エンジョイクラス

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2005/06 0221 UEFA CL 【Real Madrid × Arsenal】

2006-02-22 09:43:06 | Weblog
 1st レアルホーム

 スタメンを見て感じたこと。
 レアル:バチスタがいない。
 アーセナル:ベルカンプがいない。(飛行機恐怖症のためか?)

 最近のレアルの好調はバチスタ抜きには語れない。一方、アーセナルパズルの最後のピースはベルカンプが飛行機恐怖症を克服してアウェーの試合に出ることだと思っている。笑

 そんなことを思いながら、試合開始を待つ。

 試合開始
 立ち上がりは両チーム無難。間もなくアーセナルが強烈過ぎる先制パンチ。センターサークルでボールを奪うとすぐにアンリにパス。アンリは中央をドリブルで駆け上がり、左に走りこんだレジェスにパス。レジェス決定的チャンス!シュート外す・・・。(カシージャス左手一本)
 この1プレーは点にならなかったが大きかった。レアルが動揺した。ラインが一気に下がってしまう。それにより中盤にスペースができてしまい、アーセナルの選手が余裕を持ってボールをさばく。簡単にアンリにボールが入る。

アンリのポスト→左からクロスして裏に抜け出すリュンベリ→アンリスルーパス→パスを受けたリュンベリ、GKをかわしシュー→間一髪ロベカルがスライディングクリア。

レジェス左からアーリークロス→ファーのアンリにドンピシャ→アンリ完全に競り勝つも枠を外す。

前半10分までにこの3つの決定的チャンス。しかし1つもゴールに至らなかった。これがどう響いてくるか。

レアルは完全にラインが下がってしまった。間延びした中盤になってしまい、ボールが前に運べなくなる。しかし、百戦錬磨のジダンとベッカムがバランスの修正に取り組み始める。ジダンはピッチのいたるところに姿を現し、自らがボールをもらいに下がってくる。ベッカムはジダンが受けたボールを前に運ぶために、右サイド裏のスペースに何度も飛び出す。前線にボールを供給できるように、ジダンが下がってボールをもらい、ジダンのパスを活かすためにベッカムが盛んに裏に飛び出す。ジダンとベッカムに意識がいくので、ロビーニョにもボールが入るようになり、ロビーニョ得意の左サイドでもキープができるようになる。

ロビーニョの左サイドボールキープからジダンにパス→ファーサイドにクロス→DFの裏に走りこむベッカムのヘッド→DF必死に体を入れる→ヘッド惜しくも枠を外す。

しかしこのプレーで初めてアーセナルのゴールが脅かされる。これによりアーセナルもディフェンシブになった。
ジダンとベッカムの体力を使う仕事のおかげで、一方的になりかけた試合が徐々にレアルのペースになっていく。
レアルはサイド攻撃を多用し、盛んにクロスを上げるが全て跳ね返される。ベッカムが何度もDFの裏に走りこみ決定的チャンスを演出するが、フィニッシュが決まらない。

前線にプレス。ベッカムがCBからボールを奪う→カットしたボールがロナウドに渡る→ロナウドが触る前にベッカムは既に動き出している→ロナウドベッカムにパス→DF対応に遅れる→ベッカムGKと1対1→股下を狙うがGKの無意識な踵にボールが当たり枠を外れる。(このプレーはオフサイドだったが、ラインズマン見逃す)

本格的にレアルペース。

しかし、アーセナルもチャンスを作る。

アンリ高い位置でボールを受ける→チョコンと後ろに下げる→ゆっくり走っていたかと思えばいきなり縦にダッシュ→リバースのパスがそのままアンリに渡り抜け出す→GKと1対1。アンリ得意の左45°。左足では打たず、回り込み右足インサイドでカーブをかけて流し込もうとする(得意のシュート)→シュートが弱くカシージャスなんなくセーブ→飛び込んできたリュンベリ怒る。

前半終了。一進一退といった感じ。ジダンとベッカムが修正を図ったことでレアルは一命をとりとめた。

後半開始。
 無難な立ち上がりだったが

センターライン近くでアンリがパスを受ける→アンリが前を向き強引に突破する→DF3人置き去り→GK1対1→左足でゴールに流し込む。アーセナル先制!

アンリのフィジカルとアジリティの勝利。1人目のDFをフィジカルで振りきり、前にいるDFをかわす。かわした瞬間に体を入れボールを自分のものとする。そしてそのままDFを振り切る。ドリブルの1歩目の速さと、体を入れた時のフィジカルの強さが際立った。縦に突破させたら世界でも屈指のアンリ。DFからしたら相当な威圧感だろう。その威圧感に冷静に対処するには、経験と実力が足りないレアルのCB。

その後、アーセナルは一気にラインを下げる。中盤も引き連れて全体的に引いたので中盤にスペースは生まれないものの、レアルの総攻撃を受けることになる。レアルはサイドにボールを散らしひたすらクロスをあげる。
しかし、アーセナルのCBは集中を上げて、クロスの入ってくるゾーンを徹底して固めている。そのため、レアルのクロスはことごとく跳ね返される。
アーセナルは守りを徹底。逃げ切る気だ。サンドバックになる。

相手がサンドバック状態の時の攻撃は難しい。日本人なら知っているはず、アジア予選の辛さを。サンドバックを叩く時に気をつけたいのが、単調な攻撃になること。特に簡単にクロスを上げてばかりいると単調になってくる。PA内にDFを多く配置しているので多様されるクロスボールの対処は難しくない。
案の定、レアルの攻撃は単調になる。中央突破がひとつもない。相手が徹底して固めている中央を強引にこじ開けようしない。相手は中央の門を閉めることで、サイドから攻めさせようとする。点にはならなくても、中央突破を図ることでDFのリズムを狂わせることができるのだが、レアルはアーセナルのDFに誘導されるようにサイドにボールを回している。サイドに渡ったボールは簡単にクロスを上げる。

ラインを固めてあるアーセナルは簡単にクロスを跳ね返す。その跳ね返したボールが前線のアンリに渡りレジェスやリュンベリに渡ることで一発カウンターが入る。サンドバックを叩き続けていたら、突然サンドバックが攻撃してくるのでDFは慌てる。機会は少ないが、決定的なチャンスを2度3度作り出すアーセナル。しかし決められない。(こういうのが後に響いて来ないとよいが・・・)

結局最後まで、サンドバックを叩き続けたレアルはとうとうサンドバックを破ることができずに試合終了。

痛恨。ホームで相手にアウェーゴールを許し敗北。

レアルの敗因は、サンドバックを一方向から叩き続けたこと。もっと中央突破を図るべきだった。それよりも、自分達がラインを引くべきだった。一度ラインを引いて、相手のラインを上げさせれば良かったのだ。そうすることで、アーセナルのラインの裏にスペースを作ることができた。しかしCLの決勝T初戦をホームで向かえ、絶対落としたくない試合で、終始主導権を握っていたい気持ちもわかる。ラインを引くことにはリスクが伴うので難しいのも確か。ただし、今日のアーセナルのDFを見ればそのリスクを背負わない限りゴールするのは難しかったのでないか。
主導権は握り続けたものの、単調になってしまったのが敗因だろう。失点が1点で済んだのはせめてもの救いだ。
交代についても、何故ラウルを使ったのか疑問が残る。ラウルはまだボールが足についていなかった。あんなラウルなら、カッサーノを使うべきだ。カッサーノのいやらしいポジショニングをここで活かさない手はないはずだ。ロペス・カロにとって始めての大舞台、采配に狂いが生じたか?バイチスタ投入も少し遅かったように思える(グラベセンよりロナウドと代えたほうが良かったと思う)。

アーセナルは守備を重視し、カウンターで攻撃するというアウェーのお手本という戦いを徹底した。アンリを1トップとしてリュンベリとレジェスが2シャドーになっている感じだったが、アンリが盛んにクサビに入りボールを受けたことで、リュンベリとレジェスは見事なシャドーになれた。アンリとの息もぴったりで、シャドーとして後ろから飛び出す動き、アンリとクロスする動きなど素晴らしかった。あの3人だけで攻撃が成り立っていた。また、攻撃の3人をセスクとジウベルト・シルバが脇で支えていたのも印象に残った。DFの集中力とセーフティを心がけたプレーは最も評価できる。アーセナルは内容、結果ともに文句なし。

とはいっても、まだ前半が終わったようなもの。まだまだわからない。