翻訳は、神戸国際大学教授で、中国で出版されている雑誌『知日』編集長である毛丹青氏。
北京の新聞『新京報』にも同氏の内田氏へのインタビューが掲載され、
『日本辺境論』は、なかなか注目されているようです。
われわれが中国人を理解できないと感じている一方、
中国人にも日本人に対して同様の感覚を持っていることは
容易に推し量ることができます。
この違和感の所在がどこなのかは、好奇心豊な中国人にとっては
興味のあることなのでしょう。
私はまだ購入していませんが、日本語と比較しながら拝読したいと考えています。
ともかく、日本に関する著作が熱意ある人の手を通して海外に紹介されることは、
非常にありがたいことです。
歴史を振り返る中で、日本人には、よくも悪くも日本が辺境であるという意識があり、
だからこそ自分の前を歩く模範とすべき「師」をもとめて「きょろきょろ」しつづけている。
またその師が正しいか否かは問わずに従い、従う中で学び続けていく。
主観を放棄して、自分以外の何者かに決定を委ねる国民性は欧米にはありませんし、
中国人も自分が世界の中心にあると考える傾向が強いので、
彼らにとってビジョンが不明瞭で、意思決定に時間がかかり、
雰囲気に流されがち日本人が
なかなか理解しづらい存在だと思うのは当然かも知れません。
その点で、日本は中国市場で最初からハンデを負っていることを意識しておく必要があります。
今後海外に出る日本企業はさらに増加するでしょう。
相当希少な日本社会を形成している日本人が、その希少性を自覚すると同時に、
強みと弱みを把握し、進出する市場でどう補完していくかを
考えていかなければならなくなるでしょう。