エンジョイクラス

サッカーのことを中心に、基本的になんでもあり。

祝!アルペンスキー男子回転

2006-02-26 04:11:40 | Weblog
 トリノオリンピック

 イタリア セストリエール

 アルペン競技の最後を飾るのは男子回転。この競技は日本人のメダルが期待できる。

 佐々木明
 皆川賢太郎

 この両選手はW杯ランキングトップ15に入っている。

 1回目結果
 
 皆川   3位 +0.07
 佐々木  8位 +1.00
 湯浅  16位 +1.39

 一回目終了時点で超高位置につけている。かつてない期待感に興奮している。

 SKITVとか、その前のFISのW杯放送を深夜に確かフジテレビがやっていた頃は、毎回見ていた。クリスペプラーが実況で岡部哲也が解説というのがお決まりだった。
 その頃は、木村公宣が日本のエースでたまに上位につけることがあった。その木村が今や解説をしている。時代の流れを感じる。

 今はFISのW杯をテレビで見れることはなくなった。凄い寂しい冬をここ数年過ごしていた。今年は世界のアルペンスキーを見れて楽しい。

 皆川賢太郎は、中学時代にたまにスキー場や僕の住む町で見かけることがあった(ゲーセンでパンチングマシーンやってたり)。僕の周りには全国で戦う友達が数人いて、その中でもトップにいたのが2歳上の皆川賢太郎だった。僕もアルペン競技をしていたし、僕が辞めてからも友達の応援を続けていた。いつか一緒にやっていた友達がオリンピックに出ないかな?と。僕がどうやってもかなわなかった友達でも、勝てなかった皆川賢太郎。彼が世界を獲ったらすごい嬉しい。

 佐々木明は、僕の弟の世代。僕の弟は新潟県ではトップレベルの選手だったが、全国に行くと佐々木明に勝てなかったらしい。僕は佐々木を見たこともないけど、弟はライバル視してたので、やはり応援に熱が入る。超攻撃的な滑りが魅力の佐々木が、会心の滑りをすれば2本目逆転もありそう。

 さて、2本目に超期待!メダルは取れるだろう!問題は金を取れるかだ!

 ん~~~、悔しい。

 2本目結果
 
 皆川  4位 +1.04
 湯浅  7位 +1.43
 佐々木 途中棄権

 皆川4位!3位と+0.03。たったの0.03だ。百分の三・・・
メダル獲ってほしかった。あ~悔しい。「メダルを獲った奴らは、ジュニアの頃から一緒だった奴らだ。2本目は緊張したけど、スタート台に立ったら”あぁ戻ってこれたんだ”と思った。メダルが本当に欲しかった。」(引用不正確)
 メダルが獲れたのにという実感と、大怪我(膝の靭帯断裂)から戻ってこれたこと、そしてなにより無念が伝わってきた。泣けてくる。

 湯浅がジャンプアップ。1本目16位から7位までジャンプアップした。これは素晴らしい!初めてのオリンピックで、まだ大学生だ。将来に期待できる!コメントでも「バンクーバーでは必ず金を獲る」と。力強い。期待できる!

 佐々木はスタート直後に、片反(片足通過反則)で途中棄権になってしまった。攻撃的に滑ったから仕方のない結果。残念。実力者だから次に期待をしたい。

 凄い悔しく、残念だけど、日本がトップ7に2人もいるというのは興奮を抑えきれない。すごいレベルアップだ。将来に繋がる結果だ。

 日本チームがこんなに強くなっているとは。映像を見て初めて実感した。(これを機にFISのW杯をTV放送してほしい)

 皆川が滑る時は心臓が出てくるほど緊張した。サッカーのW杯で日本代表を応援している時と同じだ。解説の木村公宣も声を聞くだけで興奮しているのが伝わってきたが、僕も全く同じ。メダルを逃した瞬間は泣きそうだった。木村公宣も涙ぐんでいた。日本のアルペンが世界に通用する時が来るとは想像していなかった。正直、過剰に期待してた部分もあったが、本当に優勝すると信じていた。

 表彰台を独占した、オーストリーの選手でドーピングが出て欲しいとついつい考えてしまう。それほどメダルに手がかかっていたのに逃した悔しさが大きい。
 日韓W杯のトルコ戦の後と同じような心境になってしまった。寝れそうもない。

 それでも、半世紀の日本アルペンを考えれば信じられない好成績。50年前に猪谷千春さんが銀をとってから、入賞者は出ていなかったのに、今回は2人も入賞している。世界のトップレベルに到達したといえる。最高の結果だ!

 今回はトキ(途中棄権)った人が多かった。実力者も多くがトキった。”だから”と言う人もいるかもしれない。でも、それだけ過酷なコースで2本完走したことはなによりも実力を証明するもの。実力者もついてこれないコースで、結果を残したのだ。
 優勝したベンジャミン・ライヒは、現在世界最強のアルペンスキーヤーだ。トリノの大回転で金も獲っている。1本目の皆川とライヒの差は+0.07だ。世界最強とたったの0.07差だ。他の実力者が完走したって、相当高順位だったはずだ。ライヒとのタイム差を見たって、世界レベルということが伝わってくる。

 スーパー大回転で金を獲ったオーモットや、銅を獲ったマイヤーは30を過ぎたベテランだ。オーモットなんて、僕が小学生の頃のスターだ。30を過ぎたって金を獲れる競技だ。

 皆川は28歳。佐々木は24歳。湯浅は22歳。バンクーバーに十分期待できる年齢。大怪我がないことだけを祈って、夢は4年後にとっておこう。日本アルペンがメダルを獲ったり、W杯で優勝したりする日が近いうちにくることを願っている。それを目の当たりにできたら最高だ!

 これでスキー人気も高まってくれたら、さらに嬉しい。日本のスキー界がレベルアップして、スキー人気も高まってほしい。

 バンクーバー観に行きたいなぁ。その時にメダル獲ったら最高だなぁ。

2005/06 0222 UEFA CL 【Chelsea × Barcelona】

2006-02-23 09:16:21 | Weblog
 チェルシーホーム

 10年以上のジュベンティーノである僕は、ユーべの試合をなくなくあきらめ世界が注目するこの試合を見ることにした。ユーべは見なくても勝つと信じている。

 スタジアムの熱気、世界中の熱気が見える。そのピッチでアップするテリー。「どんな気分なんだろう?」と思わず考えてしまう。

 メッシがアップしている。ピッチがぬかるんでいる。濡れた雑巾のよう。ピッチ状態は最悪。

 試合開始

 スローペースで始まる。チェルシーはクレスポの1トップ。ロベン、コール、グジョンセンでサポートする。バルセロナはポゼッションサッカー。

 バルサのキーマンはメッシ。ロナウジーニョはおとなしいが、時おりお洒落プレーを見せる。エトーもおとなしい。1人気を吐くのはメッシ。異次元のスピードと、独特のボールタッチで相手を翻弄。チェルシーDF陣ついていけないが、フィニッシュは許さない屈強なテリーとカルバーニョ。メッシの動きにバルサの可能性を感じる。

 チェルシーのキーマンはマケレレ。センターサークル付近で縦横無尽に走り回る。縦パスを受けたバルサの選手の横には必ずマケレレがいる。ポジショニングにも相当気を使っている。その様子は“門番”といった感じ。

 試合を動かしたのはやはりメッシ。ロベンが体を入れてボールをゴールラインの外に出そうとするが、メッシが後ろから突っかかる。ボールがラインを割る寸前でメッシがロベンからボールを奪い取り、ロベンのスライディングをかわす。そこにオルノが突っ込んでくる。メッシの対応にいらついていたオルノは、ボールを蹴るふりをしてわざと空振り、勢いあまったように見せてメッシに体当たり。共にもんどりうつ。そこに群がる両チームの選手達。騒動がおさまりかけたところでオルノにレッド。

 レッドはない。イエローまでだと思う。そもそも、メッシがロベンに後ろから突っかかっていた時点でメッシのファウルだ。背が小さいからそうは見えなかったのか、ロベンはファウルだと油断したところでボールを奪われた。オルノに体当たりされて倒れたメッシは、審判が近づいてくるのを確認してから痛がる。策士メッシ!してやったりだ。

 僕は前半や後半早々に退場者が出た場合、数的不利なチームをよ~く観察する。数的不利をどう対応するのかを。
 ラインを引いて、ゴール前を固める。中央への縦パスは絶対通させず、サイドからクロスを上げさせ、徹底的に跳ね返す。マークはマンマークでもゾーンでもない。とにかくカバーリングを強く意識する。あとはシンプルにカウンター。失敗しても何度もカウンターから得点を狙う。敵陣に入ったら、無理に抜かずにわざと相手を背負いファウルを誘う。
 この対応ができている時は、数的不利なチームが先制したり、勝ったりすることが多い。DFの集中力が上がり、攻撃はシンプルになる。なによりラインを引くことで相手の裏のスペースが広がる。
 
 チェルシーは数的不利な状況に慌てず対応ができていた。この時、チェルシーが先制すると予想した。ロングボールからクレスポが点を取るか、セットプレーで点が入るだろうと。
 同時に、バルサの総攻撃に耐え切れるか疑問もあった。特にメッシが手の付けようも無い。眠っているエトーとロナウジーニョが目を覚ましたら、耐え切れるのか?

 前半は0-0で終了。

 モウリーニョは、ハーフタイムでライカールトをストーキングでもするのだろうか?と思いながら小休止。

 後半開始

 前半と同じペースで始まる。

 チェルシーはカウンターを繰り返す。ロベンが左サイドに流れボールを受ける。抜く気はなく、明らかにファウルを狙っている。わざとスピードダウンし、足を絡めてくるのを待つ。狙い通りファウルをもらう。
 ランパードがキッカー。低くて早い弾道、ゴールへ向かうボール。ゴール前でテリーとモッタが競り合う。モッタのひざにボールが当たり、ゴールに転がって行く。
 チェルシー先制!バルサのオウンゴールだが、チェルシーの狙い通りだった。

 チェルシーはこの後が重要。守りの集中を切らさないこと。ゴール前のファウルを避けるため、中央への縦パスを入れさせず、サイドからクロスを上げさせて跳ね返せばいい。しつこくカウンターを続けて、セーフティに試合を運ぶ。どこまで徹底できるか?
 とにかくマケレレ。どこであろうとボールを持つ選手の目の前に現れ、絶対に縦パスを通させない。マケレレ1人に阻まれ、バルサは全てサイドに展開する。クロスを上げても全て跳ね返す。
 チェルシーは何度か決定機を外す。こういうのは響く。確実にものにしたい。

 チェルシー、PA付近左45°でファウルをおかす。やってはいけないことだが、ファウルを0にするのは難しいので、フリーキックに耐えなくては。
 キッカーはロナウジーニョ、低い弾道でファーを狙う。若干ひっかけ気味。しかし、恐らく競り合っていたテリーの頭にあたり、弾道が変わる。ファーサイドのゴールネットに突き刺さる。バルサ同点。
 テリー何度も、ゴールに入りそうなシュートをかき出していたのに・・・

 チェルシーはピンチ。ここはホームだ。決勝点を狙わなくてはならない。1-1でも良いのに、本能的に前にかかってしまう。数的不利におけるディフェンスの鉄則が崩れてしまう危険がある。
 案の定、崩れ始めるディフェンス。タイミングの悪いことに、フリーキックで息を吹き返したロナウジーニョが猛威を振るう。さらに絶好調メッシもイケイケ。かなり危険な状態のチェルシー。

 予感は的中。左サイドのパーフェクトクロスにエトーがどんぴしゃヘッド。バルサ逆転!

 バルサはその後も手を緩めない。チェルシーもわずかな隙間を狙ってカウンターをしかける。

 試合終了に近づいた頃、チェルシーがリスクを背負ったカウンターをやらなくなった。ホームで1-2の敗戦で良しとするのだろう。判断としては間違っていない、アウェーゴールを3点も奪われて、2点差で1stレグを終えたら最悪だ。決着がついたも同然。このままのスコアで、カンプノウで2点以上取ること方が遥かに現実的。

 試合終了。

 熱い戦いだった。バルサの総攻撃に必死に耐えるチェルシー。ユーべの試合を放棄しただけの価値はあった。

 チェルシーは同点に追いつかれても、ディフェンスを固め続けるべきだった。その方が得点のチャンスもあっただろう。同点に追いつかれた時に前がかりになってしまったのがよくなかった。今日のマケレレのパフォーマンスとカルバーニョのカバーリング、テリーのフィジカルを考えれば、2点目を防げた可能性もあった。同点に追いつかれ、守備陣系を乱してしまったところをバルサにつかれた。バルサは見逃さなかった。

 前半で退場者が出て、ホーム1-2の敗戦。最悪の中の最高の結果として考えることもできる。カンプノウでは長攻撃的なスタイルを取ればよい。
 もうひとつ。ロナウジーニョよりもメッシの対応を考えておくこと。メッシに何度ゴールを脅かされたことか。

 今日はメッシが作った試合だった。あれで18歳というのは信じがたい。オーウェン、ルーニーの衝撃を遥かに上回る。

 試合中にモウリーニョとライカールトが顔を近づけて話をしているシーンがあった。何を話していたのだろう。

2005/06 0221 UEFA CL 【Real Madrid × Arsenal】

2006-02-22 09:43:06 | Weblog
 1st レアルホーム

 スタメンを見て感じたこと。
 レアル:バチスタがいない。
 アーセナル:ベルカンプがいない。(飛行機恐怖症のためか?)

 最近のレアルの好調はバチスタ抜きには語れない。一方、アーセナルパズルの最後のピースはベルカンプが飛行機恐怖症を克服してアウェーの試合に出ることだと思っている。笑

 そんなことを思いながら、試合開始を待つ。

 試合開始
 立ち上がりは両チーム無難。間もなくアーセナルが強烈過ぎる先制パンチ。センターサークルでボールを奪うとすぐにアンリにパス。アンリは中央をドリブルで駆け上がり、左に走りこんだレジェスにパス。レジェス決定的チャンス!シュート外す・・・。(カシージャス左手一本)
 この1プレーは点にならなかったが大きかった。レアルが動揺した。ラインが一気に下がってしまう。それにより中盤にスペースができてしまい、アーセナルの選手が余裕を持ってボールをさばく。簡単にアンリにボールが入る。

アンリのポスト→左からクロスして裏に抜け出すリュンベリ→アンリスルーパス→パスを受けたリュンベリ、GKをかわしシュー→間一髪ロベカルがスライディングクリア。

レジェス左からアーリークロス→ファーのアンリにドンピシャ→アンリ完全に競り勝つも枠を外す。

前半10分までにこの3つの決定的チャンス。しかし1つもゴールに至らなかった。これがどう響いてくるか。

レアルは完全にラインが下がってしまった。間延びした中盤になってしまい、ボールが前に運べなくなる。しかし、百戦錬磨のジダンとベッカムがバランスの修正に取り組み始める。ジダンはピッチのいたるところに姿を現し、自らがボールをもらいに下がってくる。ベッカムはジダンが受けたボールを前に運ぶために、右サイド裏のスペースに何度も飛び出す。前線にボールを供給できるように、ジダンが下がってボールをもらい、ジダンのパスを活かすためにベッカムが盛んに裏に飛び出す。ジダンとベッカムに意識がいくので、ロビーニョにもボールが入るようになり、ロビーニョ得意の左サイドでもキープができるようになる。

ロビーニョの左サイドボールキープからジダンにパス→ファーサイドにクロス→DFの裏に走りこむベッカムのヘッド→DF必死に体を入れる→ヘッド惜しくも枠を外す。

しかしこのプレーで初めてアーセナルのゴールが脅かされる。これによりアーセナルもディフェンシブになった。
ジダンとベッカムの体力を使う仕事のおかげで、一方的になりかけた試合が徐々にレアルのペースになっていく。
レアルはサイド攻撃を多用し、盛んにクロスを上げるが全て跳ね返される。ベッカムが何度もDFの裏に走りこみ決定的チャンスを演出するが、フィニッシュが決まらない。

前線にプレス。ベッカムがCBからボールを奪う→カットしたボールがロナウドに渡る→ロナウドが触る前にベッカムは既に動き出している→ロナウドベッカムにパス→DF対応に遅れる→ベッカムGKと1対1→股下を狙うがGKの無意識な踵にボールが当たり枠を外れる。(このプレーはオフサイドだったが、ラインズマン見逃す)

本格的にレアルペース。

しかし、アーセナルもチャンスを作る。

アンリ高い位置でボールを受ける→チョコンと後ろに下げる→ゆっくり走っていたかと思えばいきなり縦にダッシュ→リバースのパスがそのままアンリに渡り抜け出す→GKと1対1。アンリ得意の左45°。左足では打たず、回り込み右足インサイドでカーブをかけて流し込もうとする(得意のシュート)→シュートが弱くカシージャスなんなくセーブ→飛び込んできたリュンベリ怒る。

前半終了。一進一退といった感じ。ジダンとベッカムが修正を図ったことでレアルは一命をとりとめた。

後半開始。
 無難な立ち上がりだったが

センターライン近くでアンリがパスを受ける→アンリが前を向き強引に突破する→DF3人置き去り→GK1対1→左足でゴールに流し込む。アーセナル先制!

アンリのフィジカルとアジリティの勝利。1人目のDFをフィジカルで振りきり、前にいるDFをかわす。かわした瞬間に体を入れボールを自分のものとする。そしてそのままDFを振り切る。ドリブルの1歩目の速さと、体を入れた時のフィジカルの強さが際立った。縦に突破させたら世界でも屈指のアンリ。DFからしたら相当な威圧感だろう。その威圧感に冷静に対処するには、経験と実力が足りないレアルのCB。

その後、アーセナルは一気にラインを下げる。中盤も引き連れて全体的に引いたので中盤にスペースは生まれないものの、レアルの総攻撃を受けることになる。レアルはサイドにボールを散らしひたすらクロスをあげる。
しかし、アーセナルのCBは集中を上げて、クロスの入ってくるゾーンを徹底して固めている。そのため、レアルのクロスはことごとく跳ね返される。
アーセナルは守りを徹底。逃げ切る気だ。サンドバックになる。

相手がサンドバック状態の時の攻撃は難しい。日本人なら知っているはず、アジア予選の辛さを。サンドバックを叩く時に気をつけたいのが、単調な攻撃になること。特に簡単にクロスを上げてばかりいると単調になってくる。PA内にDFを多く配置しているので多様されるクロスボールの対処は難しくない。
案の定、レアルの攻撃は単調になる。中央突破がひとつもない。相手が徹底して固めている中央を強引にこじ開けようしない。相手は中央の門を閉めることで、サイドから攻めさせようとする。点にはならなくても、中央突破を図ることでDFのリズムを狂わせることができるのだが、レアルはアーセナルのDFに誘導されるようにサイドにボールを回している。サイドに渡ったボールは簡単にクロスを上げる。

ラインを固めてあるアーセナルは簡単にクロスを跳ね返す。その跳ね返したボールが前線のアンリに渡りレジェスやリュンベリに渡ることで一発カウンターが入る。サンドバックを叩き続けていたら、突然サンドバックが攻撃してくるのでDFは慌てる。機会は少ないが、決定的なチャンスを2度3度作り出すアーセナル。しかし決められない。(こういうのが後に響いて来ないとよいが・・・)

結局最後まで、サンドバックを叩き続けたレアルはとうとうサンドバックを破ることができずに試合終了。

痛恨。ホームで相手にアウェーゴールを許し敗北。

レアルの敗因は、サンドバックを一方向から叩き続けたこと。もっと中央突破を図るべきだった。それよりも、自分達がラインを引くべきだった。一度ラインを引いて、相手のラインを上げさせれば良かったのだ。そうすることで、アーセナルのラインの裏にスペースを作ることができた。しかしCLの決勝T初戦をホームで向かえ、絶対落としたくない試合で、終始主導権を握っていたい気持ちもわかる。ラインを引くことにはリスクが伴うので難しいのも確か。ただし、今日のアーセナルのDFを見ればそのリスクを背負わない限りゴールするのは難しかったのでないか。
主導権は握り続けたものの、単調になってしまったのが敗因だろう。失点が1点で済んだのはせめてもの救いだ。
交代についても、何故ラウルを使ったのか疑問が残る。ラウルはまだボールが足についていなかった。あんなラウルなら、カッサーノを使うべきだ。カッサーノのいやらしいポジショニングをここで活かさない手はないはずだ。ロペス・カロにとって始めての大舞台、采配に狂いが生じたか?バイチスタ投入も少し遅かったように思える(グラベセンよりロナウドと代えたほうが良かったと思う)。

アーセナルは守備を重視し、カウンターで攻撃するというアウェーのお手本という戦いを徹底した。アンリを1トップとしてリュンベリとレジェスが2シャドーになっている感じだったが、アンリが盛んにクサビに入りボールを受けたことで、リュンベリとレジェスは見事なシャドーになれた。アンリとの息もぴったりで、シャドーとして後ろから飛び出す動き、アンリとクロスする動きなど素晴らしかった。あの3人だけで攻撃が成り立っていた。また、攻撃の3人をセスクとジウベルト・シルバが脇で支えていたのも印象に残った。DFの集中力とセーフティを心がけたプレーは最も評価できる。アーセナルは内容、結果ともに文句なし。

とはいっても、まだ前半が終わったようなもの。まだまだわからない。

ディアゴナーレ

2006-02-20 21:59:02 | Weblog
 3/2 Number
 UEFA CHAMPIONS LEAGUE SURVIVORS

 ファビオ・カペッロ
 「誇り高き指揮官の野望」

 カペッロにインタビュー。その中で出てくる“ディアゴナーレ”という戦術。

 ボールにチェイスする選手を基点にして、対角線上に選手が並ぶ。これではわかりにくいので、わかりやすくすると。(4-4-2前提)相手レフトサイドアタッカーがボールを持っている。そこにライトサイドバックがチェイスする。ライトセンターバックライトサイドバックの背番号が見えるようにポジションを取る。レフトセンターバックはライトセンターバックの背番号が見えるようにポジションする。レフトサイドバックはレフトセンターバックの背番号が見えるようにポジションする。
 基点の選手から一直線に、フィールドに対して斜めにラインを取る。

 カペッロはこの戦術を実戦していて、かなりの精度を選手に要求している。ディアゴナーレを形成するまでのスピードや、ラインの質を細かく要求している。ベンチから指示を送り微調整を行うほど。「わずかな狂いも許されない」と言っている。

 ディアゴナーレは相手に“縦のスペース”を与えることになることが問題とされている。しかしカペッロは、相手に“前線でボールをキープ”されること許している。というよりは、前線でボールキープをさせている。カペッロのサッカーはプレスをかける位置が後方から始まり、“センターラインから敵陣10m”を目安としている。この位置に相手のボールが侵入してきたらプレスが開始される。

 地上波とBSとWOWOWしか見れない僕はユーべのサッカーをほとんど見ることができないので、実際の動きを確認できていないのだが、この記事から想像できることは、コンパクトなサッカーを自陣で展開し、カウンター攻撃を仕掛けるということ。
 プレッシングサッカー全盛の現代において、致命的なことは「間延びする」こと。DFとMF、MFとFWが縦の位置関係において短い距離を保つことが重要。最も前線に位置する選手と最も後方に位置する選手との距離を適度に短くする。10人のフィールドプレーヤーを点とし、その点を結んでできた歪な円の面積を適度に小さくする。それにより密度の高いプレッシングができる。相手選手は狭いスペースでの高度なボールタッチが要求されることになる。

 カペッロの言う“センターラインから敵陣10m”からゴールラインまでは60m。センターバックはゴールラインから10mくらい前に位置しているので、実際の間隔は最大でも50mということ。センターバックとキーパーの間は少ししかないので、このスペースをつくのは難しい。サイドバックの後ろには10mから15mくらいのスペースがあるが、突破してセンタリングをあげても、突破をはかる時点で既にラインが形成されているので点には繋がりにくいだろう。
 「横幅60m縦幅40m」という小さなスペースに相手選手と相手が保持するボールを誘い込み、このゾーンに入ってきたら10人でプレスをかける。
 「バスケットコートより少し広いスペースに敵が10人。7人でボールをキープしなさい。もしくは、このゾーンを突破しなさい。」難しい注文だ。
カペッロはこれだけコンパクトなスペースを狂いなく作り出しプレスを欠けている。その上でのディアゴナーレ。ここにただのディアゴナーレではないということがうかがえる。後方からプレスを開始することで、DFラインを低い位置にとることができる。DFラインを低い位置に保つことができれば、ディアゴナーレの弱点である、「相手の縦のスペース」も短くなるということ。これで、ディアゴナーレの弱点といわれているものは無くなってしまう。

 さらに、センターラインより敵陣10mまでプレスをかけないことで、相手の最終ラインは少しずつ前に上がってくる。ユーべのプレスをかける位置が低いことで、相手のDFラインは高くなる。ユーべが自陣への進入を許しているので、自然に高くなってしまうのである。これによって後方のスペースができてしまい、そこに世界屈指のアタッカー陣が速攻をかけてくる。

 難しいことは全然していない。とてもシンプルなサッカーだ。しかし、カペッロは世界最高の精度を必要とし、忠実に実践することを選手に要求する。かなりの体力も必要だろうが、馴染みやすく大きく崩れることのないシステムである。個の突出した能力よりも監督の指示に忠実である選手を必要とし、指示に従えない者をプレーさせないという徹底も、カペッロの“安定”には欠かせないことだ。ある程度の能力があれば、あとは適性があるかを見ているのだろう。

 チーム戦術の徹底なので個の能力にはさほど左右されずに、チームレベルをキープできる。多くの試合をこなすヨーロッパのトップチームには適した戦術だと思う。
しかし、アタッカーは誰でも良いとは言えない。カウンターチームにおいてアタッカーの質は最重要である。中盤のプレス、ディアゴナーレは組織的に行うので個の能力に左右されにくいが、アタッカーは最高級の速攻ができるスキルが必要。性格なボールタッチとスピード、なによりもゴールへの嗅覚と決定力が必要だろう。特にスピードと決定力だろう。オフォエンス面ではサイドアタッカーとサイドバックの能力もプラスされると力強い。そういった面ではカモラネージとザンブロッタは強烈。とくにザンブロッタ。縦に恐ろしく強く、視野も広い。クロスの精度も高い。何よりもサイドバックから前線に駆け上がり攻撃に参加して、低めのラインに参加する体力が素晴らしい。

 現在の監督でNo.1は、カペッロだと僕は思う。今回のNumberの記事を読んで、さらにそう感じ取ることができた。

 ずーっと前から思っていたが、最もスタジアムで見てみたいサッカー。TVではディアゴナーレ形成の動きなどはほとんど確認できない。世界クラブ選手権に出場してくれたら安くあがるのだが・・・

ミュンヘン

2006-02-11 21:10:28 | Weblog
 映画「ミュンヘン」を見ました。歴史的背景を熟知してない僕には事件を深く理解するのは難しい映画だった。

 でも、とても強く人間の本質に迫るメッセージがあった。

 僕が受け取ったメッセージは「家族への愛」だった。この映画は“報復”というものを否定はしていない。むしろ人間の本能としての復讐心を肯定するかのように映し出している。しかし、国として復讐することについては、家族と天秤にかけて疑問を投げかけているようだった。

 イスラエルの機密情報機関モサドに所属していた主人公アブナーが、イスラエル選手団11人の殺害を企てたパレスチナゲリラ「黒い九月」への報復をすることになる。首謀者全員を殺すことがイスラエルの首相ゴルダ・メイアの決定。上官エフライムの指示に従い報復という任務にあたることになる。しかし、アブナーには妊娠7ヶ月の妻がいる。任務につくことに悩むが、以外にすんなり国に従うことを決断する。
 暗殺を繰り返すことで国への忠誠が強くなり、人を殺すことにも慣れていくアブナー。しかし、暗殺を繰り返す過程で幾度も“家族”を連想させるシーンに出会うことで、自分の行いに迷いが生じることがあった。ターゲットの娘を殺しかけたこと、またその子の父を殺してしまったこと。何よりも、非政府組織の長である“パパ”との出会いが印象的。

 パパはどこの国の政府も信用せず、政府のために力を貸さない。パパは国家への不信の象徴に見えた。しかしパパは強烈な家族の象徴でもあった。パパはアブナーに言う。「家族を養うのは大変なことだ。特にうちは人数が多い。家族を養うために仕事をする君が気に入った。」(引用不正確)と言いアブナーを家族として認めていた。パパの家族には血の繋がりの無い者もいるようだった。垣根の無い家族。陳腐な表現だが、人類みな兄弟と言っているようだった。パパは国を信用せず、家族のために生きている。

 暗殺を繰り返し、人を殺すことに慣れて行くアブナー達が一貫してきたことは、国から指定されているターゲットのみを殺すこと。一切の巻き添えを出さないようにしていた。テレビに仕込んだ起爆装置が作動せず窮地に陥った時にハンス(文書偽造屋)が強硬手段に出る。この時にターゲット以外の人間を殺すことになる。この頃には、メンバーが手段を選ばない殺戮集団になっているように見えた。このままいくと、止まらない殺戮の連鎖が生まれることを連想させた。

 アブナーがバーで独り酒を飲んでいる。誘う美女。この誘いに乗るアブナー。この女性の色仕掛けに引っかかりそうになるアブナー。自暴自棄になり、家族の存在を忘れそうになっているアブナーを印象付ける。ギリギリのところでアブナーは踏みとどまり、この女性の誘いを振り切る。しかし、数時間後に女性と会っていたバーに女性を探しにいく。女性がいないことにちょっとがっかり。部屋に帰ろうとした時、カール(後処理屋)の部屋からこの女性の香水の香りがするのに気がつく。「ずるいぞカール。僕が先だったのに」(引用不正確)とつぶやくアブナー。ほぼ家族を捨ててしまったことを印象付けるシーンだった。しかし、異変に気付く。カールの部屋のドアが開いている。中を見るとカールが殺されている。あの女性の仕業。自分の身の危険と、仲間を殺された怒りを抱くメンバー。この女性の情報をルイに求める。この時はパパも同席しているのが印象的。パパの口から「この情報はタダでやる」と言われる。非政府組織の長であるパパがまるで、“自分の家族が殺されたら復讐したくなる。その気持ちは理解する”とでも言っているようだった。そして、カールを殺したオランダ人女性を殺害する。あれほど、国から指定されたターゲットのみを殺すことをこだわっていたアブナー達が、自分達の意思で、任務には関係しない報復してしまう。この後のシーン。アブナーが3人では食べきれない量の料理をする(この料理がまた家族をイメージさせる)。そしてオランダ人女性殺害時に最も冷酷だったハンスが「あのオランダ人女性の姿が頭から離れない」と言い、食事を口にしない。そして自ら命を絶つ。
 このオランダ人女性によって、家族を忘れかけそうになるアブナーだったが、最終的には自分の行っていることへの不信が深くなった。まるで、まだ1人も殺していなかったころのアブナーに戻ったようだった。

 ミュンヘンテロの首謀者と見られている、サラメという人物を殺害しようと、サラメ達がパーティーしている建物に侵入する。このサラメという人物を殺すことがひとつの大儀だった。しかしこの時、サラメ本人と確認して、スコープでも捕らえたのに、アブナーは引き金を引くことを躊躇する。最初の殺しのときに躊躇したように。そこに偶然少年が通りかかり、アブナー達を発見し声をあげる。騒ぐ少年の頭を反射的に打ち殺してしまうアブナー。逃げるアブナーの表情から、差し迫る危険への恐怖の他に、人を殺すことに対する恐怖、子供を殺したことへの恐怖が見えてくる。これを最後に帰国する。

 帰国したアブナーは英雄。国も最大級の評価をする。しかし、アブナーは自分の行いに疑問を持っている。仲間も失い、自らの意思で報復もした。同時に自分の身の危険を感じていて、自分の命と家族の命を守ろうとする。そして自分を狙うのは誰なのか。自分の国に狙われているのか、他の人間にも情報を売っていたパパから情報を買った者か。帰国して家族と再会したアブナーは、自分の家族を守ることに必死になる。妻と娘に対面し、家族愛が復活する。自分の命を狙うものを探す。パパに電話するアブナー。パパはこう言う「俺を信じるか?アブナー。俺の側から君を危険にさらすことはない」(引用不正確)と告げて電話をきるパパ。この時のパパは、自分の家族を守る。アブナーを家族と認めたパパはアブナーの命は狙わない。家族を守ることに徹するパパは、国と政府を信用しない人間。アブナーは自分の家族を守ることを学び、国へ不信を抱いたように思えた。

 最後のシーン。上官エフライムがアメリカに住んでいるアブナーに「君に危険をさらすことはない。約束するから国へ帰って来い」(引用不正確)と言う。アブナーは「あなたを遠来の大切な客として私の食卓に招待する」(引用不正確)と返答する。アブナーは国へ帰ることを否定し、食卓へ「忠誠心の塊エフライム」を招待することで、エフライムにも国のしている過ちに気付いて欲しいと願っているようだった。そして、イスラエルによる報復が止まることも。エフライムにアブナーの思いは伝わっていたように感じた。心に響いていて、エフライムは食卓に招かれたいと思っていたのではないか。口では断りその場を去る。この時のエフライム役ジェフリー・ラッシュは最高の演技をした。表情と間だけで、「本当は国の過ちに気がついている。それでも私は立場上、断らなければならないのだよ。」と語っているようで、去る時の背中で「アブナーがうらやましいよ」と言っているようだった。僕の主観も強いが。
 アブナーが料理上手という設定も、この時に強いアクセントになっていた。アブナーの食卓は「最高の家族の食卓」というイメージが膨らんだ。作品を通してアブナーの料理には家族の匂いがしていた。

 家族というテーマが作品の至るところにちりばめられている。報復・血・民族・殺人などが常に家族と天秤にかけられているようだった。

 悲惨なテロによって、家族を失う。家族を失ったことにより芽生える復讐心については否定しがたいものがあるが、報復の連鎖は家族を失い続けることになる。血が繋がっている、他民族である、ということは関係なく自分の大切な人を家族と同じに扱うという感情がある限り、家族を失うという悲しみと怒りは消えない。自分の家族を想い、立ち返れたときに、怒りと悲しみを癒すことができるのではないか。家族には、激しい怒り・否定しがたい復讐心・深い悲しみを抱擁する力があるのではないか。
 
 僕はこんなメッセージを感じたのだった。