2010年代のメインストリーム・カントリーを代表するデュオ、フ
ロリダ・ジョージア・ラインが、前作「Can't Say I Ain't Country」
から約1年で、新曲を文字通り6曲パックしたEPをリリースしま
した。ビール缶が6缶ジャケットにならんで「6-Pack」とは、実
にカントリーらしくストレートですが、よく見るとそれぞれの
ラベルに"Stout"とか"Pale Ale"などのビールのタイプが書かれて
います。
つまり、Bud Lightのようなメジャー銘柄 ~これまでのカントリー
定番のDomestic Ice Cold Beer~でなく、今アメリカでも流行りの
クラフト・ビールだと言いたいみたい。さすが、ファン層の中心
と思われるミレニアル世代(80年代から00年代初頭に生まれた世
代)の好みをきっちり見据えていますね。カントリーで、上面発
酵のビールが取り上げられるとは、なかなかの事件、時代の変化
を感じます(Budとか従来から馴染みのビールは下面発酵のピル
スナーです・・・)。
このEPの注目の一つは、3曲目の"Second Guessing"でしょう。こ
の曲、丁度この6月にWOWOWプレミアムで放送が始まった、ア
メリカNBCネットワークの番組゛SONGLAND゛で生まれたナンバ
ーなのです。毎回4人の無名のソングライターが、その回の有名
ゲスト・アーティストの新曲にする為に作品を競うという番組。
WOWOWは昨年のシーズン1の最初から放送するようで、カント
リー界からはケルシー・バレリーニ(6/14朝!)やオールド・ドミニ
オン(6/28)が出演予定になってます。オールド・ドミニオンも放送
してくれる事がうれしいです。
フロリダ・ジョージア・ライン(以下、FGL)が出演したのは、今年
5月18日のシーズン2エピソード6。EPがリリースされたのが
5月22日だから、さすが計画的で迅速。曲はFGLらしい、三連の
R&B風バラードです。同番組には、触れた以外にはレディ・アンテ
ベラムとマルティナ・マクブライドも出演しています。面白そうで
すが、残念ながらWOWOWは契約しておりません・・・
もう一つの注目は、やはり冒頭の2曲、"Beer :30"と"Ain't Worried
About It"での、彼ら本来のヒップ・ホップ・サウンドへの回帰で
すね。前作「Can't Say I Ain't Country」は意表を突いたストレート
~トラディショナル・スタイルの導入が目を引きましたが、そこ
でフィーチャーされた乾いたトワンギーなギター・サウンドが、
今回はラップのリズムと上手くミックスされ、なかなかクールな
音空間が構築されてると思いました。
ラストの、既にシングルでヒット中の"I Love My Country"では、ア
メリカン・ハードをベースにしたヘヴィな音で、とにかくパワフ
ルなFGLが戻ってきたという感じを演出してると思います。その歌
詞では、゛ポップ、ロック、ラップが好きだ゛とその音楽的雑食
性を謳いながらも、やはり゛(レイナード・)スキナードが好き
だ゛と現代カントリーのルーツの一つとして、このサザン・ロック
の名バンドがいかに神聖視されているかを、改めて感じさせます。
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