Made in CHINA by JAPAN-日本唯一の中国女性人材育成コーチ&トレーナーのブログ

中国でのコミュニケーション研修と日本でのマーケティングコーチの展開を綴る。手帳術セミナーもやってます。

出合ったその時、”自分”を何と言おう?

2005-10-31 22:28:34 | 日本語で話す
この週末、名刺交換する機会が続いて、
名刺入れに準備した名刺は瞬く間になくなってしまいました。
なんだか日本にいるときより北京にいる方が、
仕事以外で名刺交換する場面が多いような気がします。
なにしろ100枚25元(1円=約15円)程度で名刺が作れますから、
ごく普通の大学生も名刺を持っていて、彼らともよく交換しますね。
自分の人間関係の記録にもなりますし、会話のきっかけにもなりますから、
中国の方がこの点は進んでいるような気がします。

さて、名刺交換は相手の情報を得ると同時に、自分を売り込むチャンスでもあります。
私の場合、「何をなさっている方ですか?」と質問されて、
中国でこんなことをやっている人間はたぶん私くらいだと思うので、
以前は「何から話しましょうか?」と切り出して身の上の説明をしていました。
しかし、これではお一人お一人への説明時間がかかりすぎて、
自分自身もじれったくなってしまったので、名刺を刷新しました。
裏に私の行っているトレーニングすべてを書き出してみたのです。
なので、「何をなさっているのですか?」とか、
「コンサルタント会社にお勤めなのですね?」という第一声のあと、
「裏を見ていただけますか?」と続けると、
「はあ~、なるほどねぇ」と相手の声のトーンが一段上がって
即、本題に入れるようになりました。
そこから先は、営業のような状態です。

本来ならこうした名刺を使わなくても、
ひと言で相手の興味を引くのがおしゃべりのプロフェッショナル!
というのでしょうが、私の場合はまだまだですね。
その点、この方は素晴らしい。「アナウンサー医師」の吉田たかよしさん。



東京大学大学院工学博士課程から、NHK入局、その後加藤紘一氏の公設秘書を経て、
現在医師という肩書きの持ち主。
「アナウンサー医師の吉田です」なんて名刺を渡されたら、
「それは何???」と興味を惹かれますよね。
自分にキャッチコピーをつけてPRというのは、
ぜひみなさんにも真似てほしいアイデアですね。
自分ではまだやってないので、オススメするのも妙なのですが。(^-^;)

この方の書かれた本の中身は私がアナウンサー時代に教わったことそのもの。
そして言いたいことそのもの。
15秒で聞き手の心を掴むかどうかが勝負!というのは、
番組作りに携わった経験がある人の、身をもっての言葉です。

私も何かキャッチコピー考えますかね?
壷抜けができる元アナウンサーとか、気功で熊が倒せる元アナウンサーとか…。
そんなことしたら、雑技と気功の修行に出ないといけない!(どっちもできません!!)
別の方法を考えましょう(笑)。

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"小鉢定食型”からの脱却(2)

2005-10-28 22:30:02 | 日本語で話す
さあ、それとは違った思考パターンとは何か?

では、話を組み立てる発想方法を、定食に例えてみましょう。
先程の日本人にありがちな発想方法を例えるなら、ズバリ小鉢定食型
一つのトレーの上に、餃子と、カレーと、豚しょうが焼きと、お好み焼きなど
てんでばらばらなものがちょっとずつ載っているような状態です。
これでは何が中心なのかわかりません。
それにそれぞれが丹精込めて作られているかというと、
それも首を傾げたくなってしまうのは想像がつきますよね。

もし、これを食べた!食い応えがあった!と食べた人に言わせたいのであれば、
メインディッシュ定食型に切り替える方が賢明です。
つまり主役となる料理を何にするかを決めてから
トレーの上に並べるものを考えるということ。

仮にそれが鶏から揚げ定食だったなら、中心は鶏から揚げ。
では、どんな材料を使ってどんな味付けにするのか、相性のいい付け合せは何なのか、
そのほかのおかずとの比率をどうするのかetc…。
そう考えることで顔の見える定食ができあがるというわけです。

話を組み立てるということもおんなじ。
はじめに何について話すかを考え、それを説明する項目を徐々に掘り下げ、
凝縮しながら流れを作り上げることによって、
聞き手に対し、インパクトを与える話ができるのです。
その結果、次回会ったときに「あのときあの話をした人だ」と
覚えてもらえていたとしたら、しめたもの。
そのときのあなたの話には、ちゃんと顔があったのです。

1分間とは、人間が一つの情報を集中して聞くのに適当な長さです。
当たり障りのなく、1分をやりすごすのもいいかもしれませんが、
きちんと勝負をかけたいときには、メインがわかる定食をつくりましょう、
例えそれが、豚キムチ定食でも、さんまの塩焼き定食でも、コロッケ定食でも。

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“小鉢定食型”からの脱却(1)

2005-10-26 23:52:16 | 日本語で話す
ついこのあいだまで半そでを着て汗をかいていたのがうそのように、
北京の朝夕は寒くなりました。
私はすっかり風邪引きモード。何だか仕事に身が入っていません。反省…。

さて、先日の株式会社テコさんの就職セミナー。
振り返ってみると、あたかもこれがキーワードだったような気がします。
「1分間で話してください」。
これは面接だけでなく、あらゆるシーンで必要になる言葉の能力です。
今回は少しこの点にふれましょう。

「1分間で話してください」。
こう言われてから、あなたの頭の中はいつも一体どんな風に動いているでしょう?
ちょっと思い出してみましょう。

まず名前を名乗って、それからあの話とこの話と、それからあれを言ったら
大体1分ぐらいかなあ。最後によろしくお願いしますで締めればいいな…。


こんな感じでしょうか?
比較的このパターン、日本人の方には多いですよね。
その結果出来上がったのは、当たり障りのない、とりたてて特徴のない、
みんなと同じようなトーク。
目立たないでおこう。そう考えればそれでもいいのかもしれません。
でも、相手に自分の存在をアピールしようと考えたなら、
これではちょっぴり損なやり方にはならないでしょうか?


自分に与えられた1分間をより印象的に演出するには、
実は、それとは違った思考パターンが必要になってくるのです。


北京で就職イベントシーズンがスタート!

2005-10-23 22:58:40 | お知らせ
北京の日本語フリーペーパーに目を通している方はもうお気づきでしょうが、
今月末から来月にかけて、就職イベントが目白押しです。

23日(日)、五道口・西郊賓館で行われた
株式会社テコさんの「就職活動・秋の陣」におじゃましました。

イベントはは3部構成。
1部では、Office Rism代表・キャリアアドバイザーの石川雅嗣さんを講師に、
講演が行われました。
隣り合った二人が組になって、好印象を与える表情や言葉を実際に体験しながら、
面接のイメージを具体化しました。
日本に比べて就職活動のノウハウの情報に接する機会が少ない北京の留学生にとって、
石川さんの「自分らしい自分を出せば、それを助けてくれる人がきっと現れる」
という言葉は、大きな励ましになったよう。楽しく充実した時間でした。

2部は、北京大学出身で、朝日新聞の記者職に内定した今村優莉さんの就職活動報告。
日本の就職戦線で勝ち残るには十分な精神的準備が必要なこと、
また「1分間でPRする」など、
限られた時間内に結論から話す習慣づけが重要
だとの報告がありました。

そして3部は、「即効敬語・虎の巻」というタイトルで、
8つに別れたチームが日本から直輸入(?)のご当地菓子をかけて敬語クイズに挑戦。
なかなか白熱でした。

イベント終了後も、講師の石川さんに向けて途切れることなく参加学生からの質問が。
年上の日本人との接点が少ない環境で情報が限られている中、
じかに専門家から話を聞く機会は本当に貴重です。
石川さんにもまたぜひ北京に遊びに来ていただきたいですね。

まだまだ在中留学生の情報不足による意識不足の問題が指摘されていますが、
続々と登場する就職関連企業の奮闘で、
少しずつ彼らの間にも道筋に明かりが差してきそうです。



以下、予定されているこのほかの就職関連イベントです。

■10/28(金)・29(土) 
JAC China「日本・東南アジア就職相談会」 
会場:自社オフィス(東三環中路7号北京財富中心A座7階)

■10・29(土) パヒューマ上海「個別キャリアカウンセリング」
 会場:北京京倫飯店

■11/11(金)12(土)
グッドジョブクリエーション「中国就職セミナー・登録会」
会場:西郊賓館

■11/21(月)11/22(火)
毎日コミュニケーションズ「第3回日資企業合同就職説明会in北京」
会場:清華大学 時間:21日(月)10時~16時     
会場:北京大学英傑交流中心 時間:22日(火)10時~16時 

■11/26(土)11/27(日) ディスコ「2005キャリアフォーラム」
会場:北京五洲皇冠暇日酒店 
時間:26日・11時~17時 
   27日・10時~16時

■12/3(土) 北京日本人会主催「就職セミナー2005」
会場:新世紀日航ホテル

日本人のプレゼン能力と中国人のマナー(2)

2005-10-22 00:55:36 | 中国人とコミュニケート
日本人のプレゼン下手は、遺伝ではない。単に鍛え方を知らないだけ。
そんなお話しを昨日書きました。

実は中国人も、同じように、
無知と思い込みが自らの能力を妨げている部分があるのかもしれませんね。
「中国人は決して馬鹿ではない。
ただ今までそうした発想がなく、どう振舞うべきなのか知らないだけなのだ」。

これは多くの中国関連のビジネス書にも書かれていることだし、
私の周囲の中国人も繰り返して言うところです。

その点で目に見えて明らかなのが、マナーの問題。
日常生活でのマナー、サービスのマナー。
これらは彼らの概念の中にもともとない考えです。
つまり、さっきのゴルフにたとえるなら、
どんなスポーツかも知らずにゴルフ場に送り込まれている状態なのかも知れません。
当然、ゴルフとはどんなスポーツで、どんなルールがあって、
スウィングはこうやって…と徐々に教えていかないと、意味も楽しみも理解できない。
そして上達もあり得ない。
突然外国と比較されて、何がいけないのか頭が混乱して、
結局「いや、私、中国人だから、そういうのは永遠にできないんだよ」なんて、
ねじけた諦め根性が、今の中国人の間にもないとは言えなくもないかもしれません。
日本人のプレゼン恐怖症を別の角度から眺めたとき、
そんな考えが浮かびました。

しかし、多くの外国の優秀な人材トレーナーたちによって、
中国人の「外国からやってきたものだから自分になじまない」的発想は
徐々に薄れ始めている模様。
特に、ここ数年の北京・上海など大都市でのソフトの改善は目覚しく、
国際水準とは言わないまでも、最悪と呼ばれたサービスレベルから脱却しつつあります。
正しい手法で、ものごとのイロハから根気強く教えていけば、
それなりに評価できるホスピタリティが実現するもの
なのですね。

日本人のプレゼン能力アップが先か。中国13億人のマナー向上が先か。
どっちもこつこつ、励ましながら向き合っていくのが近道のようです。


日本人のプレゼン能力と中国人のマナー(1)

2005-10-21 00:24:27 | 日本語で話す
HPもようやく開設、
本格的に企業や社会人向けの話し言葉セミナー(日本人、中国人ともに)を
本格化させることにしました。
お世話になっている事務所等のご厚意に甘えて、
チラシを置かせてもらっています。
今日ご紹介するのは、そんな中で感じたことです。

とある、多くの欧米人スタッフをグループに抱える企業の方が
私が持ってきたチラシを眺めながら、
「そうだよねぇ、日本人、プレゼン下手だもんねえ。
向こうのスタッフと仕事してると、
あの人たちみたいなマネはなかなかできないって思うよねえ」と、
しみじみおっしゃる。
なんだかその言葉の裏に、文化も人種も違うんだから、あんなになるのは無理、
それはさながら遺伝が原因で、日本人には改善不可能かのような、
諦めの気色が見え隠れしているように感じられました。

しかし、本当にそうなんでしょうか?

実は私はそうは思っていません。
たまたま話し言葉でいかに表現するかという文化が本来日本にはなく、
そこをなおざりにしたがために学校教育でも取り上げられず、
ほとんどの人がその鍛え方を知らないだけにすぎない、と考えています。
例えるなら、ほとんどの日本人が、
スイングの仕方も知らないでコースに出てやたらに球を打って、
いつまでもグリーンに乗らないとため息をついてるゴルファーみたいな状態。

基礎を理解しないで、何百球叩いたところでスコアがよくなる道理はありませんよね?

プレゼン能力もおなじこと。
話すという行為のベースの部分を理解しないで、
むやみに失敗を繰り返して自己嫌悪に陥る悪循環に、日本人はハマっている。

そんな状態なのです。

つまり欧米人と日本人の表現力の差は、
基本となる理論を理解し、それに従ってどれだけ訓練し、場数を踏んだかの差であって、
民族の遺伝子とは別問題のはずです。

だから、正しい知識をもってまじめにトレーニングすれば、
日本人も高いプレゼン能力を身につけることは不可能ではないはずなのです。

そしてその思い込みが自らの足を引っ張っていることを
案外多くの日本人は気づかずにいるのです。

留トコ連載「”自慢”と“自己PR”の境界線」

2005-10-20 10:41:42 | 留学生トコトコ連載「北京就職指南書」
中国人学生と話をしていると、
時々、日本人学生が口にしない質問が飛び出します。

例えば、間もなく就活を控えた中国の女子学生からこんな質問が。
「自慢と自己PRの違いが解らないんです」。
あまりのシンプルさに一瞬びっくりしてしまったのですが、
彼女に説明しているうちに、
案外日本人もこうしたベーシックの部分を見落としているのかも? 
ここを振り返りながら就活準備をすべきなのかも? 
というヒラメキが起こりました。
今回は、すごく基本的、でもおろそかにできない
「自慢」と「自己PR」の境界線についてお話しましょう。

まず「自慢」とは? 
大辞泉によれば、「自分で自分に関する深い物事を褒めて、他人に誇ること」とあります。
つまり、自分を満足させたいがために自分でする行為を指します。

対して「自己PR」はどうでしょう? 
そもそもPRとは、「Public Relation=広告する」という意味。
これに「自己」がついたなら、広告する商品は「自分自身」です。
そして、その商品を買ってくれる相手=企業の存在を無視することができません。
良し悪しの判定をするのはあくまでも企業。
だから気持ちのまま勝手に話していい「自慢」と違い、
どんな広告手段を使うのが相手に対して効果的か、
頭を使う作業が必要になるのです。


では、相手に自分のよさを伝えるためには何が必要なのでしょう? 
これは以前「面接=お見合い理論アナドるべからず」の回でもお話ししましたが、
「自分を知り」、「相手との接点を探る」ことが最も大事。

もしあなたが営業マンなら、
製品の知識もなく営業に飛び込むはずはないですね? 
顧客にメリットがある商品だと説得して契約を成立させるはずです。
また就職活動を恋愛に置き換えたなら、
ほとんどの人が、好きな異性を振り向かせるのに、
いきなり体当たりするような無謀な行動はしないと思います。
相手の情報を集めてから、お互いの共通点を探す、
もしくは作り上げようとするはずです。


履歴書の作成も面接の準備も実はこれと同じ作業。
企業の求める社員像にフィットする自分の特徴をアピールし、
その延長線上に、“就職という契約”が待っているわけです。

では、具体的にどのように自己PRの素材を集めればいいんでしょう?
一番簡単なのは、自分の日記やブログ、誰かに送ったメールをチェックすること。
これまで経験したことや打ち込んだこと、心を動かされたことを
文中から一つ一つピックアップして
そこから行動パターンや心の動き、何に価値を感じているのかを
探ることができます。


もしこうした記録がなくても、心に起伏があった出来事を思い出し、
なるべくたくさん紙に書き出すことからもヒントを探し出せます。

さらに留学の環境を生かすのなら、周りの中国人、
留学生たちからあなたがどう映っているのかをインタビューする手もあるはず

多分日本にいるよりバラエティに富んだ視点があるでしょうね。

自らを冷静に観察する習慣が、
自分の商品価値を高くするPRに繋がっていくんですね。


留トコ連載「“立て板に水”の落とし穴」

2005-10-18 21:15:19 | 留学生トコトコ連載「北京就職指南書」
「話ベタ」と呼ばれる方たちがいます。
すぐにあがってしまうし、話すのも苦手。
できれば就活も書類だけで、面接は避けて通れれば…と
ビクビク気味に構えているかもしれませんね。
今回、私はこの方たちを応援すると同時に、
日本人の言う「話が上手」の中には誤解が含まれていて、
本当に話がうまいわけではないことを、
就活予備軍のみなさんにお話したいと思います。
実はこの点が非常に重要で、誤解を早く解いておかないと、
のちのち就活で悔いの残る結果を招きかねないからです。

例えば、“立て板に水”という表現。
話しが苦手な人にとっては憧れの言葉でしょう。
流暢に話し、笑いを誘う友達が羨ましく、
どう訓練したらそんな話術がマスターできるのと思っているかも知れません。

でも、私ははっきり申し上げます。
そんなトレーニングは“不要”。
アナウンサーにでもなるつもりがない限りはお薦めしません。
面接では逆にじゃまになる結果が予想できるからです。

ではなぜ? 
一つ例を挙げましょう。
私の大先輩のアナウンサーは、現在も大きな番組を担当する
人気キャスターですが、“流れるような”という話し方ではありません。
言葉を選びながら、時には必要以上にゆっくり間をとっていて、
げつげつした印象を受けることがあります。
なのになぜ、視聴者が話し方に不快を感じず支持しているのか。
それは話したい内容を自分なりに咀嚼し、
伝えようとする気持ちが現れているから。
技術以前に気持ちの部分がしっかりしているから

この方の発する情報が伝わるのです。
逆に言うなら、話が上手すぎると“立て板に水”の如く、
聞き手が話し方に気をとられて、内容が記憶から流れていく恐れがあるのです。

振り返ってみて下さい。
リポーターが一度もかまないのに感心して何の中継か覚えていなかったり、
まくしたてる芸人のトークより、
途切れがちに素直な気持ちを語った一般人のインタビューのほうが
心に残ったりということ、なかったでしょうか?


これは面接でも同じこと。厳しいようですが、
「どう話すか」より「何を話すか」をしっかり練って対応しないと、
面接の貴重な時間をうすっぺらい言葉で埋め尽くすだけになってしまいます。

だから私が心配なのは、話が下手だと自覚している人より、
むしろ「うまいと思っている人」のほう。
最初の面接は突破できるかもしれませんが、
回を重ねるごとに面接官の質問は厳しくなり、
競争相手のレベルも上がります。
話術だけに頼っていては、次第に自分と企業をより研究し、
場慣れしたライバルたちの間で勝ち残れなくなります。

面接は話のテクニックを競う大会ではありません。
あなたがどんな価値観を持って、社会人としての人生を描いているのか、
それを訴えながらベストマッチの企業を探す作業の一つ。
自分の本質に近づくのがまず先決なのです。
だから無理に“板を立てる”必要はないのです。

話が下手だと思っているみなさんは自信を持って。
話がうまいと言われているみなさんは気を引き締めて。
等身大の自分を確認していればきっと道は開けます。

留トコ連載「届く声」

2005-10-17 21:56:19 | 留学生トコトコ連載「北京就職指南書」
 私は声が大きい。私の母も声が大きい。

周りからは積極的に見てもらえるのでいい“遺伝”なのでしょうが、
二人で内緒話は絶対できません(笑)。
いざ口論となっても、声の大きさなら中国人に引けはとらないとは思います
…ただし勝つにはもうちょっと中国語がうまくなる必要がありそうですけど。

しかしこの世には、当然私と逆の個性をお持ちの方がいます。
そう、声が小さいという方。小さな声は聞き取りづらく、
消極的な印象を与えてしまうため、
就活を控えたみなさんの中にも
これが悩みという人が少なくないかも知れませんね。

私も以前ある女子大学生から、
もともと声が小さいので大きな声が出せるようになるにはどうしたらいいかと
尋ねられたことがあります。
特に彼女はアナウンサー志望だったので、お悩み度は深刻でした。
しかし彼女の言うとおり、本当に“もともと”声は出なかったんでしょうか?

私は、小さい声の原因は大きく分けて四つあるのでは? 思っています。
一つ目は身体的理由。
残念ながらこの解決は私では力不足です。
二つ目は声を出す行為に精神的抵抗あって、無意識に声量を制御していること。
これは、習慣として毎日声を出し続ければだいぶ克服できます。
そして三つ目は───これは例を挙げて話しましょうね。
ちょっと想像して下さい。
もし道を歩いていて、目の前の人が大事な物を落とし、
そのまま歩いて行くのを目撃したら? 
あなたは後ろから呼び止めるでしょう、「落としましたよ!」
それも大きな声で。

多分この時あなたの中では、
何とか落し物の事実を伝えなければという心理が働いているはず。
つまり伝えたい気持ちがあったとき自然に声は大きくなるのです。

裏返せば、伝える意思がなければ、声が出ない場合があるということです。

思うに、声が小さくて悩んでいる人の多くは二つ目と三つ目が絡み合い、
四つ目、「自信喪失」という悪循環に陥って
余計声が小さくなっている気がします。


そこで私が彼女に勧めたのは、こんな練習。
部屋の隅に好きな人の写真を置いて、
反対の隅から毎日、新聞のコラムを写真に向かって
“聞こえるように”読み聞かせること。
でも読むのではなく、伝えるつもりで。

想像するとちょっとブキミな光景ですが、
伝えようとする気持ちの芽生えが声を大きくするだけでなく、
自分から発するメッセージ力アップにつながります。

実際この方法は、私がアナウンサーになりたての頃実践していました。
硬いニュースを担当していると顔が緊張し不自然になるので、
仕事仲間と相談し、カメラの上にぬいぐるみを置いたのです。
まるで幼児写真の撮影みたいで笑える話だけれど、
自然な表情と口調、声を引き出し、強いては視聴率さえ負ったんだから、
ぬいぐるみの使命は意外に重大でした。

「届く声」。
これは私が育った放送局の先輩方がよくおっしゃっていた表現です。
言葉は相手に届いてこそ値打ちある。
それは表面的な声の大小の問題だけでなく、
伝えようとする気持ちがあるか否かによって、
発声が変わるという意味が含まれます。

面接までにあなたの伝えたいことをたくさん準備しましょう。
その時、きっと説得力のある声で話せるでしょう。

留トコ連載「面接=お見合い理論」アナドるべからず(2)

2005-10-17 00:15:37 | 留学生トコトコ連載「北京就職指南書」
はずかしながら、私、アナウンサーでした。
とは言っても正社員でなかったので、
社会保険もなければ、いつまで仕事があるかも解らない。
さらに仕事を得るためにはオーディションを通過しないと暮らせないという、
そこは華やかなイメージとはウラハラ、案外タフな競争社会でありました。
大きな番組だろうが小さなイベント司会だろうが、
オーディションの顔ぶれはその道でご飯を食べてる人たちですから、
「今回はご縁がなかったということで」とお断りの電話が来て、
あえなく「失恋」って憂き目も両手じゃ足りません。
けれど、クライアントや仕事内容に合わせて自己PRを変えて、
ひとまず面接官に楽しんでもらおうと工夫を続けていたことは、
その後のスキルアップに大きく役立っている気がします。

さて、話変わって。前号でお話した「面接=お見合いの理論」
もうちょっと具体的にお話しましょう。
これからお話するのは実際に私が遭遇した事例で、
この発想があるとこんな面接の状況でも想像力が働くようになります。

その1。とある日本人学生の話です。
本人曰く「ともかく就職したかったから、
『ITはよく解らないけど、熱意もあるし、一生懸命やるのでお願いします』と
繰り返したけれど、落とされました」。
さて、これをお見合いの状況に置き換えたら、こんな感じですね。
「アナタのこと何も知らないんですけど、
とにかく結婚したいから結婚してくれませんか」。

出会った瞬間フィーリングが合ったならともかく、
これはさすがに引いてしまうかも。
やっぱり誰でも「私」がいいから一緒にいたいと、言ってほしい。
本人には、できるだけ会社との接点を見つけてからPRするよう勧めました。

その2。とある中国人学生からの質問。
「面接の時担当者から、
『当社に入社したら何年働くつもりですか?』と聞かれ、
解らないと答えてしまった。
だってそこの会社で働いたことないのに答えられないでしょう?」 
彼の言うことはなるほど、確かにです。
でもこれもお見合いと仮定したら、この会話はこんな感じでしょうか? 
「相手から『結婚してもずーっと一緒にいてくれる?』って聞かれたんだけど、
キミと結婚したことないから解らないと答えた」。
うーん、なかなか冷めてます。

ではついでに、「正直にいつか転職します」という答えも考えてみましょう。
これは結構強烈で、
「アナタとは結婚します。家庭も仕事もしっかりやるけど、
時期が来たら私はアナタを踏み台にして別れるんです」…。

企業としても最近は転職志向が強まっているのでこんな質問をするのでしょうが、
正直嘘でもいいから「長く一緒にいたい」と
言ってもらいたいんじゃないでしょうか。
「嘘でも」という響きがちょっと切ないけれど。

「面接=お見合い」と言われるのは、
自分にとって将来を左右する大切なものと出会う作業だから。

自分の気持ちを大切にするのと同時に、
相手方への思いやりも大切。
恋愛したり結婚を考えたりするのと同じイマジネーションが必要なんですね。