ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Jon Pardi ジョン・パーディ - Heartache Medication

2019-10-19 | カントリー(男性)


”カントリー”とは言いつつも、我々異国の人間からすると、い
わゆるロックやポップスとの区分けがつかない音楽で溢れてい
る現在のメインストリーム・カントリー。そんな中で、奇跡の
ように、ストレート・カントリー(本国ではハードコア・カント
リーと呼称)でヒットを飛ばす若者、ジョン・パーディの3枚
目です。一度聴いたら忘れられなくなる、少し鼻にかかったア
ーシ―なカントリー・ボイスで、カントリー・ミュージックの伝
統を守るフィドルやスティール・ギターがたっぷりのホンキー・
トンク・サウンドを提供する、長いファンにとっては頼もしい存
在です。


プロフィールですが、カリフォルニア州Dixonの出身。西海岸の
人なのです。なんと、おばあさんのカラオケ機でカントリーに遭
遇し虜になったのだそう。当時から、ジョージ・ジョーンズから
ジョージ・ストレイトに至る正統派カントリー・シンガーにのめ
り込み、7才でガース・ブルックスの歌を歌い家族を楽しませま
した。12才で曲を書き始め、14才でバンド活動を始めます。高
校卒業後、 Northern Comfortというデュオ・チームを組み地
元で活動していましたが、2008年に解散。そしてジョンはナッ
シュビルに向かいます。



プールの監視員の仕事をしながら、2年経たないうちにソングラ
イティング契約にこぎ着け、そして間もなくCapitol Nashvilleと
アーティスト契約を結ぶのです。2012年に"Missin' You Crazy"
でデビューしますが、2013年の"Up All Night"がカントリーで
トップ10ヒットとなり頭角を現します。おかげで2014年のデビ
ュー・アルバム「Write You a Song」が、ポップで14位、カン
トリーで3位の好成績を収めるのです。2015年にはセカンド・ア
ルバムからのリード・シングル"Head Over Boots"がカントリ
ー・エアプレイ・チャートで1位に。続く"Dirt on My Boots"も
同1位となり、アルバム「California Sunrise」でスターの座を
確実なものとしました。このアルバム、この記事のアップ時点で
まだビルボードのカントリー・アルバム・チャートで21位をキー
プ中というロング・セラーになっています。

 

ニュー・アルバムの各楽曲も、”Old Hat"等々タイトルからして
トラディショナルの香りを大いに放ってます。リード・シングルの
”Heartache Medication”は、酒場を舞台にした典型的な傷心ソン
グ。”Me and Jack”は、初期のジョニー・キャッシュ調(歌詞に
Man In Blackの文言も有り)をベースとした、悪友との顛末を描
くストーリー・テリングですね。最後、突如テンポアップしパン
キッシュに盛り上がるのがクールです。ヘヴィなミディアムの”Call
Me Country”は、カントリーが扱う典型的なワード(Heartaches、
Cowboys、Good-hearted womenなど)を並べて”彼らは僕を
認識する事さえ出来ない、僕の事をただCountryと呼んだのさ”と
歌います。そんな中、ホーンやアコーディオンをフィーチャした
"Tequila Little Time"はテックス・メックス風で和ませてくれま
す。話題としては、スローの”Don’t Blame It On Whiskey”では
ローレン・アライーナがデュエットして華を添えていますね。



”ハードコア”とは言いえて妙で、ソリッドなカントリー・ギター
がサウンドの核となり、塩っ辛いイメージで全体が統一されてい
ますね。そして、ジョンの声が鋭角的で強力なのです。おかげで
華やかなEDMサウンドが席巻するチャート・シーンの中にあって
も存在感を放ってるのだと思います。こうして、カントリーミュ
ージックの伝統は、少しづつ新たなスパイスを加えながらも、維
持されていくのです。今後も見守り続けたいと思います。


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