国鉄があった時代blog版 鉄道ジャーナリスト加藤好啓

 国鉄当時を知る方に是非思い出話など教えていただければと思っています。
 国会審議議事録を掲載中です。

カートレインのお話 (国鉄時代末期のお話を中心に)

2016-03-15 23:24:55 | 国鉄思いで夜話
今回は、カートレインのお話をさせていただこうと思います。
カートレイン自体はJR化後もしばらくは運転されていましたが、今回は国鉄時代に限ってのお話とさせていただきます。

記憶の糸を手繰りながら。ごそごそと書いてみますので記憶違い等ございましたらご指摘をお願いいたします。

カートレインというのはどんなものだったか。簡単に言えばフェリーの代わりに鉄道で車を運びましょうと言うもので、昭和42年頃には自動車だけを別途輸送するオートエクスプレス(前述)のサービスが行われていましたが、オートエクスプレスでは自動車と運転手は同時に運ばれるわけではないので目的地に着いてすぐに利用出来るわけではありませんでした。

カートレインの場合はフェリーと考え方は基本同じですから、目的地に到着すればそのまま車に乗って目的地に移動できるメリットがありました。
フェリーよりも運賃は高めでしたがフェリーよりも速いことや、余剰のA寝台を充てたためベッドは広くて快適ということでかなり人気は高かったと言われています。

また、自家用車のほうは100km/h対応のこれまた余剰のワキ10000を使ったもので、オートエクスプレスのように車運車ではないので、輸送中の擦り傷等のリスクは最小限に抑えることができました。

しかし、ここで問題がありました。
貨車に積み込める車が制限されるという問題でした。
自動車は全長4,670 mm、車幅1,700 mm、車高1,985 mmまでという制約があり、一般的な小型自動車5ナンバー車の要件、長さ4,700mm以下、幅1,700mm以下、高さ2,000mm以下という条件でも載せられない車もあったようで、実際1両のワキに3両を乗せるのですが、その隙間は数センチしかなかったとも言われています。


車はパレットに搭載したうえで固定、それをフォークリフトで運び入れるわけで、私自身は利用したことがないので何とも言えませんが見る限りではかなり積み下ろしには熟練の技が必要だったのではないかと思わせます。


昭和60年11月号の鉄道ピクトリアルにカートレインの運転についてと言う記事がありますのでこちらを引用しますと当時の編成は下記の通り
カヤ(電源車)+A寝台車2両+貨車4両の7両編成でその後利用増で客車並びに貨車が増えて広島回転もできた)と記憶しています。


出発も東京駅ではなく汐留駅というのもこの列車の特殊性を語っていたと言えましょう。
東京を18:25に出発して翌日の9:58には東小倉に到着するわけで、長距離運転を避けられるメリットがありました。

特に夜行列車の新しいニーズを開拓するという点では非常に画期的なものであり、国鉄末期だからこそできた施策とも言えました。

しかし、こうした新しい発想の夜行列車でしたが、国鉄を分割したことのデメリットがもろに出てしまうこととなりました。
といういますのも、九州での運転区間が東小倉までであり、門司から東小倉までの運賃収入しか入らないことから、JR九州が消極的だったことは誤算だったと言えましょう。

国鉄末期には九州ブルトレの食堂車をリニューアルするなど、国鉄では引き続き九州ブルトレは発展する余地があると読んでいたようですが、運賃収入の配分方法が距離に応じて分配されるため、九州にしてみれば費用をかけて改造しても受け取れる運賃収入が西日本や東海と比べて圧倒的に少ないとなれば積極的に働くことはしないでしょう。
もちろん、九州ブルトレが衰退していった原因はそれ以外にも電車特急などと比べて遅い加減速なども問題であったと思います。
そのようは複数の要素が絡み合って、九州ブルトレは積極的なてこ入れが行われず衰退していったと言えます。

話が、国鉄時代のカートレインから外れてしまいました。
歴史にIFはありませんが、カートレインの運賃種々の方法がもう少し考慮されてJR九州にメリットがある運賃配分であったならばもしかしたら東海道区間を中心にこうした夜行寝台列車が発展していたかもしれませんし。
仮に、分割されないまま全国一社体制、もしくはNTTのように東西で分割されていたならば現在の夜行地図も変わっていたかもしれませんね。

図は、鉄道ピクトリアル昭和60年11月号から引用させていただきました。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
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2 コメント

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Unknown (小島優作)
2019-08-11 13:04:03
最後が昭和660年になってましたよ!
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Unknown (加藤好啓)
2019-08-11 19:58:17
失礼いたしました。
訂正させていただきました。m(_ _)m
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