国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

寝台車を勝手に移動?ありえない話が現実にあった。 2話

2014-07-26 22:54:34 | 国鉄関連_国会審議
昨日の続きになりますが、全体を読んでみますと。
寝台車移動は書類上の手続きに基づき行われていることや、この計画がすでに前年の和歌山の白浜で行われた、全国客貨車協議会の際に話し合いが行われたりとか、静岡鉄道管理局の局報で2等寝台車の回送が検討されるなど面白いといいますか気になる記事が多々あります。
ちょっと長いですがよろしければご覧くださいませ。

○濱野委員 もう一点お伺いしておきたいのでありますが、これは運輸大臣に、一つあなたの考え方を聞いてみたいと思います。副総裁にも、この点は重要でありますから、一つお考えおきを願いたいと思うのでありますが、今回のこの国鉄の財産を不法に利用した、こういうような問題は、私は一、二の労働組合専従員が、宿賃云々、静岡市にホテルがないから云々というような単純なことで行われたのだというように、簡単には考えられない点があろうかと思うのであります。実はそういうふうに考えたいのでありますが、なかなかそうも考えられない点があるようだと思うのであります。実は昨年の十一月中に和歌山県の白浜において、全国客貨車協議会というような会合が開催されたようであります。その会合で何かこの旅客車の利用ということの相談があったのではないか。一説によりますと、この白浜の会合で、静岡に便宜上寝台車を一つ都合しようではないか、そしてその手配は静岡管理局と東京鉄道局の仲間でやることにしようではないか、こういう謀議が実は昨年の十一月、和歌山県の白浜で行われている、こういう話があるわけであります。私はこれは話は話としてこのままにしておきたいのでありますが、今度の御説明を承わりますと、池田辰雄君は少くとも東京の客貨車協議会の副議長である、さらにまた組合の専従員である。これらは私どもの得た情報とどうもまことによく合致しそうな状態にある。しかも静岡方面から配車要請をしておりますこの上野岩男君、さらにまた鈴木貞一君、これは浜松でありましょうが、鈴木君のごときもやはり専従員であると私どもは承わっているわけであります。こういう人々が計画的に、しかもこれは労働組合じゃない、国鉄労組の諮問機関であるといわれておりますから、私はこれ以上は追及いたしませんけれども、この職場を同じうする人々が、今度のこの大会に関連して、東京と静岡の管理局で、二等車を回してもらいたいというような謀議があり、しかも計画的に、書面を見ますと昨年の十二月から執拗に、断わられても断わられても、この二等寝台車を要請して、ついに今年一月の十三日に、やっと非合法的にその車を獲得することができた。これらの経過を見ると、どうもこの点は、まだまだ十分注意しなければならぬような状態ではなかろうか。こういうことが国鉄労組の客貨車全国協議会というようなものの専従員諸君が謀議して、そうして何回も何回も、月にわたって執拗にこの計画をし、実行をし、しかもついに成功してしまった。不法手続をもって、そうして国民の知らぬうちに、また管理者の知らぬうちに、その権限を行使し、不法にこうしたやり方をした。こういうことを見ると、これはずいぶん同情をしている朝日新聞を初めとして読売の方々も、思い切って書かざるを得ない、これは私はそう思うのです。ですから私は言いたくないのでありますが、国鉄の今回の大会等におきましても、不法処分を受けた方々を再び国鉄労組の最高の責任者に選ぼうじゃないかというようなことは、やはり思想的は一連のものがあるのじゃないか。大臣は自分の監督する国鉄などのこうした行き方を見て一体どう考えられるのか。順法闘争もときによってよかろう、しかし自分たちだけは法を守らない、たとえば検札事務でもそうであります。列車の中の国民に対しましては遠慮会釈なく検札をする、そうしてどんどん摘発をして、不正乗客からは運賃を取り上げる、これは私は正しいと思う。いつかどこの党の代議士であったかはわからぬが、特二の乗車券の問題でだいぶ世間を騒がせたことがある。あれは自由党であったかもしれぬし、社会党であったかもしれぬ、私はよくわからぬ。ああいうような問題でさえも世間はうるさくなってくる。しかし私はあのときに摘発した車掌は正しいと思う。これは少くとも勇気のある、しかも正しい車掌であったと思うのです。ですから私は国鉄労組あたりも順法すると言っておるのでありますから、法だけは少くとも守ってもらいたいものだし、かつまた運輸大臣は法を守らせる工夫をしなくてはなるまいと思うのです。この点につきましてはすでに国鉄の副総裁も通達を出したようでありますから、これ以上深くはお尋ねいたしませんが、少くともこうした雰囲気において一体国鉄を運営する最高責任者はどういう考え方を持っているのか、運輸大臣はこうした現実の状態にかんがみて一体どういうお考えを持っているのであるか、この点をお尋ねして私の質問を終りたい、こう思うのであります。

○中村国務大臣 国鉄職員の今回の行為につきましては、国鉄から報告は受けました。これはただいま石井常務理事のお答え申し上げましたごとく、越権行為であります。また国鉄の信託財産を私物視したものと見てもよろしかろうと私は思っております。しからばそれがどういう動機でどうなっておるか、私ども監督の立場として国鉄の管理態勢に欠くるところありと私は判断をいたしておりますから、この国鉄の管理態勢を確立するという見地から、私は今鉄道監督局長にしかるべく措置するように話をいたしております。

○小倉説明員 今回の事件につきましては、私ども責任者といたしましてまことに相済まないと思っております。国鉄は近来いろいろな事件で非常にきびしい御批判を受けておりますので、われわれは始終誠心誠意をもちまして、国鉄の綱紀粛正ということに努力を続けて参ったのでございまするが、今回の事件につきましても、公物を私用に供してはならぬ、あるいは無賃乗車をしてはいかぬということは、規定からも申されますが、規定以上の、全く常識的な判断から見ましても全くなすべからざることでございまして、今後は再びかかることを繰り返さないように、もっともっと職員一般に公物の尊重あるいは公益に対する奉仕の精神ということを涵養して参り、十分反省して粛正の実をあげて参りたい、そう覚悟いたしております。

○赤澤委員長 生田君。

○生田委員 濱野議員から大体のことはお聞きしましたので、私は二、三、小さいことですけれどもお尋ねします。
 それは東京で池田という人から客貨車課の責任者に交渉があって二度断わられておる、今度は静岡の現地の交渉に移しておる、こういうことですが、それについては、静岡の鉄道管理局の運転部客貨車課員の上野岩男という人が、国鉄労組の静岡地方客貨車協議会議長鈴木貞一君から、二等車寝台の使用について静岡の現地で申し出があった、そこで上野君は東京の鉄道管理局の運転部の客貨車課員の福山文三君に電話で問い合わせをした、そこまではわかっておるのですが、それではどんな電話をしたのか、福山君はそれではどうしてこれを貸してやろうという業務命令を書いたのか、その辺の意思の所在といいますか、そういう業務命令を書こうとした動機、そういうことは何ら御説明がないのですが、ここは私たちははなはだ不可解なところです。現に何回にもわたって池田君からの申し出を上司は、浜田君にしてもあるいは蓮見君にしても断わっておるものを、下僚の福山という人が、静岡の現地から交渉があったのを、なぜそれを貸そうという気になったか、おかしいのです。その辺はどういうような事情なのか、聞いてみたいと思います。
 それから静岡へ行って、おそらく二等車二両ですから数十名だろうと思うのですが、傍聴者というのですけれども、それはどういう種類の人が乗ったのか、国道労組の人なのか、あるいはそれ以外の人が乗ったのか、乗ったとなればどういう種類の人が宿泊をしたのか、それはわかっておるはずですから、それをお尋ねします。この二つです。

○石井説明員 静岡の上野君と東京の福山君、この間でどういう取引が行われたかという点につきましては、ただいま両局長をして取調べさしてあるのでありますが、必ずしも両方の言い分が合致しておりませんので、ここで私がこうであると判断してお答え申し上げるわけにいかないのでございます。ただ常識的に考えますならば、やはり宿舎代用に使用するということは両者ともわかっておったことではないかと考えております。
 それからいま一つの宿泊人でございますが、これは客貨車協議会に所属する国鉄労組の組合員が、日によって違いますが、約三十名ないし四十名程度、大会の傍聴に静岡へ行った者が泊っていたというように、調査の結果、ただいまのところではそういうふうに判断いたしております。

○生田委員 意思の点ですが、福山君がなぜこれを貸そうという決意をしたか、どうしてそういう意思をきめたか、その理由が何かあるでしょうから、それをお聞きしたい。

○石井説明員 これは調査の結果の私の推量でございますので、公開の席で断定的なことを申し上げるわけには参りかねるのでございますが、おそらく静岡の方で話がついたから東鉄の方は貸しさえすればいい、手続さえすればいいというふうに即断いたしたのではないかというふうに、現在のところ判断いたしております。

○生田委員 あなたはそう判断したのでこれは不確かな推量ですから、それではということでは私は進めませんけれども、上司が二度も断わったものを、下僚がなぜそれを貸すまでになったのか、おかしい。上の方の相談は東京で二度もやったのですが、下の方へ移してこっそりと静岡と東京の間でやみ取引をしたような格好で、そうして貸しておるというところに、私は不可解なところがある。それから業務命令を出して、出しっぱなしなんですか。あるいはこれをきめたときにはいつきめたのですか。そのときには上司がいなかったのですか、どうなんですか。

○石井説明員 きめたのは、先ほど申し上げたように一月十三日……。

○生田委員 何時ごろ……。

○石井説明員 時間ははっきりわかりません。十三日でございますが、これはそのときはもちろん上司はおったと思います。それからさらに実施に移すまでには約十日ばかりあるわけです。この間輸送手配書というものはすでに決裁が終って、二十五日になって手配をしなければならないつづりにとじ込んでおいたのでございます。ございますので、その間何人もその点についてはチェックするという機会がなかったのです。これは輸送手配書は毎日二十件とか三十件とか、たくさんたまりますので、その種別に従ってつづりを作って保存しておくわけであります。

○生田委員 驚きましたね。これ以上申し上げませんが、たった一言副総裁にお聞きしておきますことは、これは処罰するのは厳重にお罰しになりますか。

○小倉説明員 ただいま捜査中でございますが、よく事情を取り調べまして、その責任を究明するつもりでおります。

○生田委員 処罰ですが、これは三十一条の「この法律又は日本国有鉄道の定める業務上の規程に違反した場合」ということになりますと、非常に重い処罰になると思いますが、それが適用されるようなものだと私は思うのですが、いかがですか。

○小倉説明員 私どもの内部機関といたしまして、処罰という場合には、公正妥当を期するために懲戒委員会というものを新たに設けまして、そこで実情あるいは行状その他、先例等を比較いたしまして決定するのでございまして、それまでは私としていかなる処理に該当するかということは申し上げられません。

○生田委員 一言、言うておきますが、これは命令を発した方の東京で発覚せずに、命令を受けた方の静岡で発覚したというところに、僕はあなた方の業務上の監督の不行き届きがあると思うのです。不正な命令を出した者を上司がそれを見ていれば、翌日にもそれを見ればすぐわかることなんですが、それを静岡の方の命令を受けた方からあなたの方に言ってきて初めてわかったという、これはほんとうに綱紀が弛緩していると思うのです。その点を特にいかぬと思いますので、厳重な処罰をしてもらいたい。

○小倉説明員 先ほど濱野先生からも御指摘があり、今生田先生からも御指摘がございましたが、とにかく車両という重要な公物の回送その他につきまして、いささか今まで事務上あるいは規定上欠くるところがございまして、こういう点につきましては十分自粛自戒しまして、手続、規定が不完全なところはこれを修正もいたしますし、また実際の事務上の取扱いにつきましても、厳重に改善を加えるつもりでおります。

○田中(織)委員 議事進行。これから委員長の方では、先般の南海丸の遭難事故の問題についての委員会の審議に入る予定だと承わるのでありますが、今朝からの委員会の運営につきましても、実はこの南海丸の事故の問題は近来にない多数の、また一名も生存者がいないという大きな海難なんであります。そのことに対して、実は政府当局からこれの救難その他についての報告が、いまだ国会に対しては正式にないわけなんであります。これは民間会社の船でありますから、洞爺丸だとか紫雲丸というような、国鉄その他が経営しておる公共船舶の事故ではないことはもちろんでありますけれども、いろいろこの事故の原因等を究明して参りまするならば、私はやはり運輸行政の立場からも考えなければならぬ重大な責任問題も発生するのではないかと実は考えるのであります。そういう意味において本来なら、こういう委員会が開かれた機会には、政府側からもまず本件についてのその後の救援作業等についての状況報告を求めて、これについての国会側の意向を明らかにするというような進め方を、私はやはりしなければならぬと思うのです。その点についてわれわれの方では、明日開かれる本会議において、そのことについての正式要求をいたしまして、それに関連して、本会議における質疑もやらなければならぬとは考えておるのでありますけれども、私は当委員会としてのことについて、一言議事進行上提案したいと思うのでありますが、実は先般運輸委員会が、一番先にこの事故の問題を取り上げたことは事実でございます。委員会から実は速刻委員を派遣いたしまして、事故原因等の事情についても調査するということが、各委員の方々から取り上げられたようでありますけれども、しかし事故の原因その他については海難審判も始まることではあるし、もっと資料を整備してからというような御意向もありまして、とりあえず自民党と社会党がそれぞれ党の立場で現地に見舞団を派遣するということで、私も党から派遣されまして、生田委員等自民党から派遣された諸君とともに現場へも参ったものでございまするが、そのときに遺族代表等からの要請は、国会の委員会として正式にやはり調査団を派遣いたしまして、この事故の原因を調査するとともに、遺族の立場から考えれば、事故の発生したことはいたし方ないといたしましても、この種の海難事故の起ることを絶滅を期するという観点から、国会の当委員会における権威ある調査団の派遣を要請する声が非常に強いのであります。さらに参議院の方では、委員長以下すでに現地にも参りまして、一応現地調査を行われたようでございます。私一番最初に取り上げたときからの懸案でもございますので、特に委員長におかれましては、理事会等におきまして、この調査団の派遣の問題について早急に具体案を立て、また実施に移すように特別な取り計らいをしていただきたいということを、この際議事進行としてお願いしておきます。

○赤澤委員長 よくわかりました。あとで理事諸君とはかりまして善処いたしたいと思います。

○中居委員 関連して。私は簡単に質問申し上げたいと思います。大体二等寝台車の問題について、私どもは実は質問等はすまい、こういう考えを持っておったのであります。ところが先ほど来の濱野、生田両委員の質問と、これに対する当局側の答弁を聞いておりますと、あたかも今回の二等寝台車の使用が、労働組合側の一方的な不正行為であるというような印象を与えまして、しかも最後には懲罰などという問題にまで発展しておるわけでありまして、事態がこうなりますと、私ども静観していようと思いましても静観しておるわけに参らないわけでありまして、私どもの知っておる経過を申し上げ、かつまた当局に対しても、私どもの要望というものも申し上げておきたい、こう思いまして質問申し上げるわけであります。
 両委員の質問に対しまして石井さんは先ほど来答弁いたしましたが、その話を聞いておりますと、あたかも静岡鉄道局の上野君が無断で東鉄の福山君に回送の要請書を出して、福山君がこれまた独断で指令を出して、二等寝台車を二両静岡の構内に回送した。そうしてこれを労働組合側が四日間ですか五日間かにわたって使用した、こういうような答弁をなさっておるようであります。しかし私どもの調査した経過によりますと、決してそのような単純なものではない。これは石井さんも前段お話しになっておりまするように、当初東京に滞在しておる客貨車協議会の池田副議長から東鉄の客貨車課長に、五度にわたって申し入れをやっておる。ところがいかにもこの客貨車課長はこれを拒否しております。労働組合からの申し入れによって二等寝台を貸与するわけにいかない、こういうふうに拒否しております。それは事実であります。ところがたまたま同席しております係長が、私は名前を申し上げませんが、係長がある示唆を与えております。それは正式に静岡鉄道局から貸してほしい、転送してほしい、こういう正式の申し入れがあれば、東鉄としては貸すであろう、こういう示唆を与えております。そこでこの池田君はその旨を静岡鉄道局の鈴木支部議長に対して電話で連絡をしております。そこで静岡の鈴太議長は、静岡鉄道局の運転部長並びに客貨車課区長と数度会いまして、了承を得ておる。そうして正式に静岡鉄道局の名によって、東京鉄道局に対して寝台車二両貸してもらいたい、こういう要請書を出しておるわけであります。そうしてその要請書に基いて東鉄局では二両の寝台車を静岡に転送しておる。これが事実であります。内面的な事実であります。ところが今日になって静岡鉄道局の運転部長あるいは客貨車課長という者が言を左右にいたしまして、そういうことがあったとかないというような態度を表明しておるのが、この問題を紛糾さしておる一番大きい原因ではないか、私はこう思っておるわけであります。いずれにいたしましても、上野君というような、ただ一介の職員が、自分だけの独断の意思で東京鉄道局に対して二両の寝台車を要請するというようなことは今日の職制上できるものではないのであります。はっきりと局の部長なり課長なりという者が暗黙の了承を与えておる。そしてその上で東鉄は転送しておる、こういうのが事実でありまして、決して労働組合側が指令書を偽造したとか、あるいは不正な書類の作成によってそういう行為を行なった、こういう事実は私はないと思っております。この点について、私が今申し上げました経過について、石井さんはどのような御調査をなさっておりますか、重ねてお伺いいたしたいと思っております。

○石井説明員 静岡鉄道管理局の取扱いにつきましては、目下調査しております。今中居先生がお話しになるような情報も私どもも一部聞知しておりますので、厳重に調査をいたしております。ただ私が越権行為と申しましたのは、これは寝台車の回送というのは旅客課の所管事項であります。それが客貨車課の係員だけによって行われたということが越権行為だというふうに判じておるのであります。

○中居委員 それからもう一つ、これは決して労働組合側だけの独断による不正行為でない。こういうことの証左には、二十六日に静岡の駅で出しておる駅報にちゃんとこれが出ております。これを組合側が独断でやったとすれば、当局側の駅報にこれが掲載されるはずはない。明らかにこれは当局側の意思によってなされたものであるということが、このことによっても証明されると私は考えておるわけであります。しかもこの問題が世間に、新聞記事等に掲載せられる以前に、すでに客貨車協議会では所定の料金を払うという申し入れをしておるのです。所定の料金を払う、一両について十方円の所定の料金を支払うということを局に申し入れておる。ところが問題がたまたま営業と客貨の二つの意見の相違によりまして、明るみに出て、しかもこの問題をとらまえて、組合を弾圧するような方向に利用しようとする動きが活発になってきておる今日において、労働組合でも、それならば売られたけんかでわれわれもやろうではないか、こういうように態度が硬化しておることも事実であります。しかし当初から無断で使用しよう、無料で使用しようというような考えのなかったことは、私どもの調査ではっきり明らかにせられておるのであります。そこで私はこの問題の一つをつかまえまして、この行為がよかったとか悪かったとか、あるいは命令系統がどうとかこうとかいうことも確かに一つの論議の対象にはなろうと思いますが、しかしこういう行為というものはただ単に今回起った問題だけでは私はないと思っております。これはたまたまこの問題が新聞記者にかぎつけられて、そうして新聞の紙上をにぎわした。そうして国会にまでこの問題が論争せられておるということだけでありまして、こういうことは国鉄部内においては日常茶飯事で行われておる。労働組合だけではない。むしろこれは当局者が大いにこういう慣例というものを作っておる。そういうところに私は問題があるのじゃないかと思う。この問題を論議するならば、そういう慣例が国鉄部内において今日まで日常茶飯事のように行われておる、そういうことを論議して、そういうことがいいか悪いか、こういうことを検討してみるのが一番重要なことではないか、こう私は思っておるわけであります。私は国鉄の当局者が寝台車をあるいは特別二等車を無料で外郭団体あるいはいろいろな団体に貸与しておる、こういう事実を具体的に知っております、こういうことについて一体小倉副総裁はどういうお考えを持っておるか、この問題をただ単にいいとか悪いとか、責任者を処罰するとかしないとか、こういうことでこの問題を処理しようとしておるのか。あるいはこれを契機にして、根本的に今日までの国鉄のそういった慣例に対する検討を加える意思があるかないか、こういうことがむしろ重要ではないかと思うのでありまして、その点をむしろ剛総裁から伺っておくことが重要なことではないかと思うわけであります。

○小倉説明員 この問題につきましては、非常に関係者の多いことでございますし、場所も東京と静岡にまたがっておりますので、先ほど申しましたように、慎重に慎重を重ねて調査をいたしております。それで全く白紙の気持で、実際どうしてこういうふうなことが起ったかということを、公平に色めがねなしにはっきり事実をつかんでいきたい、こういうことでございまして、もうしばらく調査に時日をかしていただきたいと存じます。それから先ほど私申し上げましたように、国鉄への近来のいろいろな手きびしい世評に対しまして、われわれ一生懸命に誠心誠意各方面につきまして努力を重ねております。それは単に事業の仲張ばかりでなく、綱紀粛正といったような点につきまして、日夜心を砕いておる次第でございまして、まことに力足らず、常に全く――しかしできるだけの努力を尽して将来自粛自戒をしていきたい、こう存じております。そういう見地からも、今回のことは一つの機縁になりまして、先ほど申しましたように公物を尊重して、いやしくも損壊あるいは私用に供すべからずということが規定にもはっきりうたってありますが、これは規定の問題だけでなく、精神の問題でありますから、そういう点で多少とも今までゆるんでいたところがございましたら、こういうことを機会に全く管理者といわず、職員といわず、全般について改善、自粛して参りたい、こういう考えでおります。

○中居委員 最後に要望しておきますが、この問題を労働組合の弾圧とかそういうことには使わないでもらいたい。これだけは厳重に副総裁に要望しておきます。そういう性質のものじゃないです。以上です。
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