ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

カーリー・ピアース Carly Pearce - 29 :Written In Stone

2021-09-25 | カントリー(女性)

 

今年春にリリースしたEPに新曲8曲を追加した拡大版アルバムがリリースされました。先の7曲入りEP、なかなかの佳曲ぞろいで良い印象だったのですが、EPにもかかわらず今年のCMAアワードのアルバム賞にノミネートされたのには驚きました。カントリー業界の彼女への期待が感じられます。EPではスローが多めだったのに対し、追加された8曲はカントリーらしい雰囲気のアーシ―なミディアムからアップ・テンポ曲も収録され、長くカントリーを聴いてきた方々には好アルバムに感じられるのではないでしょうか。

 

 

カーリーはアルバム・リリースについて語っています。゛このプロジェクトは多くのレベルで私に多くのものをもたらしてくれたわ。一つは、全ての曲で作曲に関わり、全てのストーリーを自分で書いたのが初めてだったこと。そして、プロデューサーのバスビーを失った後、次に何をしていくかを理解するキャリアの瞬間になったの。はじめにリリースされた7曲によって、私がいつも作りたかったカントリーミュージック、ケンタッキーで聴いて育ったカントリーミュージック、そして私が永遠に創っていくカントリーミュージックへの扉を本当に開いたように感たのよ゛今年、グランド・オール・オープリーのメンバーになった事も大いに影響していると思います。

 

 

”29”のプロジェクトを始めた頃、どうなっていくかの具体的なイメージがなかったようですが、先のEPの7曲への反応を受けてさらに曲を書き続けたそうです。゛私にとって29年目が終わったと思う。個人的にも音楽にとっても、本当に決定的な年だった。そして、最初の7曲の反応を見て、その真っ只中で、完成したと感じるまで続けて書き続けることにとても刺激を受けたと思う。そして今、その章を閉じることができたと感じているわ゛

 

 

シングルとしては、アシュリー・マクブライドとコラボした “Never Wanted To Be That Girl”(心なしか、結構声が似てるかな・・・と)がカットされていますが、ソングライターにケルシー・バレリーニ(仲が良いらしい)が加わる“Diamondback”あたりは程よいポップ感があり、次のシングルになりそうなナンバーです。それ以外では、“Your Drinkin’, My Problem”や“Easy Going”などのロッキン・カントリーもお気に入りです。そして長いカントリー・ファンに嬉しいのが、あのパティ・ラブレス(久しぶり!)とのデュエット “Dear Miss Loretta” でしょう。キレキレのカントリー・ギターをバックに、アーシ―な歌声の応酬が堪能できるワルツは聴きごたえが有ります。ロレッタ・リンはパティのいとこにあたるので、絶妙な人選です。

 

 

下に転載した、EPの時の感想の繰り返しになりますが、最近の女性アーティストはすぐにポップとコラボしていく人が多い中、かつてのパティ・ラブレスのように、カントリーの伝統的なサウンドを信念をもって守り続けるアーティストとして活躍し続けてほしいものです。

 

 

 

 

★3月13日に投稿したEP「29」の記事を以下に転載します★

 

 

昨年にセルフ・タイトルのセカンド・アルバムをリリースし、リー・ブライスとのデュエット曲"I Hope You’re Happy Now”で自身2曲目のナンバー1ヒット(エアプレイ・チャート)をモノにしたカーリー・ピアーズが、1年という最近では割と短いインターバルでEPをリリースしました。

 

挿入歌から取られたアルバム・タイトルは、彼女の人生のターニング・ポイントとなった年齢から付けたようで、ジャケットもモノクロでシック、彼女の内面にクローズアップしているかのようです。若くして亡くなった前プロデューサーBusbeeに変わり、Shane McAnallyと Josh Osborneがプロデュースにあたっています。

 

 

そのタイトル曲のスローバラード。29才になれば、良いウィスキーを飲むようになったり、自分で住宅ローンを支払うようになるなど、少し人生が豊かになるたとえ話をした後、コーラスが歌われます。”でも私にとって、29才は結婚と離婚をした歳/愛しい生活を待ち続けたけど、馬からちたの/MissからMrsに変わって、そして逆戻りよ/その年は期待に胸を膨らませたけど/今は罪を償えそうにないわ”

 

 

セカンド・アルバムで仲睦まじくデュエットを聴かせてくれたイケル・レイと、残念ながら結婚後1年たたずして離婚したカーー。EPをこの時期にリリースしたのは、この曲をリリースして区切りを付けたかったからなのでしょうかね。カーリー自身がプロデューサー二人と共作した作品ですが、厳密に言うと離婚報道があったのはカーリーが30才になってからだったりするので、赤裸々にパーソナルな思いを綴った、とまでは言えないと思います。曲想は、80年代あたりの清楚なアンサンブルが心地よい、しっとり聴けるバラードです。

 

タイトル曲もそうですが、このEPの作品群は、Busbeeによるモダンなエレクトロっぽいサウンドから距離を置き、トラディショナルだったり南部の風合いを持つ音創りが主体になってて、これはこれで彼女のハスキーでソリッドとも言いたい歌声に結構合ってるように感じています。 "Next Girl"はリード・シングルですが、トワンギーなギターやカントリーの生音が賑やかなアップテンポ・ナンバーで、この手は長年のファンには嬉しいです。続く"Should’ve Known Better"は、コチラは90年代カントリー風のミディアムで、良い流れを作ってくれます。"Liability"は少しリズムがタイトになり、サザン・ソウルっぽい粘り腰が新境地、聴きごたえが有ります。

 

 

個人的には、カーリーの歌声にマッチした、カントリーの壺を押さた締まった音創りに好感を持ちました。楽曲もなかなか粒ぞろいです。確かに華やかさは少ないのですが、それは今をときめくカントリー女性アーティスト達、キリー・アンダーウッド、ミランダ・ランバート、ケイシー・マスレイヴス、マレン・モリスそしてケルシー・バレリーニらが、それれ超個性的で、ややもすると別世界に行ってしまいそうな人達比べてしまうからでしょう。実力派、地に足の着いたカントリー・シンガーとして活躍し続けて欲しい人です。

 

★プロフィールも記載した、ファースト・アルバム「Every Little Thing」のレビューはコチラで★


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