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街場のメディア論

2022-03-18 23:00:00 | 読書
「街場のメディア論」
内田樹著、光文社新書、2010年8月





新聞、テレビ、出版など既成のメディアの危機の原因を探った本。

2007年神戸女学院大学二年生を対象とした講義を2010年書籍化したそうです。

本書で述べられている、既成メディアの性質及び危機の原因
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第二講 マスメディアの嘘と演技
・テレビはステイクホルダーが多い
・自分たちの情報発信がいったい「なんのためのものなのか」という根本のところについて考えるのを怠った

第三講 メディアと「クレイマー」
・知ってるくせに知らないふりをして、「被害者」の立場から、出来事について勝手なコメントをする

第四講 「正義」の暴走
・メディアが「どうしても言いたいこと」ではなく、「誰でも言いそうなこと」だけを選択的に語っているうちに、
 そのようなものなら存在しなくても誰も困らないという平明な事実に人々が気づいてしまった

第五講 メディアと「変えない方がよいもの」
・語法の定型性がメディアの急速な凋落を招いている
・世論とビジネスがメディアを滅ぼした
・劇的変化が、政治でも経済でも文化でも、どんな領域でもいいから、起こり続けること、メディアはそれを切望します
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自分も著書の見解に概ね同意で、
現在も本書で述べられている危機の原因はそのままに、
既成メディアの衰退が一段と進んでいる印象です。

信頼性は日に日に落ちているものの、
総合的な客観性・信頼性や編集・撮影技術に関しては、
新興メディアよりは既成メディアにまだ一日の長があると思います。

ただ、既成メディアがSNS・動画サイトにすり寄ったり、
既成メディアからSNS・動画サイトに人材が流出している現状を見ると、
その差はますます縮まっていくんだろうなと感じています。

本書では他に、
「キャリア」「日本人の知性の劣化」「読書」
などのテーマもあり、それぞれ興味深かったです。


コメント (5)
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