り合っていたテリーの頭にあたり、弾道が変わる。ファーサイドのゴールネットに突き刺さる。バルサ同点。
 テリー何度も、ゴールに入りそうなシュートをかき出していたのに・・・

 チェルシーはピンチ。ここはホームだ。決勝点を狙わなくてはならない。1-1でも良いのに、本能的に前にかかってしまう。数的不利におけるディフェンスの鉄則が崩れてしまう危険がある。
 案の定、崩れ始めるディフェンス。タイミングの悪いことに、フリーキックで息を吹き返したロナウジーニョが猛威を振るう。さらに絶好調メッシもイケイケ。かなり危険な状態のチェルシー。

 予感は的中。左サイドのパーフェクトクロスにエトーがどんぴしゃヘッド。バルサ逆転!

 バルサはその後も手を緩めない。チェルシーもわずかな隙間を狙ってカウンターをしかける。

 試合終了に近づいた頃、チェルシーがリスクを背負ったカウンターをやらなくなった。ホームで1-2の敗戦で良しとするのだろう。判断としては間違っていない、アウェーゴールを3点も奪われて、2点差で1stレグを終えたら最悪だ。決着がついたも同然。このままのスコアで、カンプノウで2点以上取ること方が遥かに現実的。

 試合終了。

 熱い戦いだった。バルサの総攻撃に必死に耐えるチェルシー。ユーべの試合を放棄しただけの価値はあった。

 チェルシーは同点に追いつかれても、ディフェンスを固め続けるべきだった。その方が得点のチャンスもあっただろう。同点に追いつかれた時に前がかりになってしまったのがよくなかった。今日のマケレレのパフォーマンスとカルバーニョのカバーリング、テリーのフィジカルを考えれば、2点目を防げた可能性もあった。同点に追いつかれ、守備陣系を乱してしまったところをバルサにつかれた。バルサは見逃さなかった。

 前半で退場者が出て、ホーム1-2の敗戦。最悪の中の最高の結果として考えることもできる。カンプノウでは長攻撃的なスタイルを取ればよい。
 もうひとつ。ロナウジーニョよりもメッシの対応を考えておくこと。メッシに何度ゴールを脅かされたことか。

 今日はメッシが作った試合だった。あれで18歳というのは信じがたい。オーウェン、ルーニーの衝撃を遥かに上回る。

 試合中にモウリーニョとライカールトが顔を近づけて話をしているシーンがあった。何を話していたのだろう。