ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Lady Antebellum レディ・アンテベラム - Own The Night World Tour ライブDVD/BD

2013-07-06 | Lady A レディA(アンテベラム) レビューまとめ
 既に2013年の新作「Golden」がリリースされているレディ・アンテベラムですが、まずは、今年先にリリースされたライブDVDを取り上げます。グラミー賞をマルチで受賞し、クロスオーバーで成功している彼らですから当然かもしれませんが、本作は嬉しいことに日本盤もリリース(高いですが)されていますね。それも、DVDとブルー・レイの両方という念の入れよう。我が国でも一定のファンが定着し、セールスが見込まれる存在になっている事を感じます。昨年2012年に、アメリカ、カナダ、ヨーロッパやオーストラリアなど11カ国を廻り、計100万人以上の聴衆によって迎えられたワールド・ツアーより、6月のアーカンソー州リトル・ロックでの演奏が収録されていて、そこにカントリーDVDでは御馴染みのツアー・ドキュメンタリーや本人達のコメントを曲間に挿入した内容になっています。


 サポートミュージシャン(ドラマーChriavTyrrelはヒラリー・スコットの旦那)による、派手さはないものの手堅い演奏は、基本的にスタジオ・バージョンを忠実に再現していますが、要所にライブならではのアレンジも施されて会場を盛り上げます。しかしやはり主役は、男気のあるチャールズ・ケリーと、やわらかく洗練されたヒラリー・スコットの2トップによるボーカル。特にチャールズのしなやかな動きと、聴衆をグイグイ引っぱっていく力強い声の存在感がなにより見もの、聴きものです。素晴らしいエンターテイナー振りです。ヒラリー・スコットは、ややもすると塩っ辛くなりすぎるチャールズの声を穏やかに包み込み、グループの音楽に適度なポップ味を与えていることが、このライブ・パフォーマンスで改めて感じ取れます。2人の声の”絡み”は、ロマンチックな"Just A Kiss"あたりが聴きものかな。カントリー・ロック~アメリカン・ロックと、ソフィスティケイトされたスローナンバーが、この2人の個性によって自然に融合しているのです。

 ヒラリーのソフトな歌声がフィーチャーされる、アコースティックにアレンジされた"American Honey"では、地元の可憐な少女がステージに上がり、ヒラリーと曲を紹介するという演出が見られ(カントリーでは定番かな。キース・アーバンもやってた)、会場はすっかり温かい雰囲気に包まれます。そして!忘れてはいけないもう一人のメンバー、デイブ・ヘイウッドが演奏面で重要な存在である事が確認できるのも、このライブ映像の見所。ピアノ(色を決めるのに、優柔不断な彼はとても苦労したそう)を始めとした彼の手にする様々な楽器のプレイが、曲にフィットした”色”を添えているのがよく分かるのです。"Love Don't Live Here"では彼によるギター・ソロもフィーチャーされてますしね。


 殆どの曲間で、ドキュメンタリーが挿入されていて、ファンとの交流会、竜巻被害地への慰問の様子、ツアー中の息抜き方法(卓球にぞっこんのよう)、ワン・リパブリックのライアン・テダーとの共演、初めてのヨーロッパ・ツアーでの感動、ソングライティングの考え方などなど、楽しいく興味深いエピソードが綴られています。ここらで聞かれる3人の発言は、ポジティブで誠実、そして謙虚な姿勢で貫かれていて、さすがカントリー・スターらしさを感じ心打たれます。特に目を引いたのが、デビュー曲"Love Don't Live Here"の前、デビュー当時の苦労話を当時のホームビデオ映像をバックに語る部分。メンバー3人だけでワゴンに乗り、チャールズが運転して各地のカフェやバーを転々とした頃の様子が紹介されます。映像には、車の中で3人でウォーミングアップしたり、訪問後にそのラジオ局に”クリスマス・プレゼント”として"Love Don't Live Here"をかけてもらい車中で歓喜する姿など見られ、典型的な駆け出しのカントリー・ライフがリアルに感じ取れるのです。特に、90年代のカントリー・スター、リンダ・デイビスを母に持つヒラリーが、覚悟を決めてこのような地道な活動をしていた事に、カントリー・フィールドの持つ厳しさが現れていると思います。


 ボーナス映像には、本編でもチラリと入っていた、ワン・リパブリックの"Good Life"の舞台裏セッションのフル・コーラス版、本編に漏れた"Love's Lookin' Good on You""Love This Pain"、エアロスミスのカバー"Sweet Emotion"、そしてダリアス・ラッカーやトンプソン・スクエアと共演した"Let Her Cry"(フーティ&ザ・ブロウフィッシュ)、"Midnight Rider"(オールマン・ブラザズ・バンド)、"Black Water"(ドゥービー・ブラザーズ)が収録されています。特筆すべきは、チャールズが15才の頃にフーティズのナンバーを歌っている貴重なホームビデオ映像。この映像をダリアスに送ったことがキッカケで、2人の交流が始まったのだそう。レディAのルーツや音楽的影響を垣間見させてくれる、興味深いボーナス・コンテンツになっています。

 最近レディAは、ヒラリーの出産の為、ライブ活動は停止しています。いよいよ、今月7月に女の子を授かる予定のよう。もうすぐですね。





 アメリカ本国の7/22付け発表で、ヒラリーが無事、女の子Eiseleを出産した事が発表されました。おめでとうございます!

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