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原発は日本人にセットされた時限爆弾だ!

原発再稼動阻止のために、原発関連事項を整理して随時アップする。また、集団自衛権の行使の阻止のために同様に取り組みたい。

原子炉耐震設計審査指針をひもとく(4-3)ー耐震設計、指針は原発が活断層上にあることも想定!!!

2016-06-12 12:40:52 | 原子力

各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

地震学、地震工学に素人の当ブロガーが標記指針に抱いた疑問を提示し、自ら、その疑問について解を求めるよう努めたい。素人の疑問は、運が良ければ、的を射ることもあるであろう。

4-2.耐震設計のその3ー基準地震動について(当ブログの対比表(2/6)参照)

1.震源を特定せず策定する地震動 注1,2

(1)この区分の存在意義

策定の基礎となる震源、即ち、震源断層が不明な場合(下図において向かって左側の二つの場合、注1)があるからである。

つまり、原子炉耐震設計審査指針は、原発が地表に姿を現さない活断層上にあることを想定しているのである。 原発は活断層の上に建たないと思われているがそうではない。

当時の福田康夫首相が国会で、「地表地震断層が炉心を通らなければよい」(広瀬隆著「原子炉次元爆弾」166ページ)と答えているのは、この事実を認めているのである。

どうして、この事実に平然としていられるのだろうか。それは、以下の表に示すように、このタイプの地震動は原発へ甚大な地震動を発生させないという前提をおいているからであろう。しかし、過去のデータがそうであるから、将来もそうであるという保証は、常に動いている地球にあっては存在しない。

石橋克彦神戸大教授は、「指針の作成過程で、原発は大地震の震源の真上に造るべきでない趣旨を明記するよう主張したが、盛り込まれなかった。」と述懐される。注3

 注1

基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド 原子力規制委員会

http://www.nsr.go.jp/data/000050725.pdf’(平成26年6月6日時点、)
 
注2
震源を特定せず策定する地震動にかかる評価手引き JNRS-RE-2013-2045 (財)原子力安全機構

注3

「耐震指針改訂」に関する幻のコメント

http://historical.seismology.jp/ishibashi/opinion/shishin_news060417.html'データ採取日2016/06/12

(2)策定の方法 注2

震源断層を特定できないことから、検討対象地震として観測記録を収集し、応答スペクトルを策定する。

①「地表地震断層が出現しない可能性がある地震(Mw6.5未満の地震)」は全国に共通に考慮されるべき地震であり、適切に選定する。

②「事前に活断層の存在が指摘されていなかった地域において発生し、地表付近に一部の痕跡が確認された地震」は地震の規模が推定出来ない(Mw6.5以上)についても検討を加え、必要に応じて選定する

③収集対象となる地震の例を下表に示す。

疑問1.Mw6.5未満の地震と以上の地震で取り扱いが違うことの説明が審査ガイド(注1)には無い。 

疑問2.他の、海洋プレート内等における震源を特定できない地震に対して、どう対処するのか規定が無い。


 


原子炉耐震設計審査指針をひもとく(1)ー指針作成以前に既に原子炉23基が建設等されていた!!!

2016-06-11 11:12:31 | 原子力

標記指針の時代による変遷および各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

以下、地震工学に疎い、単なる機械技術者であった一人の感想を述べたい。

1.東海原発が1959年12月1日にゴーサインが出てから、指針らしいものが出来た昭和53年9月29日(1987年)の初期指針(当ブログの比較表(1/6~6/6)参照)が制定されるまで実に約20年の間、耐震設計審査無しで23基の原発が建設され、運転されていた。(出典:「原子炉時限爆弾」広瀬隆著)

東海第一のコルダーホール型、および実用軽水炉型では、初物の福島第一原発第1号機を初めとする23基である。これら23基は、自主耐震基準で建設されており、例えば、福島第一第1号機の耐震性はアメリカにおける耐震性の270ガルである。即ち、アメリカの実用型軽水炉の初物原発がそのままフルターンキー契約で日本内に導入された。

地震国の日本を考えない、まして唯一の被ばく国である日本に原子炉の建設を進めた日本社会、耐震指針の策定に思いを致さない無責任を放置する社会システム、経済を優先する安全思想等に大きな欠陥があると思う。

今なお、その日本社会の社会システム等の欠陥が存続しているように思う。それを示すのが、原子炉耐震設計審査指針であり、安倍首相の主導による集団自衛権関連法案の成立等々である。

23基の内、2016年5月現在で、下記13基が廃炉決定

東海第一は65~98年の33年間運転し、01年から解体作業に着手し、原子炉本体の解体は2024年までの予定、その他を含めると2025年までかかる。

このことから、通常の廃炉は、一基につき全体で約30年以上かかることが分かる。したがって、福島第一の30年~40年というのは大嘘。

溶融し不定形の燃料を取り出すだけでも100年近くかかるであろう。

3.11の事故で、福島第一第1~第4号の廃炉決定(2012年4月19日)、浜岡第1号、第2号の約30年に亘る運転後、廃炉決定(2008年12月22日)、敦賀第1号の廃炉決定(2015年3月17日)、美浜第1、第2号の廃炉決定(2015年3月17日)、島根第1号の廃炉決定(2015年4月30日)、伊方第1号の廃炉決定(2016年3月)、玄海第1号の廃炉決定((2015年4月27日

また、残るのは下記の10基である。

東海第二、福島第一第5,6号、福島第二第1号、美浜第3号、大飯第1,2号、高浜第1,2号、玄海2号

2.初期指針(昭和53年9月29日)以前は、「原子炉施設は、その系および機器が地震により機能の喪失や破損を起こした場合の安全上の影響を考慮して重要度により適切に耐震設計上の区分がなされ、それぞれ重要度に応じた適切な設計であること。」(昭和45年4月23日)という、原子炉安全審査の一環としての概念的規定のみであ。

3.しかも、新指針(平成18年)が制定される以前の日本の殆どの原発が、

「現在の地震学の二本柱となっている、①震源断層面のズレが地震の発生源、②プレートテクトニクス、の基本が確立される前の、日本の古い地震学 の思想を根拠にしたものである。(広瀬隆著「原子炉時限爆弾」159ページ)」耐震設計審査指針に沿い、建設され、稼動されている。

バックチェックは誠実に実施されているか疑わしい。


原子炉耐震設計審査指針をひもとく(4-2)ー耐震設計(基準地震動)

2016-06-10 20:19:49 | 原子力

各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

地震学、地震工学に素人の当ブロガーが標記指針に抱いた疑問を提示し、自ら、その疑問について解を求めるよう努めたい。素人の疑問は、運が良ければ、的を射ることもあるであろう。

4-2.耐震設計のその2ー基準地震動について(当ブログの対比表(2/6)参照)

標記指針の最も重要な部分で、これからが佳境である。主として、新指針(平成18年)および新規制基準(平成25年)について述べたい。

(1)原子力発電所が耐えなければならない基準地震動Ss

基準地震動は、「震源を特定して策定する地震動」および「震源を特定せず策定する地震動」」について、それぞれ解放基盤表面における水平方向鉛直方向の地震動として策定されていること。注1

基準地震動を策定する構造を下表に示す。

 種別

基準地震動の種類

基準地震動の策定

       具体的策定方法

旧指針(昭和56年)

(断層等から想定可能な地震動)

震源を特定する基準地震動

敷地周辺の活断層の性質、過去及び現在の地震発生状況等を考慮(検討用地震)

検討用地震ごとに、次に示す

i)の応答スぺクトルに基づく地震動評価及びii) の断層モデルを用いた手法

応答スペクトルについて超過確率を安全審査において参照する

従来は、応答スペクトル法のみ

(想定できない地震動)

震源を特定しない基準地震動

震源と活断層を関連付けることが困難な過去の内陸地殻内の地震。全ての申請において共通的に考慮すべき地震動と意味づけたものである。注1

これらを基に敷地の地盤物性を加味した応答スぺクトルを設定。

応答スペクトルについて超過確率を安全審査において参照する

直下地震としてマグニチュード6.5を採用

(非常に想定が困難な巨大地震動)

残余のリスク

注1

 

施設の設計に当たっては、 策定された地震動を上回る地震動が生起する可能性に対して適切な考慮を払い、 基本設計の段階のみならず、 それ以降の段階も含めて、この「残余のリスク」の存在を十分認識・しっっ、それを合理的に実行可能な限り小さくするための努力が払われるべきである。と理念的に規定するのみ。

暫定的に、確率的地震安全評価を推奨している。

これに相当する規定はなし

また、基準地震動に係る審査フローは下図(注1)に示される。

注記1

基準地震動及び耐震設計方針に係る審査ガイド

https://www.nsr.go.jp/data/000050755.pdf

①旧指針(昭和56年)との大きな違いは、

・地震動を基準地震動Ssの一種類にしたこと。

・震源を特定できるか、特定できないかでその策定方法をそれぞれ定めたこと。

・「震源を特定せず策定する地震動」、即ち、震源が想定できない地震動(例えば、直下型地震動)について、その策定方法を定めたこと。

・巨大地震の発生を残余リスクとして基準地震動策定の一項目としたことである。

残余のリスクの評価手法が定着していないことから理念的規定になった。このような耐震基準に、日本人の命が掛かっているのである。

②地震動策定の基本的姿勢

a.地震動は、物理の法則の如く、一定の原理にしたがって、決定(策定)されるものでないことを心に止めたい。

少ない現実の地震動の計測値を何とか使いものになるようにまとめた評価手法(応答スペクトル、断層モデル手法)により決定されるのである。

しかも、当然であるが、原発が実際に受ける地震が評価手法通りになるとは限らないのである。また、原発設置許可申請時の推測地震動と、設置後の実際値のバックチェックは行われないのである。

さらに、当ブロガーが常々不思議に思うのは、なぜ、地震に弱いと推測される原子炉の各部分の、地震により実際に掛かる応力を、および相対変位が大きいであろう箇所間の相対変位を測定する計器を設置し、測定しないのかである。 測定することが、原子力発電のような巨大技術を利用する正しい態度ではないか。

b.当然のことながら、評価手法の元データが得られた観測地と原発の設置地とは地下構造が違うので、それを何とか補正して観測地のデータを使用している。

そこで補正上の不確かさが基礎データに入り込む。その補正の検証も事後に行われないのである。補正のために、「解放基盤表面」等の概念を用いているがその辺のことは割愛する。(一言、「解放基盤表面」とは、原発がその上に乗る面ではなく、仮想の面である。)

③震源を特定する地震動

a.震源をなんの疑いもなく活断層としている。活断層は、過去の地震の結果物と考えるのが正しい。

したがって、岩盤の上にあるからと言っても、その岩盤が引き裂かれ、原子力発電所が岩盤上でひっくり返らないという保証は無い。

そもそも地震国の日本に原発は設置できないのである。

b.活断層を後期更新世以降(約13万年前に始まる最終間氷期以降)の活動が否定できない断層と値切って、地震動の過小評価を意図している。

なお、新規制基準(平成25年)では、明確でない場合は中期更新世以降(約40万年前以降)まで遡るとする。

国土地理院は、(第四紀(260万年前以後)中に活動した証拠のある断層すべてを「活断層」と呼ぶこともあります)。と言う。

c.震源を特定せず策定する地震動とで、原発が耐えなければならない基準地震動を決定する。残余のリスクは、審査の対象とせず、確認事項とした。

応答スペクトル法、断層モデル法は、地震記録データのある地震に適合するように、統計的あるいはコンピュータ的に整理したものである。

したがって、今後、この手法では誤差が大きい地震の発生が生起しないという保証がなく、また、最大地震動を想定するものでなく、地震動のばらつきを提示するものでもない。

なお、震源が原発の敷地に近い場合には、断層モデル法が推奨されている。

d.「応力スペクトル」は、地震の特性を表すグラフをいい、具体的には、「原子力発電震設計門部会」と言う部会が、20年間に収集された地震観測記録を基に、その名前をとった「耐専スペクトル」に原発の地域特性を入れて補正したものをいう。注2

耐専スペクトルは、十数年前に作られた、国内の観測記録に基づき地震規模と距離から地震動を推定する方法である。注3

距離と地震動の関係式である距離減衰式に、大変問題のある、1975年に作成された、したがって、約50年前に製作された松田式を採用する(その詳細は、広瀬隆著「原子炉爆弾」のA9~A13ページ参照)。

更に、耐専スペクトルは、最近約20年間の、阪神大震災(1995年)以降、全国に強震観測計が設置され、記録された多くの震源近くの観測記録が反映されていない。

基礎になった観測地震44個の内、プレート境界地震が38個で、内陸内地殻地震は12個にすぎない。注4

大阪府立大名誉教授長沢啓行氏は、耐専スペクトルは、過去の地震観測記録から推定される地震動の平均像を求めている。平均像なので、用いられた観測記録は上側に2倍以上のバラツキ(偶然変動)がある。耐専スペクトル自体を最新データで抜本的に作り替えた上で、バラツキを考慮した安全側への評価が必要だ。と説く。注3

耐専スペクトルと実測値の解離を、一例として、下図(注4)に示す。実測値が1以上~約10になることに注目して欲しい

注記2

http://monogusa-fumifumi.cocolog-shizuoka.com/blog/2014/06/post-cefc.htmlデータ採取日2016/06/04

注記3

http://mainichi.jp/articles/20160308/ddl/k46/040/285000cデータ採取日2016/06/05

注記4

http://www.nonukesshiga.jp/wp-content/uploads/68575f238876499ae3808062bdd51079.pdf'データ採取日2016/06/05

・地震動の強度を何を単位に表すかは、構造物の種類により異なり、固有周期が0.2秒~0.4秒の原子力発電所は加速度(ガル)を採用する。他に、速度(カイン)、震度等の単位がある。

また、重力は980ガルである。即ち、地震動の上向き加速度が980ガルを超えると、地上の物体(原発を含め)は、浮き、そして同時に地震動の水平方向加速度が作用すれば、地上の物体(原発を含め)は転倒するおそれがある(広瀬隆著「原子炉次元爆弾」172ページ参照)。

このような事態は、安全性設計審査指針ですら想定していないが、考えられることである。

なお、放射線源の放射能強度に相当する、地震の規模は、一つの地震につき気象庁マグニチュードMと地震モーメントマグニチュードMwが公表される。

例えば、3.11の地震は、8.4Mであり、9.0Mwである。

e.断層モデルは、震源となる断層を長方形にモデル化し、コンピューターでシミュレーション計算をする。注3

この手法において、震源断層の地震モーメントを基礎物理量とする。なお、地震モーメントと関連するのがモーメントマグニチュードMwである。注6

活断層の長さ(あるいは断面積)を基礎としており、しかも、地震発生前に使用できるのは、地表断層の情報であって、地震モーメントの過小評価、地震の過小評価の可能性が高いのである(東大、島崎邦彦:活断層の長さから推定する地震モーメント注5)。

 注記5

Japan Geoscience Union Meeting 2015、会場A04、5月28日

 注記6

断層のモデル化:内閣府、防災情報のページ

http://www.bousai.go.jp/jishin/chubu_kinki/syousai/pdf/sankousiryou2.pdf'データ採取日2016/06/05


原子炉耐震設計審査指針をひもとく(4-1)ー耐震設計

2016-06-04 19:03:41 | 原子力

各種耐震設計審査指針を理解するためにもそれらの比較表(1/6~6/6)を作成した。

以下、地震工学に疎い、単なる機械技術者であった一人の感想を述べたい。

4.耐震設計(当ブログの対比表(1/6)、(2/6)参照)

(1)基本方針

以降、旧指針(昭和56年)および新指針(平成18年)の規定の文言から素直に導き出されることを述べたい。

①旧指針が

「いかなる地震力に対してもこれが大きな事故の誘因とならないよう十分な耐震性を有していなければならない。」

 

と規定している。「いかなる地震力に対しても」と明確な耐震性を規定する。それに対し、新指針は、

「數地周辺の地質・地質構造並びに地震活動性等の地震学及び地震工学的見地から施設の供用期間中に極めてまれではあるが発生する可能性があり、 施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な地震動による地震力に対して、その安全機能が損なわれることがないように設計されなければならない。」

と精緻な規定を装う、余計な形容詞を伴う規定になっている。

「極めてまれではあるが発生する可能性があり、 施設に大きな影響を与えるおそれがあると想定することが適切な地震動による地震力に対して」

と「可能性」とか「想定することが適切な」とかの文言は、人間の判断が入る可能性を許容する規定、「想定外」と言い抜けることを許容する規定である。

いわゆる腰の引けた、耐震性に対し後退した規定振りである。

(2)建築基準法との関係

原子炉耐震設計審査指針は、一般建築構造物の建築基準法と密接な関係がある。

例えば、耐震強度のあり方で表1のような関係がある。

①下記のように地震動に対応して二種類に分けて、耐震設計をするという設計思想が同じである。

表2

   建築基準法

原子炉耐震設計審査指針

一次設計

弾性範囲

Sd地震動

弾性範囲

二次設計

部分的な破壊があっても倒壊に至らないこと

(ねばりの確認)

 

Ss地震動

弾塑性範囲

(十分な変形能力を余し、終局耐力に妥当な安全余裕を有すること)       

②また、表1の「水平地震力の算定」欄で、耐震設計審査指針が一般建築構造物(建築基準法で規定する)の一次設計を準用している。

 両者は、密接に関連し、下表から分かるように歩調を合わせて改正されている。

  発生大地震

建築基準法

出典:注記1

原子炉耐震設計審査指針

大地震の影響を受けた原発

 

1950年(昭和25年)5月24日制定

建築基準法施行令に構造基準が定められる。

許容応力度設計が導入される

木造住宅においては
床面積に応じて必要な筋違等を入れる「壁量規定」が定められた。

 

 

 

 

1959年(昭和34年)改正

壁量規定の強化、評点0.50注記1

 

 

 

1964年新潟地震(M7.5)

1965年十勝沖地震

(M7.5)

1971年(昭和34年)改正

基礎の布基礎化 壁量の強化

 

 

宮城県沖地震(M7.4)

1978年(昭和53年)

1981年(昭和56年)6月1日基準法施行令改正

木造住宅においては 
壁量規定の見直しが行われた。壁量38%増し、評点0.91注記1

(新耐震基準)一次設計、二次設計の概念が導入された。

昭和五六年七月二〇日(1981年)

旧指針制定

 

日本海中部地震(M7.7)

1983年(昭和53年)

 

 

 

阪神・淡路大震災(M7.3)

1995年(平成7年1月17日)

1995年(平成7年)改正

地盤調査が事実上義務化に。評点1.16注記1

 

 

 

2000年(平成12年)改正

地体力に応じた基礎構造

 

 

新潟中越地震(M6.8)

2004年(平成16年)

2004年(平成16年)6月2日改正

建築物の安全性及び市街地の防災機能の確保等を図るための改正その1

 

 

 

2006年(平成18年)6.21

同上改正その2

構造計算適合性判定業務の制定。構造計算プログラムの指定強化。

平成18年9月19日(2006年)

新指針制定

 

 

中越沖地震(M6.8、震源深さ17km、震央距離16km)

2007年7月16日

(平成19年)

 

 

柏崎刈羽

3号変圧器火災

駿河湾地震(M6.5)

2009年8月1日10:13

 

 

 

 

東北地方太平洋沖地震

2011年3月11日14時46分18秒(M8.4)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

注記1:データ採取日2016年5月17日

http://jutaku.homeskun.com/legacy/taishin/taishin/jidaibetsu.html

  http://www.pure-home.jp/quake/zishin.html

ところで、原発は、耐震基準をクリアすれば大事故が回避できるものではない。

極く小さな地震で核暴走する危険がある(出典:広瀬隆著「原子炉時限爆弾」A20~A22ページ)。現実に、数回に亘り原子炉が緊急停止する事故が起きている。 

 


原子炉施設に関する安全設計審査指針の対比表

2016-05-25 10:01:46 | 原子力

原子炉耐震設計審査指針との関連で、外部電源に係わる安全設計指針の対比表を作成する。

一部、原子炉耐震設計審査指針の対比表(1/6)と重複する。

 項目

軽水炉についての安全設計に関する審査指針について

 

  

発電用原子炉施設に関する安全設計審査指針について  

  

発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針

   

実用発電用原子炉及びその附属施設の位置、構造及び設備の基準に関する規則
   (新規制基準)

発行年月日

45原委第103号

昭和45年4月23日:1970年

 

昭和52年6月14日

原子力安全委員会決定

   (1977年)

     注3

平成2年8月30日(1990年)

原子力安全委員会決定

平成13年3月29日一部改訂

    注1

平成二十五年六月二十八日

原子力規制委員会規則第五号

   (2013年)

     注2

 安全設計審査指針

2.適用範囲

1 定義
 (省略)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2 原子炉施設全般

2.1 準拠規格ならびに基準

原子炉施設における事故の防止ならびにその結果の抑制のために、安全上重要かつ必須の系および機器の設計、材料選定、製作ならびに検査については安全上適切と認められる規格ならびに基準によるものであること。

2.2 敷地の自然条件に対する設計上の考慮

(1)当該設備の故障が、安全上重大な事故の直接原因となる可能性のある系および機器は、その敷地および周辺地域において過去の記録を参照にして予測される自然条件のうち最も苛酷と思われる自然力に耐え得るような設計であること。

(2)安全上重大な事故が発生したとした場合、あるいは確実に原子炉を停止しなければならない場合のごとく、事故による結果を軽減もしくは抑制するために安全上重要かつ必須の系および機器は、その敷地および周辺地域において、過去の記録を参照にして予測される自然条件のうち最も苛酷と思われる自然力と事故荷重を加えた力に対し、当該設備の機能が保持できるような設計であること。

2.3 耐震設計

 原子炉施設は、その系および機器が地震により機能の喪失や破損を起こした場合の安全上の影響を考慮して重要度により適切に耐震設計上の区分がなされ、それぞれ重要度に応じた適切な設計であること。

7非常用電源

非常用電源設備は、単一動的機器の故障を仮定しても、工学的安全施設や安全保護系等の安全上重要かつ必須の設備が、所定の機能を果たすに十分な能力を有するもので、独立性および重複性を備えた設計であること。

 

(解説始まり)

2.2 敷地の自然条件に対する設計上の考慮

(1)の規定について(抜粋)
②「予測される自然条件」とは敷地の自然環境をもとに、地震、洪水、津浪、風(または台風)凍結、積雪等から適用されるものをいう。

③「自然条件のうち最も苛酷と思われる自然力」とは、対象となる自然条件に対応して、過去の記録の信頼性を考慮のうえ、少なくともこれを下まわらない苛酷なものを選定して設計基礎とすることをいう。

なお、自然条件のうちのそれぞれのものは、出現頻度、程度、継続時間等に関する過去の記録を参照にして設計上適切な余裕が考慮される場合には、必ずしも異種の自然条件を重畳して設計基礎とする必要はない。

(2)の規定について、

 ①「事故による結果を軽減もしくは抑制するために安全上重要かつ必須の系および機器」とは、例えば周辺公衆の安全確保のための最終防壁となる原子炉格納容器等をいう。

 ②「自然条件のうち最も苛酷と思われる自然力と事故荷重を加えた力」とは、例えば、原子炉格納容器に関して、地震力と原子炉冷却材喪失事故後の内圧による荷重を加算して設計検討を行なうことなどをいう。

③事故荷重の継続時間が短い場合には、必ずしも事故荷重と自然条件を重畳して設計基礎とする必要はない。

①  「単一動的機器の故障」の対象には、非常用内部電源設備では、これを構成するしゃ断器、制御回路の操作スイッチ、リレー、非常用発電機等のうちいずれか一つのものの不作動や故障をとるものとする。

②  「所定の機能を果たすに十分な能力を有するもの」とは、原子炉緊急停止系、工学的安全施設等の事故時の安全確保に必要な設備を、それぞれが必要な時期に要求される機能が発揮できるように作動させうるような容量を具備することをいう。

③  「独立性および重複性」とは、単一動的機器の故障を仮定した場合にも、要求される安全確保のための機能が害されることのないよう、非常用発電機を2台とするなどにより、十分な能力を有する系を2つ以上とし、かつ、一方が不作動となるような不利な状況下においても、他方に影響をおよぼさないように回路の分離、配置上の隔離などによる独立性の確保が設計基礎とされることをいう。

(解説終わり)

III 用語の定義

(8) 「単一故障」とは,単一の事象に起因して1つの機器が所定の安全上の機能を失うことをいい,単一の事象に起因して必然的に起こる多重故障を含む。

(10) 「多重性」とは,同一の機能を有する系が2つ以上あることをいう。

(11) 「独立性」とは,多重に設けた機器又は系統が設計上考慮する環境条件及び運転状態に対して共通要因又は従属要因によって同時に故障状態にならないことをいう。

 

 

IV 原子炉施設全般

指針1. 準拠規格及び基準

安全上重要な構築物,系統及び機器の設計,材料の選定,製作及び検査については,安全上適切と認められる規格及び基準によるものであること。

指針2. 自然現象に対する設計上の考慮

  1. 安全上重要な構築物,系統及び機器は,地震により機能の喪失や破損を起こした場合の安全上の影響を考慮して,重要度により耐震設計上の区分がなされるとともに,敷地及び周辺地域における過去の記録,現地調査等を参照して,最も適切と考えられる設計地震動に十分耐える設計であること。
  2. 安全上重要な構築物,系統及び機器は,地震以外の自然現象に対して,寿命期間を通じてそれらの安全機能を失うことなく,自然現象の影響に耐えるように,敷地及び周辺地域において過去の記録,現地調査等を参照して予想される自然現象のうち最も苛酷と考えられる自然力及びこれに事故荷重を適切に加えた力を考慮した設計であること。

指針3~7省略

指針8. 系統の単一故障

安全上重要な系統は,非常用所内電源系のみの運転下又は外部電源系のみの運転下で,単一故障を仮定しても,その系統の安全機能を失うことのない設計であること。

 

 

 

 

指針9. 電源喪失に対する設計上の考慮

原子力発電所は,短時間の全動力電源喪失に対して,原子炉を安全に停止し,かつ,停止後の冷却を確保できる設計であること。

  ただし,高度の信頼度が期待できる電源設備の機能喪失を同時に考慮する必要はない。

(解説始まり)

長期間にわたる電源喪失は、送電系統の復旧または非常用ディーゼル発電機の修復が期待できるので考慮する必要はない。

「高度の信頼度が期待できる」とは、非常用電源設備を常に稼動状態にしておいて、待機設備の起動不良の問題を回避するか、または信頼度の高い多数ユニットの独立電源設備が構内で運転されている場合等を意味する。

(解説終わり)

 

指針10~12省略

V 原子炉及び計測制御系

指針13~17省略

指針18電気系統

  1. 安全上重要な構築物,系統及び機器の安全機能を確保するために電源を必要とする場合には,必要な電源として外部電源系及び非常用所内電源系を有する設計であること。
  2. 外部電源系は,2回線以上の送電線により電力系統に接続される設計であること。
  3. 非常用所内電源系は,十分独立な系統とし,外部電源系の機能喪失時に,1つの系統が作動しないと仮定しても,次の事項を確実に行うのに十分な容量及び機能を有する設計であること。

(1)     運転時の異常な過渡変化時において,燃料の許容設計限界及び原子炉冷却材圧力バウンダリの設計条件を超えることなく原子炉を停止し冷却すること。

(2)     冷却材喪失等の事故時の炉心冷却を行い,かつ,格納容器の健全性並びにその他の安全上重要な系統及び機器の機能を確保すること。

4.安全上重要な電気系統は,系統の重要な部分の適切な定期的試験及び検査ができる設計であること。

 

III 用語の定義

(17) 「多重性」とは、同一の機能を有する同一の性質の系統又は機器が二つ以上ある ことをいう。

(18) 「多様性」とは、同一の機能を有する異なる性質の系統又は機器が二つ以上ある ことをいう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Ⅳ.原子炉施設全般

指針1. 準拠規格及び基準

同左

 

 

 

 

指針2. 自然現象に対する設計上の考慮

同左

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指針3~10まで省略

但し、必ずしも同左でない。

指針8,9に相当する記載なし

 

 

Ⅴ.原子炉及び原子炉停止系

 

 

 

 

Ⅵ.原子炉冷却系

指針27電源喪失に対する設計上の考慮

原子炉施設は、短時間の全交流動力電源喪失に対して、原子炉を安全に停止し、 かつ、停止後の冷却を確保できる設計であること。

 

Ⅹ.計測制御系及び電気系統

指針48.電気系統

1. 重要度の特に高い安全機能を有する構築物、系統及び機器が、その機能を達成するために電源を必要とする場合においては、外部電源又は非常用所内電源のいずれ からも電力の供給を受けられる設計であること。

2.  外部電源系は、2回線以上の送電線により電力系統に接続された設計であること。

3. 非常用所内電源系は、多重性又は多様性及び独立性を有し、その系統を構成する 機器の単一故障を仮定しても次の各号に掲げる事項を確実に行うのに十分な容量 及び機能を有する設計であること

(1)、(2)同左

4.同左

(解説の始まり)

指針27電源喪失に対する設計上の考慮

長期間にわたる全交流動力電源喪失は、送電線の復旧又は非常用交流電源設備の 修復が期待できるので考慮する必要はない。

非常用交流電源設備の信頼度が、系統構成又は運用(常に稼働状態にしておくこ となど)により、十分高い場合においては、設計上全交流動力電源喪失を想定しなくてもよい。

(解説終わり)

 

 

 

 

 

 

 

第二条  この規則において使用する用語は、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律 (以下「法」という。)において使用する用語の例による。

十七    「多重性」とは、同一の機能を有し、かつ、同一の構造、動作原理その他の性質を有する二以上の系統又は機器が同一の発電用原子炉施設に存在することをいう。
十八    「多様性」とは、同一の機能を有する二以上の系統又は機器が、 想定される環境条件及び運転状態において、 これらの構造、動作原理その他の性質が異なることにより、共通要因(二以上の 系統又は機器に同時に影響を及ぼすことによりその機能を失わせる要因をいう。以下同じ。)又は従属要因(単一の原因によって確実に系統又は機器に故障を発生させることとなる要因をいう。以下同じ。)によって同時にその機能が損なわれないことをいう。
十九    「独立性」とは、二以上の系統又は機器が、想定される環境条件及び運転状態において、物理的方法その他の方法によりそれぞれ互いに分離することにより、共通要因又は従属要因によって同時にその機能が損なわれないことをいう。

(解説始まり)

3   第2項第18号に規定する 「共通要因」 とは、 二つ以上の系統又は機器に同時に作用する要因であって、例えば環境の温度、湿度、圧力又は放射線等による影響因子、系統若しくは機器に供給され る電力、空気、油、冷却水等による影響因子及び地震、溢水又は
火災等の影響をいう。

(解説終わり)

(全交流動力電源喪失対策設備)

第十四条発電用原子炉施設には、全交流動力電源喪失時から重大事
故等に対処するために必要な電力の供給が交流動力電源設備から
開始されるまでの間、 発電用原子炉を安全に停止し、 かつ、 発電
用原子炉の停止後に炉心を冷却するための設備が動作するととも
に、 原子炉格納容器の健全性を確保するための設備が動作するこ
とができるよう、 これらの設備の動作に必要な容量を有する蓄電
池その他の設計基準事故に対処するための電源設備 (安全施設に
属するものに限る。 ) を設けなければならない。

 

 

(保安電源設備)

第三十三条  発電用原子炉施設には、全交流動力電源喪失時から重大事故等に対処するために必要な電力の供給が交流動力電源設備から開始されるまでの間、 発電用原子炉を安全に停止し、 かつ、 発電
用原子炉の停止後に炉心を冷却するための設備が動作するととも
に、 原子炉格納容器の健全性を確保するための設備が動作するこ
とができるよう、 これらの設備の動作に必要な容量を有する蓄電
池その他の設計基準事故に対処するための電源設備 (安全施設に
属するものに限る。 ) を設けなければならない。発電用原子炉施設は、重要安全施設がその機能を維持するために必要となる電力を当該重要安全施設に供給するため、 電力系統に連系したものでなければならない。

7非常用電源設備及びその附属設備は、多重性又は多様性を確保し
、 及び独立性を確保し、 その系統を構成する機械又は器具の単一
故障が発生した場合であっても、 運転時の異常な過渡変化時又は
設計基準事故時において工学的安全施設及び設計基準事故に対処
するための設備がその機能を確保するために十分な容量を有する
ものでなければならない。
(解釈)

第7項に規定する「十分な容量」とは、7日間の外部電源喪失を
仮定しても、非常用ディーゼル発電機等の連続運転により必要と
する電力を供給できることをいう。非常用ディーゼル発電機等の
燃料を貯蔵する設備(耐震重要度分類Sクラス)は、7日分の連
続運転に必要な容量以上を敷地内に貯蔵できるものであること。

(解釈終わり)

 

 

 

 

 

 

 

注記1

http://warp.da.ndl.go.jp/info:ndljp/pid/3533051/www.nsc.go.jp/shinsashishin/pdf/1/si002.pdf

注記2

www.nsr.go.jp/data/000069150.pdf

注記3

http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V22/N06/197702V22N06.html

データ採取日2016/05/22