goo blog サービス終了のお知らせ 

原発は日本人にセットされた時限爆弾だ!

原発再稼動阻止のために、原発関連事項を整理して随時アップする。また、集団自衛権の行使の阻止のために同様に取り組みたい。

避難解除準備区域の環境省の線量基準20ミリシーベルトは、法律違反である(4)

2016-01-05 11:01:58 | 原子力

日本政府には、一般人の追加被曝線量を年間一ミリシーベル以下にする責務があり、現状は、一部の地域とは言え、その責務を果たさず、違法状態である。

環境省の線量基準の20ミリシーベルトは、胸部X線撮影を一日3回、毎日受け続けることに相当する。これでなんら影響が無いと思う方がおかしい。

 最も信頼できる、アメリカ科学アカデミーのBEIR第七回報告書(2006年)諮問委員会(16人の委員会、1999年に設置される)のその報告書によると、


・放射線はDNAを損傷する。ヌクレオチドの塩基部の一本鎖および二本鎖切断、それに酸化的に変化を引き起こす。DNAの欠損、遺伝子および染色体の損傷は、腫瘍形成に関わりがあるとされる。この数値以下なら細胞の損傷が起こらない証明できる閾値は存在しない

(事実に基づく結論であり、ICRPは、事実を無視していることになる、日本政府は見解の差があるとして、ICRPの見解を採用しているが)

・放射線により危険度が他のがんに比較して、著しく高いのは、十二種類があり、白血病の他、肺がん、肝臓がん、乳がん、前立腺がん、胃がん、大腸がん、甲状腺がんが含まれる。乳がんの発症率は、二倍ほどになるが、他のがんは一・五倍である。

・放射線被曝の影響に男女差があるの明らかである。
放射線に関係するがんの死亡率は、固形がんでは女性のほうは男性より三七・五%高かった。幼児のがんの危険性は、大人に比べて三~四倍高く、女児は男児の倍近い確率でがんなる可能性があった。

・20ミリシーベルトの被曝によって上昇したがんリスクが下図に示される。


 

 

 この線量を浴びた結果、それぞれの年齢の被験者10万人の内、
                 
                      女の乳児ががんかかる事例は約1000件
                                      
                     男の乳児がかる事例は約500件増加し、

                     三十代男性.の場合は、100件以上増えることになる。(出典:ハーバート・エイラムズ「終わりなき危機」)

当然のことながら、20ミリシーベルトには、年齢差、性別差が考慮されていない。なお、放射線の影響は、がんのリスクの上昇だけではない。


避難解除準備区域の環境省の線量基準20ミリシーベルトは、法律違反である(2)

2016-01-03 17:28:01 | 原子力

(1)で述べたように、環境省の線量基準20ミリシーベルトは、「電離放射線障害防止規則」に違反していると言わざるを得ない。福島の被災者には、放射線業務作業者と同様の環境で暮らしているのに、法的には放射線業務作業者が受けられる保護を何ら受けられないことになる。このことは、5年先、10年先等に何らかの身体的症状が現れたとして、法的な見地から見て、その補償を請求することが大変に難しいことになる(勿論、補償を得られれば、それで済むことではないが)。

従って、下記の訴えは正当な訴えである。

南相馬・避難20ミリシーベルト基準撤回訴訟支援の会

公衆の被ばく限度20倍である年20ミリシーベルトを基準とし、住民の意思を無視した避難勧奨地点の解除は違法だとして、福島県南相馬市の住民たちが国を相手どり提訴しました。本訴訟の意義を全国に広め、訴訟を支援するための支援の会が立ち上がりました。http://minamisouma.blogspot.jp/ 参照

ところで、上記の訴えに対する政府側の答弁書の中で、驚くことに!!!、


特定避難勧奨地点の設定は,事実の通知又は情報提供という事実上の行
為であり,また,避難勧奨等の行政指導的色彩を帯びる行為ではあるが,
何ら法的効果を持たないものであること


特定避難勧奨地点設定の解除も,何らの法的効果を持たない行為である
こと

と回答している。即ち、避難指定解除は、行政行為ではなく、なんら法的責任を伴うものでは無いというのである。「信じて、家に戻った者に何らかの異常が現れたときは、それは自己責任ですよ。」ということである。 冒頭の推測が大袈裟でないことが分かる。

 

 

 


避難解除準備区域の環境省の線量基準20ミリシーベルトは、法律違反である(1)

2016-01-01 11:30:30 | 原子力

日本には放射線防護に関し、下記する放射線業務従事者に対する「電離放射線障害防止規則」がある。

下記より分かるように、管理区域内での放射線業務従事者に対する防護基準が5年間で100mシーベルトである。年間20ミリシーベルトは放射線業務従事者のこの防護基準と同じである。しかも、5年どころか10年、20年と続けて被曝することになる。一般人に対し年間20ミリシーベルトを許容する法律は存在しない。

従って、現状は、「電離放射線障害防止規則」の趣旨に違反する、法律違反状態である。

政府は、20ミリシーベルトの根拠を国際放射線防護委員会(ICRP)の基準に求めているが、その基準は、原子力を推進する立場からの基準であり、何ら安全を保証するものでは無く、日本政府を拘束するものでも無い。

ここで、国際放射線防護委員会(ICRP)の基準は、日本の広島、長崎の被爆者のデータを意図的な調査の下に、原子力推進の立場で整理していることを強調したい。即ち、現在の原子力は、広島、長崎等の被爆者を踏み台にして成り立っている。

電離放射線障害防止規則
労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)及び労働安全衛生法施行令(昭和四十七年政令第三百十八号)の規定に基づき、並びに同法を実施するため、電離放射線障害防止規則を次のように定める。

(放射線業務従事者の被ばく限度)

第四条   事業者は、管理区域内において放射線業務に従事する労働者(以下「放射線業務従事者」という。)の受ける実効線量が五年間につき百ミリシーベルトを超えず、かつ、一年間につき五十ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

2   事業者は、前項の規定にかかわらず、女性の放射線業務従事者(妊娠する可能性がないと診断されたもの及び第六条に規定するものを除く。)の受ける実効線量については、三月間につき五ミリシーベルトを超えないようにしなければならない。

第六条  事業者は、妊娠と診断された女性の放射線業務従事者の受ける線量が、妊娠と診断されたときから出産までの間(以下「妊娠中」という。)につき次の各号に掲げる線量の区分に応じて、それぞれ当該各号に定める値を超えないようにしなければならない。

1内部被ばくによる実効線量については、一ミリシーベル

2腹部表面に受ける等価線量については、二ミリシーベルト
 
第八条   事業者は、放射線業務従事者、緊急作業に従事する労働者及び管理区域に一時的に立ち入る労働者の管理区域内において受ける外部被ばくによる線量及び内部被ばくによる線量を測定しなければならない。

4   第一項の規定による内部被ばくによる線量の測定は、管理区域のうち放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取するおそれのある場所に立ち入る者について、三月以内(一月間に受ける実効線量が一・七ミリシーベルトを超えるおそれのある女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)及び妊娠中の女性にあつては一月以内)ごとに一回行うものとする。ただし、その者が誤つて放射性物質を吸入摂取し、又は経口摂取したときは、当該吸入摂取又は経口摂取の後速やかに行うものとする。

(線量の測定結果の確認、記録等)

第九条   事業者は、一日における外部被ばくによる線量が一センチメートル線量当量について一ミリシーベルトを超えるおそれのある労働者については、前条第一項の規定による外部被ばくによる線量の測定の結果を毎日確認しなければならない。

2   事業者は、前条第三項又は第五項の規定による測定又は計算の結果に基づき、次の各号に掲げる放射線業務従事者の線量を、遅滞なく、厚生労働大臣が定める方法により算定し、これを記録し、これを三十年間保存しなければならない。ただし、当該記録を五年間保存した後において、厚生労働大臣が指定する機関に引き渡すときは、この限りでない。
一   男性又は妊娠する可能性がないと診断された女性の実効線量の三月ごと、一年ごと及び五年ごとの合計(五年間において、実効線量が一年間につき二十ミリシーベルトを超えたことのない者にあつては、三月ごと及び一年ごとの合計)

二   女性(妊娠する可能性がないと診断されたものを除く。)の実効線量の一月ごと、三月ごと及び一年ごとの合計(一月間に受ける実効線量が一・七ミリシーベルトを超えるおそれのないものにあつては、三月ごと及び一年ごとの合計)


福島原発の事故が世界各国の原子力政策へ与えた影響(補追、訂正)

2015-12-29 18:22:52 | 原子力

小坂 洋右著「<ルポ>原発はやめられる」に詳しいが、概略すると次のようになる。

まず、既に原発の稼働の停止あるいは廃棄を決めていた国

(1)日本と同じ地震国イタリヤは、1987年、原発そのものでなく(出典:今井一著「「原発」国民投票」)、

①地方自治体の承認がなくても、イタリヤ政府はどこの地域にも原発を建設できることを定めた法律を廃止すべきか?

②原発受け入れに同意した地方自治体にイタリヤ政府が補助金を交付するという法律を廃止すべきか?

③イタリヤが、国外の原発建設に参加することを廃止すべきか?

④裁判官の誤審追求を禁じている三つの条項を廃止すべきか?

⑤司法問題に関して国際調査委員会の権限を強化すべきか?

の五項目についての国民投票の結果、原発問題めぐる現行法の廃止等に賛成する割合が、①80.6%、②79.7%、③71.9%となり、政府のエネルギー政策の転換を迫る結果となった。

  (イタリアの国民投票は、憲法の規定によるもので、提起に50万人の署名が必要で、投票の過半数が成立の条件ーーーなお、④、⑤がどうなったかも大変興味がある

  これらが可能となれば、日本のデタラメ司法もなんとかなるかも。) 

(2)オーストリアは、安全性、核燃料の処分場決定を巡って国民投票を実施し、50.47%の僅差で原発の稼働、建設を禁止していた。

(3)スエーデンは、約半分を原発に依存する状態だった1970年代、1979年の米国スリーマイル原発事故発生を契機に、1980年1月18日「原子力発電投票法」を制定、3月23日に国民投票を実施した。

①原発容認・現状維持

原子力発電は、国民の雇用と福祉を維持するのに必要な電力がまかなえるようになった時点で段階的に廃止する。新たな原発は作らない。また、安全性に問題があれば原発は稼動させない。

②条件付き原発容認案

①に加え、地域住民を加えた安全委員会を各原発に設ける等

③原発反対・廃止案

国民党票の結果、①18.9%、②39.1%、③38.6%、白票3.9%

この結果をもとに、2010年までに全廃を決定するが、その決定を撤回。しかし、2006年に一基の原発が電源喪失事故を起こし、10基中4基を停止。

福島の事故を契機として

(1)イタリヤ

産業界の「原発再開」を求める声に応じ、ベルルスコーニ政権は2009年に「原発協力に関する協定」をフランスと締結した。それに対し、国民投票の実施要求が起こり、2011年6月11日、12日に国民投票の実施することが決定した。その後、福島の事故が起こり、国民投票の実施を避けるために、ベルルスコーニ政権は各種の法律を制定して、不戦敗を画策したが、計画通り実施されることになった。その結果は、脱原発が94.05%と圧倒的多数となった。

 (このときの投票には、テレビで流れる日本の映像が投票に大きく影響した模様。「日本人の犠牲に感謝する」と言われたとのこと。(出典;藤原章生著「資本主義の終わりの始まり」88頁))

(2)ドイツ

2011年4月4日、メルケル首相が「安全なエネルギー供給に関する倫理委員会」(報告書の訳はURLを参照)を招集する。
www5.sdp.or.jp/policy/policy/energy/data/toshin02.pdf  www.jabes1993.org/.../EthicsCommission_full_translation.pdf

(メルケル首相は、また、事故の数日後、17基の原発のうち古い7基を止め、残りを安全審査に掛ける。一方、菅前首相は、浜岡原発の停止を要請したのみで、全原発50基が停止したのは定期検査のために停止した一年以上経過後の1012年5月5日である。)

2011年6月30日、二か月後に原発を廃止すべきとの提言を得て、2022年末をタイムリミットとする原発全廃を議決する。

ドイツの決定には、1989年の東西ドイツの統一に際し、東ドイツ側の計6基のソ連型原発の安全審査をして、一万五千人以上の原発労働者が失業になるのにもかかわらず、運転停止を決定したという伏線があった。

(3)スイス

原発依存度が50%近い中で、2011年5月、政府が2034年までに稼働中の5基全廃を決定する。

小坂氏の本を読み進むと、自然に涙が出る。ドイツの人々は、何にもまして人間の尊厳を重視している。具体的には、人間の尊厳を保つためには、個人個人がしっかりした意見、見解を持つことが要求されるのである。各人が、事実を隠すことなく開示して(従って、相手の尊厳を尊重して)、反対論者と対話し、上記のような決定に至ったのである。なお、人間の尊厳には、未来世代への責任も含まれるのである。

東電の幹部のように、行政官僚のように、あるいは、政治家のように、事実を隠蔽して、相手をだますことは、人間の尊厳を尊重する人のすべきことではない。


アメリカは日本に3度、原爆を投下した

2015-12-27 12:11:12 | 原子力

なぜなら福島第一原発の事故は、日本に仕掛けられた原爆に等しいからです。

福島第一原発の設置の段階で、今回の事故が以下のように予測されていたからです。また、即死者は出ないものの、空気中へ放出されたセシウム137の量は、日本政府のIAEAへの報告によると、広島原爆の168倍(例により、過小評価で、実際は400~500倍と見積もられている。)である。また、MOX燃料が入っていた3号機の爆発は、1号機の水素爆発とは明らかに違う、核爆発を伴う水蒸気爆発であった(物理学者槌田敦氏:下記URL参照)。実際に核爆発が起きていたのである!!

https://shanti-phula.net/ja/social/blog/?p=60497

福島第一原発の事故の原因は、アメリカにある。(アーノールド・ガンダーセン、出典:「終わりなき危機」ブックマン社)

建設に関わったエンジニア達が1965年に犯した六つの致命的ミスが、2011年、日本に最悪の事態をもたらした(当初、ターンキー契約で全ての責任はアメリカ側にあった、逆に言えば、日本側は口出しできなかった)。

一 発電所を建てる高さを35mから10mへ下げた。

(冷却用海水を汲み上げるポンプの負荷を出来るだけ下げるためである。津波に対する危険性を度外視している!!。現地に行けば一目瞭然であるが、原発が設置される大地は海面から30mの台地である。東電社員を含め作業員は、毎日、その台地から原発へ向かい階段を降り、階段を上り宿舎へ戻るのである。)

二 津波よけの防波壁が低すぎた

三 ディーゼル発電機を地下に設置した

四 海岸沿いに取り付けられた緊急用ポンプが耐水性でなかった

五 ディーゼル燃料タンクが氾濫原に設置されていた

六 マークI型格納容器に技術的な欠陥があり、放射能を封じ込めることができなかった(マークIというように、アメリカでも商用軽水炉型原発の一号機であり、それを被爆国の日本は初物買いしたことになる。裏には、CIA、正力、中曽根等の暗躍がある。)

1996年の原子安全諮問委員会で、GEは、炉心溶融にもっと考慮した原子炉の設計が必要ならば、原子炉建設から手を引くと明言し、アメリカ政府は設計不良を容認した。

なんと、GEの居直りで、日本そして福島の被災地の人々が被害を受けたのである。