ダイアリー・オブ・カントリーミュージック・ライフ

現代カントリー・ミュージックのアルバム・レビューや、カントリー歌手の参考になりそうな情報を紹介しています

Chris Stapleton クリス・ステイプルトン - From A Room: Volume 1 & 2

2019-06-01 | Chris Stapletonクリス・ステイプルトン レビューまとめ
★2020年の「Starting Over」を取り上げました★
 
に 続き、大きな期待でもって迎えられた、2017年の2枚のシリーズ・
アルバム です。それぞれ、5月と12月にリリースされました。特に、
セカンドに当たる「Vol.1」が出た時は、たった9曲で時間も30分チ
ョッと、という簡素極まりない体裁に最初は拍子抜けしましたが、内容
は前作に勝るとも劣らなく、短い分濃縮された充実感に唸りました。続
く「Vol.2」もほぼ同様の体裁とクオリティで、結果、時間差を付けた
極上のダブル・アルバムってなイメージになりました。 触れておかなく
てはいけません。


音楽的には、「Traveller」同様、古来のホンキー・トンク・スタイル、
中でも70年代にウェイロン・ジェニングス(この人、あの「We Are
the World」に途中まで参加していたのです!)を筆頭に一世を風靡し
たアウトロー・カントリーが芯になっていて、そこにブルース、R&
Bやサザン・ロック(パンク的にも思える)の要素で具現化し現代
性を醸しています。シンプルで骨太なバンド・サウンドや、クリスのギ
ターの根っこにあるのは、60年代後半のロックが参考にしたサザン・
ソウル・サウンドであり、リアルに現代に蘇らせているのが見事で
す。
 
「From A Room」に収められている曲想は、ミディアムからスロー曲
がほとんどでパッと見地味。しかし、いずれの曲もしっかりフックを持
ってます。ハードからメロウまで歌いこなせる歌唱力に裏打ちされたバ
ラエティ性もしっかり考えられていて、アルバムとしてじっくり楽しめ
ます。



シングル・ヒットした"Broken Halos"や"Millionaire"も、今の感覚だ
とシングルになるような曲ではない。こんなことが出来るのは、クリス
への業界やファンの信頼、期待度がなせる業でしょう。どんなにカント
リーがポップになり、いろんなスタイルをドンドン取り込んでいっても、
クリス・ステイプルトンがカントリー・ミュージック、そして南部ルー
ツ・ミュージックの文化を守ってくれる、という。。。
 
「Vol.1」は、2018年のグラミー賞で、カントリー・ソロ賞、カントリ
ー・ソング賞、カントリー・アルバム賞を総なめ受賞しました。ところ
が甲乙つけがたい「Vol.2」は、2019年のグラミーで受賞出来ませんで
した。CMAアワードでもアルバム賞を逃しています。いうまでもなく、
カントリー・ミュージックの未来を神々しく提示したケイシー・マスグ
イヴスの「Golden Hour」に阻まれたのです。さすがのクリスも、こ
れには敵わなかったといったところでしょうか。

最新情報では、クリスとモーガン・ステイプルトン夫妻は、5人目のお子
さんを授かり、5/29にはインスタにその赤ちゃんの姿を投稿したよう
です。おめでとうございます! 


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