国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

第5代国鉄総裁 石田礼助とは 第6話

2021-05-30 07:53:40 | 国鉄総裁

石田総裁はジェントルマン

前回、志免の所長を異動させて抜擢したことは書きましたが、誰を抜擢したのか正直私は調べ切れていないのですが、城山三郎氏の記述では、仙台鉄道管理局長へ栄転させて、その後東京鉄道管理局長へ、さらには常務理事へと登用したとあるのですが、残念ながら現時点ではこれ以上はわかりませんでした。

他にも、石田礼助総裁は外国生活が長かったこともあり、紳士としての振る舞いは一流であったようです。
当時は、女性を下に見る傾向が強い男尊女卑の時代ですが、石田総裁はそうではなかったようで、レディファストが板に付いていたと言われています。

例えば、エレベータへの乗降など常にレディファーストで、女性秘書や掃除のおばさんも女性を先に乗せたと言ったことが、「粗にして野だが卑ではない」に描かれています。

新総裁は総裁室付けの秘書にはどううつったか、佐々木和子は言う。

「こわいようでいて、気さくでやさしい方でした。呼鈴でいくと、それまでは決まって男の秘書を呼べと言われたものでしたが、石田さんは全て直接に指図されました。」

エレベータへの乗降はあくまでレディ・ファースト。女性秘書や掃除のおばさんを先にした。

「どうぞ、と言って、それがとても身についていました。」

このように、常に正直に生きる権力を笠に着ないという生き方をした方だと言えそうです。
さらに、石田は7月に磯崎副総裁からの提案で、朝の通勤ラッシュの様子を実際にその目で見ることになりました。

ラッシュ時の様子を見て国鉄の責任を痛感

最初の訪問は、7月2日 新宿駅であったようです。
以下は、弊ブログ、国鉄があった時代から抜粋したものです。

石田総裁炎暑下を初の現場視察 7/2

7時50分から8時25分まで、新宿駅で山手、中央線など各線と駅の混雑状況を視察

石田国鉄総裁、ラッシュ時の上野駅を視察 7/16

7:20から赤羽駅を、8:25から8時45分まで上野駅を視察、石田総裁は、かねてからの関心事ともあって混雑緩和の早期対策の責任を痛感され、“事故だけは絶対に起こしたくない.このためには国鉄はいまま.でのように目先にとらわれず.三段がまえくらいで、根本的な対策に前進しなければならない”と決心を語った

石田総裁就任初の西下 7/29

    7月29日から8月2日までの予定で、大阪地区の通勤輸送状況、新幹線建設工事の進捗状況視察と大阪府、市およぴ財界へのあいさつのため、特急第一富士号で西下

と有りますように、7月中に新宿・上野・大阪などでラッシュ時の状況を視察していくのでした。

そして得た結論は、輸送力の増強と安全対策で有るといことでした。

実際、視察を終えて記者たちには、三河島事故のような大事故後起こる危険性がないとは言えない、当面の打開策を考えないと・・・という発言をしています。

改めて石田は総裁としての国鉄の責任というものを感じたようであったと言われています。

実際、石田は監査委員長時代からの持論として、国鉄は全国ネットワークであり、地域と地域を結ぶなど国土の均衡開発の手伝いをするものであり。首都圏などで郊外に住宅地が広がるのは政府や地方自治体が考えるべき問題であると考えていたのですが、実際問題として、当時のラッシュは現在とは比べものにならないほど過激なもので、「押し屋」と言われる人が電車に通勤客を押し込むそれが日常であり、時に靴が片方だけ残ったとか・・・笑えない事情は多々ありました。
特に中央線などは、戦後東京23区内から転出した多くの人が八王子市などに居を構えたことから中央線の混雑が激化、101系電車が最初に中央線に投入されたことは皆さんもよくご存じのことかと思います。

再び、「粗にして野だが卑ではない」から引用してみたいと思います。

通勤対策について、これまで石田には石田なりの意見があった。

首都圏などでは住宅地が郊外へと広がり、通勤距離はのび。通勤人口はふえる一方である。これはそれら地域の問題であり。政府や地方自治体が対策を考えるべきである。
  国鉄はもともと全国を対象とし、地域と地域を結ぶとう国土の平均的開発に役立つのが使命である・・・と。
石田は、これまでのそうした考え方を「悔い改めた」とも言った。

そして、こうした国鉄の実情を見てから、できる限りの安全対策と輸送力増強に力を注ごうとしたのですが。その矢先に、過密ダイヤが原因となる大事故が起こってしまいます。

11月9日に発生した、鶴見事故でした。
鶴見事故に関するお話以降は、次回お話をさせていただこうと思います。

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