ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Maddie & Tae マディ & タエ - Start Here

2016-03-31 | カントリー(女性)

●2020年「The Way It Feels 」のレビューはコチラ

我が国の公のネットメディアでも結構取り上げられていて、テイラー・スウィフトに続く女性アーティストとして上々の評価を得ているマディ & タエの、2015年デビュー作。ジャケで言うと、左がメイン・ボーカルのマディー Maddie Marlow、右がサウスポーのタエ Taylor Dyeです。10代の頃に同じボーカルの先生に付いてた友達とのことですが、ビデオを見ててもなかなか魅力的なマッチングの2人で、健全なセクシーさを持ち合わせているのがカントリー・アーティストらしいところ。

サウンドは、これぞ典型的な現代ナッシュビルの音。艶やかなギターサウンドを中心とした、剛軟織り交ぜた職人技のようなポップ・サウンドです。ソレも当然、プロデュースが、長年ヒット・カントリー界を牽引してきたダン・ハフDunn Huffですから。私、この人、あんまり良い印象ないのですが、しかしここでは不思議と新鮮で、気持ちよく聴き続けられる、ナイスな音世界を展開してくれてます。近年のカントリーに有りがちな、これ見よがしなパワー・サウンドは控えめで、爽やかな疾走感を持つポジティブなアップテンポと、スロー曲の純粋な響きが良いのです。ここらは、全曲でソングライティングにクレジットされている2人の資質により引き出されたものなのでしょう。



メインボーカルのマディの歌声は、少し粘りを持つ伸びと力の有る声。ライブでも意気が良く実力派のようですが、特にスロー曲でのタエとのハーモニーは、純粋無垢の極み。それが引き立つのが、デラックス・エディションにボーナスとして付けられた"After the Storm Blows Through"のアコースティック・バージョン。アンティークな響きのアコギとフィドルそれぞれ1本だけをバックにしてのハーモニーは至高の心地よさです。

冒頭、テイラー・スウィフトの後継としての期待に触れましたが、実はそれもそのはず、マディー & タエを見出したのは、テイラーを見出したスコット・ボルチェッタなのです。メジャー契約前にリリースした、ファンクな"Girl In A Country Song"をラジオで聴き、即座に自身のDot Recordsと契約させ、"Girl In A Country Song"をデビューシングルとして再リリースしたのでした。テイラーは究めてパーソナルな詩世界と、強力な自立心と才能で頂点を極めていきましたが、ここでのマディー&タエの仕事は、標準的なナッシュビルの”工程”に乗った極上の成果物といった感じがします。職人達のシステムから生まれたもの。今後このコンビがどう変化していくか、興味深いです。


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