「ベンチャーわれ倒産す」
板倉雄一郎著、小学館文庫、1999年12月
1990年代、ITベンチャー企業・ハイパーネットの起業から倒産までを、社長自らが振り返った書籍。
出版当時に購読しましたが、先日ブログに書いた南場智子著「不格好経営」中で、
板倉雄一郎著「社長失格」の話が出てきたので、「社長失格」の後に出版された本書を再読しました。
会社は1997年末倒産、それから2年も経たない1999年10月に本書が出版していることもあり、記述が生々しいです。
サービス提供にまつわる取引先とのやり取りも興味深いですが、
金融機関が一斉に資金を貸し付け、一斉に引き上げる流れがさらに興味深いです。
ベンチャー経営者らしく?、調子のいいときは天狗になって、
タワマンに住み、高級車に乗り、夜のお店で散財し、女性にマウントを取ります。
理由は「後進に夢を与えるため」。ありがちです。
事業に失敗し、金も物も人も失って、過去の振る舞いを後悔しつつ、プライドや他者への不満ものぞかせます。
人の心の醜い部分も含めてはっきり書いてくれているので勉強になります。
住友銀行、タンデム、日本リース、アスキーなど、いまは社名や実態がなくなってしまった会社も登場。
マイクロソフトのビル・ゲイツに出し抜かれた話は当時他でも耳にしましたし、懐かしさも感じます。
ドコモのiモード立ち上げメンバーの一人で、いまもメディア・エンタメ業界で活躍されている夏野剛氏も出発点はここなんですね。
帯の「動物占い」にも時代を感じます。
不格好経営